おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

大手メディアが求める「オタク像」には違和感を覚える

update:

オタク(おたく)という言葉が誕生してから30年程がたとうとしている。

秋葉原

オタクという言葉はそもそも、アニメや漫画を愛好する人を侮蔑する言葉として誕生したが、たくましきかなオタク達はそれを自嘲的に受け入れ、今では発端となった侮蔑語から、一般的な言葉にまでその存在意義を昇華させつつある。


  • 【関連:「アニヲタ」に関するアンケート調査~20代から40代の日本人男性の54.3%がヲタクを自覚】
     
    しかし悲しいことに、世間の認識はまだ30年前とさほど変わらない部分もあり、今だ「オタク=変質者、大人なのにアニメや漫画が好きな異常者、ダサい、コミュニケーション障害者、ロリコン」など、現代に生きる実際のオタク像とかけ離れたイメージがつきまとっている。

    本媒体は媒体名が「おたくま経済新聞」と名乗っているだけあり、以前からちょこちょこテレビ局含む大手メディアから「○○オタクを紹介して欲しい」という相談を受けることがある。
    そうした度に、知り合いやライター仲間をあたって該当者を紹介するのだが、彼らが想像する「オタク像」が、どうも現代の一般的な「オタク像」と異なるようで、実際の出演にまで至らないケースが多い。

    紹介した人から、後にメディアの反応を聞くと、どうも彼らが求めるのは以下のような人物像らしい
     
    ――大手メディアが求めるオタク像

    ▼男性の場合
    ○体格:
    太っている人が最も好ましい。もしくは極端に細身。

    ○服装:
    ・ズボン:ジーンズもしくはチノパン。スーツのズボンも可。できれば裾を折り曲げているのが好ましい。
    ・シャツ:Tシャツもしくは普通のボタン付きシャツ。そしてシャツインは基本。キャラクターがプリントされたTシャツならば尚可。
    ・ベルト:GIベルト(別名:がちゃベルト)が基本。
    ・頭:できればバンダナをしているのが好ましい。
    ・荷物:リュックが基本。できればポスターなどを挿している絵が好ましい。
    ・メガネ:分厚くて、フレームは地味目のもの。そして使い古した感があるものがより好ましい。
    ・流行:できれば流行遅れ。全体的にダサいものが好ましい。

    ○日常の行動:
    ・フィギュア店やアニメ専門店などに毎週のように出入りしている。
    ・アニメは全てチェックしている。できればプリキュアなど幼女向け、もしくは萌えキャラが多数登場するアニメが好ましい。
    ・趣味のためにじり貧の生活を送っている。

    ○食事:
    ・高級料理や凝った手料理はNG。
    ・ファストフードや牛丼チェーン店、激安ショップで購入した格安おかず、手料理でもパスタを湯でた程度などじり貧を匂わすものは可。

    ○性的嗜好:
    ロリコンか極度なアイドル好き。

    ○言葉:
    ・とりあえず「~萌え」をよく使う
    ・他人の言葉を引用するとき「~曰く」という
    ・一人称は「拙者」
    ・他人を呼ぶときは「貴君」「貴殿」
    ・語尾に「~でござる」をつける

    ○特技:
    ・オタ芸が打てる
    ・アニソンは完全網羅

    ○性格:
    ・屁理屈
    ・一人語りが多い
    ・人の目を見て話せない
    ・“一般人”との協調性がない

    ○自宅:
    フィギュアや、抱き枕、萌えグッズがところ狭しと置いてある。

    ○恋人:
    ・いない方が好ましい。
    ・できれば「俺の嫁」としてアニメキャラなどを紹介してくれることを期待している。

     
    ▼女性の場合

    ○体格:
    特にこだわりなし。

    ○服装:
    ・全体:基本あまりこだわりはないがロリータなら尚可。
    ・バッグ:キャリーバッグが基本。ハンドバッグ類については、キャラものやロリータ風など目立つものが好ましい。
    ・髪型:前髪パッツンが基本。そして結び方はツインテール、三つ編みなどロリータをイメージするものが好ましい。

    ○日常の行動:
    ・池袋の乙女ロードに毎週通ってる
    ・声優のイベントに通ったりやグッズを集めている
    ・ボーイズラブに熱中している
    ・同人誌即売会には頻繁に通っている。ボーイズラブ作家なら尚可
    ・コスプレも趣味

    ○食事:
    特にこだわりはないが豪華なものはあまり望ましくない。

    ○性的嗜好:
    「ボーイズラブのカップリングを妄想するだけで満足です。」という処女性が最も好まれる。

    ○言葉:
    特にこだわりなし。

    ○特技:
    ・コスプレの衣装製作
    ・同人誌執筆

    ○性格:
    ・内向的
    ・男性が苦手

    ○自宅:
    ボーイズラブを連想するポスターやグッズがところ狭しとならんでいる。本棚に同人誌がずらっと並ぶのは基本。キティちゃんなど女性を連想するグッズなどがあるのは可。

    ○恋人:
    特にこだわりはないが、ロリータ風の人ならば「男性の場合」で紹介したオタク像の男性とのカップリングが最も望ましい。

     

    長々と書いてしまったが、まとめるとどうもこうした人物が求められるよう。

    私はこちら側(オタク側)の人間なので、勿論最近のオタク業界の状況もよく理解している。
    その上で言わせてもらうと(趣味の部分は否定できないが)、「こんなオタクは絶滅危惧」。もしくはいても「テレビ用」。そう断言させていただきたい。

