フワフワとした触り心地が癒されるぬいぐるみ。これが動いたらどんなに楽しいことか……と想像したことはありませんか? しかし、ロボット内蔵のぬいぐるみとなると、触れた時の硬さが目立ち、ぬいぐるみ本来の柔らかさや、安心感が損なわれてしまいます。そのネガティブな印象の動力源となるロボットを変化させ、ぬいぐるみに命を吹き込んだ方々がいました。

 椅子に座った蛸が3本の前足を器用にうねうね動かしている動画。こちらをTwitterに投稿したそふくりさんは、現在、裁縫とプログラミングで作れるぬいぐるみロボット製作キット「NUIBOT(ヌイボット)」を開発した東京工業大学の長谷川晶一准教授の研究室でぬいぐるみのファブリック(裁縫)を担当しています。ぬいぐるみの仕組みは、中に糸を通してモーターで巻き取るシンプルな構成になっているそうです。

 この蛸は、東京ビッグサイトで8月3日~4日に開催されたMaker Faire Tokyo 2019(メイカーフェア・トウキョウ)という展示&デモンストレーションを行うイベントでお披露目されています。

 動画では、モーターが3個内蔵された3本足だけが動いていましたが、モーターの数は増やすことができ、実際には他の足もうねうね動かせるとのこと。

 人型のロボットが多く製造される中、ぬいぐるみに焦点をあてたものを作っているのかについて聞いたところ「柔らかいものを、柔らかいまま動かすために、綿袋を糸で引っ張るアイデアを思い付いた所から試行錯誤しています。中に硬いものを入れたくないこだわりがあります」とそふくりさん。

 そのロボット愛からもわかるように、イベント前日のコメントには「いよいよ明日からですね。準備まだ終わりません!」とギリギリまで精度にこだわり、NUIBOT(ヌイボット)のモーターを新しい物に変え、以前よりも動きをパワーアップさせるまでに至りました。

 それにしても蛸のうねうねした独特の動きは、ロボットでは再現が難しかったのではと思い聞いてみたところ、逆に硬くて足が短いぬいぐるみの方がよほど難しいそうです。その点、蛸は簡単に動いたそうで、少しだけ拍子抜けしてしまいました。

 展示会では、動きに不気味さを感じるのか、泣き出してしまう子どもや、恐る恐る触りにくる子どもまでいたそうです。男性から高評価を得られそうなぬいぐるみですが、意外にも女性に人気があったそうです。

 今後は「動くぬいぐるみ水族館とか面白いかも。タコの足もモーターを増やせば全部動かせるので、近いうちに挑戦したいと思います」とそふくりさん。さらなるNUIBOT(ヌイボット)の進化に筆者も注目していきたいと思います。

<記事化協力>
そふくりさん(@softcreatureceo)

(黒田芽以)