おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

リリースプラス

地中海での難民・移民の捜索救助活動を再開──新船「オイボン号」が世界で最も危険な移民ルートへ

update:
国境なき医師団


[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/776/4782-776-b82678c6002ed3f6159d3fcfed02f586-760x506.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
国境なき医師団の新しい捜索救助船「オイボン号」=2025年11月8日 (C) MSF

国境なき医師団(MSF)は11月12日、地中海で移民・難民の海難捜索救助の活動を再開すると発表した。昨年まで運航していた救助船ジオ・バレンツ号の活動が中止に追い込まれてから、ほぼ1年ぶりの再開となる。
地中海中央部で失われる命
中東やアフリカでの紛争や迫害、貧困から逃れるため、多くの人びとが欧州を目指し命がけで地中海の横断を試みている。しかし過密状態の小さなボートが転覆するなどして、海上で失われる命が後を絶たない。地中海中央部は、世界で最も危険な移民ルートの一つとされる。


MSFの新たな救助船であるオイボン号は、ノルウェー語で「島への希望」を意味し、以前はノルウェーで救急船として航行していた。この度、地中海中央部で捜索救助活動を行うために改修され、必要な機材が取り付けられた。


MSFで地中海の捜索救助活動の責任者を務めるフアン・マティアス・ギルはこう話す。


「医療・人道援助団体として、移動を強いられた人びとを支援するという使命は揺るぎません。リビアの劣悪で非人道的な環境で拘束や虐待、搾取に耐えた末、小さなボートでの船出を余儀なくされ、海上で危機に陥った人びとがいます。私たちはそのような人たちの命を救うため、再び戻ってきたのです」
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/776/4782-776-78914231f26c03d35eeb23a4d99e7061-760x506.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
活動開始にあたって研修を行うスタッフ=2025年11月8日 (C) MSF

イタリア政府の政策が救助活動を妨害
MSFはイタリアの厳しい法律と政策の下で2年以上にわたりジオ・バレンツ号による救助活動を続けてきたが、2024年12月、活動を停止せざるを得なくなった。救助活動にさまざまな制約を加える「ピアンテドージ令」や、下船地を遠方の港に指定されるといった制限により、活動が事実上不可能になったためだ。船は最大700人を収容可能であったにもかかわらず、わずか50人の救助者を乗せて遠隔港へ向かうよう命じられることが続いていた。


「MSFがより小型で高速の船を導入する決定は、捜索救助船を標的に制限や妨害を加えるイタリア政府の法律と慣行への戦略的な対応です」とギルは話す。


MSFは地中海中央部の活動を再開することで、リビアから逃れた人びとの体験を記録することも目指している。人びとはリビア沿岸警備隊などによる海上での暴力的な拿捕、さらに、イタリアの裁判所や国連機関が国際海事法、人権法、難民法への違反だとするリビアへの強制送還に遭っている。


この数カ月、地中海を横断する人びとや人道救助船へリビア沿岸警備隊やその他の武装勢力による暴力的な攻撃が増加している。


オイボン号にはMSFの医師や看護師らが乗船し、命の危機にある人びとに医療を提供する。低体温症、燃料吸入、燃料によるやけど、さらにリビアでの虐待や拘束で負った傷の治療などを行う予定だ。
地中海での捜索救助活動
国際移住機関(IOM)によると、地中海中央部は依然として世界で最も危険な移民ルートの一つであり、2014年以降、この海域で少なくとも2万5630人の男女および子どもが行方不明または死亡した。2024年だけで1810人に上り、平均して1日5人が死亡したことを意味する。地中海を渡る人の数が減少傾向にあるにもかかわらず、2024年には2017年以降2番目に多くの人が死亡した。


MSFは2015年以来、地中海中央部で捜索救助活動を行っており、単独または他のNGOと協力して9隻の異なる救助船を運航し、9万4200人以上を救助してきた。


2023年1月、「ピアンテドージ令」がイタリアで施行され、民間救助船にのみ適用される新たな規則と、違反時の制裁措置が導入された。制裁は、港での10~20日の拘留から船舶の没収にまで及ぶ。


この懲罰的なピアンテドージ令の施行以来、ジオ・バレンツ号は4回制裁を受け、合計160日間の拘留を強いられた。さらに、2022年12月から2024年12月までの間、妨害的措置により、救助した人びとの下船のためにイタリア南部の近隣港ではなく北部の遠隔港へ向かうことを強いられ、追加で6万4966キロを航行し、163日間余分に海上にいることを余儀なくされた。

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/776/4782-776-4195b18bbd2ed28cd57b5585b0f24a5e-760x506.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
オイボン号には医師や看護師らが乗船する=2025年11月8日 (C) MSF

最近の企業リリース

トピックス

  1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

    汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

    屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
  2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

    「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

    2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
  3. アカウント1の投稿

    【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

    ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

編集部おすすめ

  1. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

    床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

    頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
  2. 工場労働者2138人、1万時間の作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

    工場労働者2138人、1万時間の手作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

    工場向け自動化ロボットの研究開発を行うテクノロジー企業、Build AIが、工場労働者2138人による合計1万時間の作業映像をオープンソース…
  3. お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

    お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

    「解体しながら飲む」が合言葉。童話でお馴染みの「お菓子の家」を、そのまま大人向けに置き換えたような、その名も「つまみの家」がXに登場しました…
  4. 作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

    作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

    作業中に「猫」と「たき火」の癒やしを感じながら集中できる……そんな新感覚のゲーム「たき火と猫」のSteamストアページが公開されました。本作…
  5. アカウント1の投稿

    【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

    ※この記事は前編からの続きです。前編では、Temuを名乗る複数のアカウントを調査する中で見えてきた構図をお伝えしました。ここからは、Temu…
Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

提携メディア

Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト