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日本の官民ファンドとJIBはミャンマー軍のクローニー企業と関係するメディア事業からの撤退に際して透明性を確保し責任を果たすべき

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アーユス


ミャンマー軍は2021年2月1日にクーデターを起こして以来、戦争犯罪と人道に対する罪にも相当する深刻な人権侵害を市民に対して続けています。同軍による作戦や、同軍と少数民族抵抗勢力・民主派との戦闘により国の全域でおよそ350万人にものぼる避難民が発生しています。ミャンマーには軍が所有・経営する企業のほか、ミャンマー軍に直接・間接の利益をもたらずクローニー(政商)企業が複数存在します。
 官民ファンドの株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)および株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)、そして、日本放送協会(NHK)が主たる株主である株式会社日本国際放送(JIB)は、ミャンマーのDream Vision Co., Ltd.(ドリーム・ビジョン社)に出資していますが、このドリーム・ビジョン社には、ミャンマーの大手メディア企業シュエタンルイン・メディア社(STLM)とミャンマー・ビジネス・セントラル社も出資しています。STLMは、国連のミャンマーに関する独立調査団の報告書にクローニーである、と記載されているShwe Than Lwin Groupの子会社です。
 日本とミャンマーの市民社会団体は、株式会社日本国際放送(JIB)と、日本の官民ファンドである株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)および株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)とに対し、ミャンマーを拠点とするドリーム・ビジョン社に質問を送り、既に事業から撤退しているとの回答を得ました。しかし、その回答が不十分であることから、最近の撤退に際し、全面的な透明性を確保し、人権基準を守るよう更に求めています。

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/106253/62/106253-62-2648b7614446b61423bf8fc8528bbe90-720x405.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


アーユス仏教国際協力ネットワーク
アジア大平洋資料センター(PARC)
国際環境NGO FoE Japan
ジャスティス・フォー・ミャンマー
日本国際ボランティアセンター(JVC)
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
メコン・ウォッチ

日本とミャンマーの市民社会団体は、株式会社日本国際放送(JIB)と、日本の官民ファンドである株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)および株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)とに対し、ミャンマーを拠点とするドリーム・ビジョン社からの最近の撤退に際し、全面的な透明性を確保し、人権基準を守るよう求めています。

ドリーム・ビジョン社は、長らくミャンマー軍と関係を持ってきたクローニー企業、シュエタンルイン・メディア社(STLM)の関与を得て設立されました。この事業は、ミャンマーにおける日本のメディアの存在感を高め、日本企業のために広告の機会を提供するのが目的でした。その目的の実現のため、シュエタンルイン・メディア社の地上波放送であるミャンマーナショナルTV(MNTV)の放送設備の整備を行っています。事業にはミャンマー・ビジネス・セントラル社も出資しています。

上記7団体は、これら3社の撤退が、ミャンマー軍のプロパガンダ網と関係のあるクローニー企業を利した可能性があること、また3社が2021年のミャンマー軍による未遂クーデター後の深刻な人権面のリスクに対処しなかったことについての懸念を強めています。
上記7団体が2025年6月2日付で出した質問状への回答で、日本の公共放送NHKの子会社であるJIBと、JICTおよびクールジャパン機構は、事業からの撤退を完了したと明らかにしました。しかし3社からの回答は、2021年の未遂クーデター後に人権デューデリジェンスが行われたのか、またドリーム・ビジョンがミャンマー軍のプロパガンダを支えていた可能性が検討されていたのかは明らかにしていません。

シュエタンルイン・メディア社は、国連のミャンマーに関する独立調査団の報告書で、ミャンマー軍との密接な関係から利益を得ているクローニー企業として記載されているシュエタンルイン・グループ(STLG)の子会社だと理解されています。シュエタンルイン・グループは、2017年のロヒンギャに対するミャンマー軍の「掃討作戦」を支援するために寄付を行なった企業の一つです。この作戦が原因で70 万人以上が隣国バングラデシュに避難しました。また、この作戦がジェノサイドにあたるかを争点とした事件が国際司法裁判所で係争中です。

これらの懸念に加え、シュエタンルイン・メディアと、現在はミャンマー軍の支配下にあるミャンマーラジオテレビ局(MRTV)との合弁事業であるミャンマー・インターナショナル・テレビジョン(MITV)は、2021年の未遂クーデター以降、ミャンマー軍のプロパガンダ推進に重要な役割を果たしてきました。ドリーム・ビジョンはMNTVの放送能力を強化するためのインフラを提供してきましたが、これもMITVを利するおそれがあります。

クールジャパン機構とJICTは持株会社を通じてドリーム・ビジョン社に出資し、2023年2月に株式処分に関して総務大臣の認可を取得しました。しかし、完了したのは、7団体が質問状を出してから1カ月近く後の2025年6月24日でした。JIBの回答は最小限の内容にとどめられ、2024年12月に撤退を完了したとだけ述べられています。

クールジャパン機構とJICTの出資の90%以上は日本政府の財政投融資特別会計で管理される産業投資の資金から提供されており、日本国民が実質的な大株主であることから、この透明性の欠如はとりわけ憂慮されます。JIBに関しては、主要な株主は日本放送協会(NHK)であり、公共放送のNHKの主な財源は受信料です。これに鑑み、3社は一般民間企業よりも重い説明責任を日本国民と国際社会に対して負っています。

7団体はこれら3社からの回答を受け、3社が保有していた株式がSTLGの子会社が所有するドリーム・ビジョン社に譲渡されたのか、ドリーム・ビジョンからMNTVに提供された放送設備などが撤退時にSTLGに譲渡されたのかなどをあらためて問う公開質問状を出しています。7団体は、ミャンマー軍のプロパガンダへの直接・間接の協力の評価を含む適切な人権デューデリジェンスが実施されたのかという当初の問いを繰り返し、そのような人権デューデリジェンスが実施されていた場合にはその結果を公表するよう求めました。

メコン・ウォッチの木口由香事務局長は次のように述べました。「公的資金に頼るクールジャパン機構とJICTのような事業体や、公共放送を担うNHKの子会社のJIBが、軍のプロパガンダを強化する恐れがあったことについて何も語らず、また、ミャンマー軍政と関係のあるクローニーの私腹を肥やした可能性のある事業からこっそり撤退するようなことは、認められるべきではない。公的な資金で行われる事業は、民間の事業よりも透明性とアカウンタビリティが求められる。今回の事業について3社は、更に詳しく回答する義務がある。」

ジャスティス・フォー・ミャンマーのヤダナーマウンは次のように述べました。「JIB、クールジャパン機構、JICTは、ミャンマーからの撤退について私たちが持つ懸念に対し全面的かつ迅速に回答し、ドリーム・ビジョンの事業からの撤退に際して人権デューデリジェンスが実施されたのか、その撤退がミャンマー軍による国際犯罪を支援するクローニー企業を利したのか、またどのような軽減措置がとられたのかを明らかにするべきである。3社がこれらの質問に回答しなければ、透明性の許容できない欠如と、日本の出資者が人権保護に関する責任を果たしたのかについての懸念が深まるだけである。」

2025年6月2日付の市民社会団体からの質問状
株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)への質問状
株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)への質問状
株式会社日本国際放送(JIB)への質問状

6月末のクールジャパン機構、JICT、JIBからの回答
株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)回答
株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)回答
株式会社日本国際放送(JIB)回答


―――連絡先―――
メコン・ウォッチ 木口由香 contact@mekongwatch.org
ジャスティス・フォー・ミャンマー ヤダナーマウン media@justiceformyanmar.org

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