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【うちの本棚】第九十八回 気ンなるやつら/石森章太郎

気ンなるやつら/石森章太郎今回の「うちの本棚」は、石森章太郎のファッショナブルなイラストが印象的な『気ンなるやつら』です。初単行本化の虫コミックス版は、虫コミックスの第1弾でした。

本作品は「平凡」に1965年1月号~1968年6月号に渡って連載されたもの。初単行本は虫コミックスから刊行され、これは虫コミックスの第1弾だった。


  • ちなみに虫コミックス版以後、朝日ソノラマ、双葉文庫、石森章太郎萬画全集、電子書籍と再刊行されたが、虫コミックス版のみ2話未収録となっている。虫コミックス版では、尾崎秀樹、北 杜夫両氏の解説が付されている。

    内容は気軽に読めるナンセンス調の青春コメディーといったもので、6ベエとマリッペというふたりを中心に、カミソリ、リス、ゴリラを含めた5人組が日常のさまざまな出来事や、時には事件に巻き込まれていく。6ベエとマリッペは隣同士の幼なじみで、屋根づたいに行き来する間柄。このあたりの設定はのちに『イナズマン』にも流用される。

    本作品は各話に扉がなく、タイトルを表記するために半ページほどのコマ(スペース)を使っている。このタイトル部分のイラストは毎回マリッペのファッショナブルな衣裳が印象的で、軽妙な内容と共に石森のセンスを感じさせる作品となっている。

    またコマ割りや内容にも実験的なものが見られ、『ジュン』とはまた違った意味での新境地だったのかもしれない。

    SFならば『サイボーグ009』、時代物なら『佐武と市捕物控』とそれぞれのジャンルで代表作のある石森だが、本作も青春コメディーの代表作であることは間違いない。機会があればぜひ読んでいただきたい作品である。

    書 名/気ンなるやつら
    著者名/石森章太郎
    出版元/虫プロ商事
    判 型/新書判
    定 価/240円
    シリーズ名/虫コミックス
    初版発行日/昭和43年5月30日
    収録作品/気ンなるやつら

    (文:猫目ユウ / https://suzukaze-ya.jimdo.com/

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    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
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