    現代に生きるオタクはそのほとんどが一般人となんら変わりのない生活を送っており、恋人がいる人も少なくない。見た目もカッコイイ・可愛い人が多いし、性格についても一般人とほとんどかわりない。貧乏度合いについては人によりけりだが、それも一般にいる「貧乏さん」とほぼ変わらないレベルだと思う。

    それなのに、何故こうまでも「オタク」に対し長らくネガティブなイメージばかりがつきまとっているのか。
    原因は明らかで、大手メディアが「オタク」という存在を紹介する際、わざわざ「大手メディアが求めるオタク像」を探してまで、さもそれが「オタク全体」として報道しているからである。

    日本の文化の一つ「オタク=ポップカルチャー」を国が世界に大々的に発信しつつある昨今。
    時流はポジティブにも関わらず、足を引っ張るよう大手メディアが報じる「オタク像」には、どうしても違和感を覚える。

    もしかすると、現代に生きる「一般人風のオタク」を報道したのでは、「数字」が取れないということもあるのかもしれない。だからといって、実際とは違う局所的な「オタク」ばかりが世間に広く報道されるのはいかがなものなのだろうか?と考える。

    (文:宮崎美和子)

    訂正:冒頭で触れていたオタクの起源について40年ほどと表記しておりましたが、30年の誤りでした。訂正してお詫びいたします。(40⇒30訂正2箇所)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • 推しから信頼されるファンとは?推し活の真理を説いたツイートに同意の声
    インターネット, 社会・物議

    推しから信頼されるファンとは?推し活の真理を説いたツイートに同意の声

  • 画像提供:たいらさおり@海自オタ完結さん(@saori_taira)
    インターネット, びっくり・驚き

    娘のためにママが描いた「イラストレーターへの道」が衝撃的 締切前のスケジュールは…

  • インターネット, おもしろ

    異業種と情報交換したいオタク 創作のためのマッチングが欲しい!

  • 商品・物販, 経済

    ヲタ活100均お助けアイテム クリアファイルを収納できる専用ファイルが超便利

  • 企業・サービス, 経済

    オタクに特化した遺品処分サービス『黒歴史抹消計画』始動! 死後薄い本や知られたく…

  • インターネット, 社会・物議

    「オタク三大聖地」の一つ大須に疑問の声 新聖地に中野や池袋を推す声も

  • 企業・サービス, 経済

    ワタミが『日本が世界に誇る2大文化 「おたく」×「居酒屋」の究極のコラボレーショ…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    海外アニメオタクに聞いた「期待の夏アニメは?」―70%もの支持をうけ『ソードアー…

  • インターネット, 雑学・コラム

    アニメや漫画ファンに朗報!「生活を切り詰めてまでお金を貯めたくなる」方法考案され…

  • インターネット, びっくり・驚き

    『中国嫁日記』作者のオタ夫がお引っ越し→玩具屋開業と勘違いされるレベル

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活
    TV・ドラマ, エンタメ

    じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活

  • 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布
    商品・物販, 経済

    誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償…

  • Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに
    企業・サービス, 経済

    Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに

  • 期間限定で大阪・関西万博をモチーフにしたデザインも登場
    イベント・キャンペーン, 経済

    モリサワ、「フォント de スタンプ」公開 大阪・関西万博モチーフも

  • メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売
    商品・物販, 経済

    メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売

  • 警告画面
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Google、goo.glリンク廃止方針を一部撤回 アクティブなリンクは継続

  • トピックス

    1. じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活

      じゃじゃ丸たちが帰ってきた!「にこにこ・ぷん NEO」で令和に復活

      今の30代~40代が幼い頃に夢中になった「にこにこ、ぷん」が、令和の時代に新たな姿でよみがえります。…
    2. 定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      夏になると、どうしてもあっさりしたものばかり選びがち。そんな中、「のり弁を冷やして食べる」──気にな…
    3. カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      東京・汐留の商業施設「カレッタ汐留」にある異色の立ち食いそば屋「そば さやか」がSNSで話題です。極…

    編集部おすすめ

    1. 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      育児用品メーカーのピジョン株式会社は8月6日、同社が2023年6月より販売している管理医療機器「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」に…
    2. 怨念渦巻く家で、ナダルと村重杏奈が「リフォームホラーハウス」に挑む

      一軒家を魔改築する「リフォームホラーハウス」、MBSテレビで放送

      一軒家を丸ごとホラー仕様に魔改築する前代未聞のホラー×バラエティ番組「リフォームホラーハウス」が、8月8日と15日の深夜にMBSテレビで放送…
    3. RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      「RTA in Japan」は8月4日、2025年夏大会において、任天堂株式会社のゲームを利用しないことについて、経緯を説明。法人による任天…
    4. Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿

      ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

      米OpenAIが開発する対話型AI「ChatGPT」の人気が、再び急上昇しています。ChatGPTのプロダクト責任者であるNick Turl…
    5. 日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある“アボカドスキャナー”が便利すぎる

      日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある「アボカドスキャナー」が便利すぎる

      アボカドはギャンブルです。スーパーなどで見かけても、どれくらい熟してるのかは見た目ではわかりません。触って確かめることもできますが確度は高く…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト