おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

バングラデシュ:ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民が増加──キャンプでの支援の拡充が急務

update:
   
国境なき医師団


[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/706/4782-706-ff31c2e887d31d8d0cf173dadc057edd-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
過密したキャンプで生活するロヒンギャ難民=2024年11月1日 (C) Yunus Ali Shamrat/MSF

ミャンマーでロヒンギャの人びとへの暴力が激化し、7月から現在までの間に数千人がバングラデシュへ逃れた。避難の途中でミャンマーに送還される人や、身柄を拘束される人も後を絶たない。


避難先のバングラデシュのキャンプでは過密状態が続き、水・電気などの生活インフラの不足や、メンタルヘルスへの影響が深刻だ。国境なき医師団(MSF)は当局に対し、全てのロヒンギャ難民が人道援助を今すぐ制約なく受けられるよう、迅速に対応することを求めている。
ロヒンギャとは?
仏教徒の多いミャンマーの主に西部ラカイン州で、何世紀にもわたり暮らしてきたイスラム系少数民族。1982年、国籍法の改正にともないロヒンギャは市民権をはく奪され、無国籍となった。2017年8月には、ラカイン州でミャンマー国軍によるロヒンギャに対する掃討作戦が始まり、およそ77万人が隣国バングラデシュ、コックスバザールへ避難。7年たったいまも、100万人以上が難民キャンプに暮らし、数十万人がマレーシア、インド、パキスタンなどの国々に無国籍のまま離散している。

新たな難民の栄養失調が深刻に
家族が目の前で死んでいくのを見た、残された財産を売らなければならなかった、危険な旅の費用のため多額の借金を強いられた──。バングラデシュにたどり着いた人びとは、経験した恐怖をMSFに語っている。国境を越えても安全な場所を探すのに何日もかかったと話す人もいる。


コックスバザールの難民キャンプでは、食料の確保が大きな課題となっている。新たに到着した人びとはテントや水を利用することができず、すでにキャンプに住んでいた人が新たに到着した人と食料配給や居住スペースを分け合っているという。虐待や搾取、ネグレクトからの保護も十分になされておらず、特に少女、少年、女性が影響を受けている。


7月以降、MSFは、中等度・重度の栄養失調に陥った5歳未満児の増加を確認した。ミャンマーでは、食料と医療を得ることが非常に難しいため、新たに到着した人びとはとりわけ栄養失調になりやすい。人道援助への資金不足が続いていることも、新たなロヒンギャ難民に人道援助が届かない要因となっている。MSFは、重病を抱えた人や銃撃で負傷した人など、新たに到着したロヒンギャ難民の治療に当たっている。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/706/4782-706-2d3f962e6dea0c1eedaf8569bbd8f48e-760x570.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
難民キャンプでMSFが運営する診療所に向かう患者=2024年5月27日 (C) Mohammad Sazzad Hossain/MSF

暴力が生む心の傷
バングラデシュでMSFの代表を務めるオーラ・マーフィーは、「人びとは、搾取やミャンマーへの送還を恐れて支援を求めることをためらっていると言います。とりわけMSFの心のケアチームは、人びとが故郷で目撃した暴力の記憶と闘っていることや、支援の少なさから先行きに不安を覚え、心の傷がさらに悪くなる様子を目の当たりにしています。新たに到着したロヒンギャの人びとには、ストレスや不安、うつの症状が見られます」と話す。


ロヒンギャ難民のソリムさん(※)(21歳)はこう語った。


「ミャンマーから激しい戦闘の音が今も聞こえるので、暴力の記憶が絶えずよみがえるのです。キャンプ内でもみな緊張していて、また暴力を振るわれるのではないかという恐怖におびえています。ミャンマーからの暴力からは逃れましたが、恐怖からは逃れられません。大きな音がするたびに心臓がドキドキするんです」


ソリムさんは7月にバングラデシュに着いたが、旅によるけがと強い精神的苦痛を抱えていた。
全てのロヒンギャ難民が人道援助を受けられるように
バングラデシュ当局はキャンプにいるロヒンギャ難民の緊急ニーズに対応することを約束したが、さらなる対応が今すぐ必要だ。MSFは、バングラデシュにいる全てのロヒンギャ難民が人道援助、医療、保護を制約なく受けられるよう求める。また、全ての関係当局に対し、国際法に従い、迫害や拷問などの人権侵害が深刻な国に誰一人たりとも強制送還しないよう要請する。


※プライバシー保護のため、仮名を使用しています。

最近の企業リリース

トピックス

  1. 幸楽苑が2日間限定で「ブラックらーめん」発売

    幸楽苑が2日間限定で「ブラックらーめん」発売!ワンコインで神コスパぶりを紹介するはずが……誘惑に負けて大盛り注文した件

    ラーメンチェーンの幸楽苑が11月29日と30日の2日間限定で、ブラックフライデーにちなみ「ブラックら…
  2. 生成AIで誤情報発信の「福岡つながり応援」がサイト閉鎖、再構築を表明

    生成AIで誤情報発信の「福岡つながり応援」がサイト閉鎖、再構築を表明

    福岡の魅力を発信する「福岡つながり応援」キャンペーンサイトの閉鎖が、運営事務局より発表されました。1…
  3. 「タイヤマルゼン」社長が理不尽クレームに警告 ビル爆発火災報道でのCM映り込みに不当な批判

    「タイヤマルゼン」社長が理不尽クレームに警告 ビル爆発火災報道でのCM映り込みに不当な批判

    11月26日午後、札幌市中央区の繁華街ススキノ地区にある雑居ビルで起きた爆発火災事故を受け、「タイヤ…

編集部おすすめ

  1. 香川照之ドラマ復帰にファン「おかえりなさい」 WOWOW「災」で6役の難題に挑戦
    2025年春、WOWOWにて香川照之さんが主演を務める「連続ドラマW 災(さい)」が放送・配信される…
  2. (写真左から)江崎グリコ株式会社 健康イノベーション事業本部 商品開発部の池田紀子さん、日本料理店「和敬」店主の竹村竜二さん、江崎グリコ株式会社 執行役員の木村幸生さん
    江崎グリコ株式会社は、世界的にも食塩摂取量が多い日本人の食生活問題を解決するため、現行商品における食…
  3. 画像提供:ネンドザイカーSNAILさん(@nendo_snail)
    秋の味覚「栗」とスーパーマリオシリーズでお馴染みの「クリボー」を合体させた「栗ボー」を誕生させたのは…
  4. 高校生ギタリストが挑むSDGs! ペットボトルキャップから生まれた「エコピック」
    ペットボトルをリサイクルしたプラスチック製品を様々な場所で見かけますが、個人単位での取り組みはまだま…
  5. フリマアプリ「メルカリ」の発表
    フリマアプリ「メルカリ」は11月25日、自社HPや公式Xを通じ、ユーザーサポートの体制強化と新たな補…

【特集】STOP!ネット詐欺!

  1. さまざまなネット詐欺に潜入調査!

    さまざまなネット詐欺に潜入調査!

     インターネット上にまん延する、さまざまな詐欺サイトに「わざと」引っかかる潜入調査記事をまとめました。
ネット詐欺へ潜入調査!記事特集

提携メディア

ページ上部へ戻る