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2024年度の日本酒製造 利益が2割超減少「原料米高騰」が直撃 「業績悪化」の割合、3年ぶりに6割超える 値上げと日本酒離れの板挟みに直面

update:
株式会社帝国データバンク
全国「日本酒製造」業界動向調査(2024年度)



[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/1214/resize/d43465-1214-792449-pixta_87533539-0.jpg ]


株式会社帝国データバンクは、全国の「清酒製造業」(日本酒製造、蔵元)について調査・分析を行った。


SUMMARY
2024年度の日本酒蔵元(製造)約1000社の売上高合計は約3800億円となり、3年連続で前年度から増加した。他方で、2024年度の利益合計は93億円にとどまり、100億円を超えた前年度(125億円)から25.6%減少、「赤字」「減益」と合わせた「業績悪化」の割合は6割を超えた。日本酒の知名度向上を背景に、海外からの訪日客を中心に販売が伸びた半面、原料米の高騰が経営を直撃したことで、利益が大幅に縮小した。

[調査対象] 主業が「清酒製造業」以外の企業は除く
[注] 業績等のデータについては、2025年11時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約150万社収録)、および企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。
なお、各社の業績数値には一部推定値を含む

2024年度の日本酒製造、利益が2割超減 原料米高騰が直撃
全国の「日本酒製造」を主業とする企業(蔵元)約1000社における、2024年度の売上高合計は約3800億円となった。前年度の3775億円を0.7%上回り、3年連続で増加したほか、コロナ禍で大幅に需要が落ち込んだ2020年度以降の5年間で最高を更新した。他方で、2024年度の利益合計は93億円にとどまり、100億円を超えた前年度(125億円)から25.6%減少した。日本酒の知名度向上を背景に、海外からの訪日客を中心に売り上げが伸びた半面、原料米の高騰が経営を直撃したことで、利益が大幅に減少した。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1214/43465-1214-f9a0a1bb87a2ba84e24c074eb8e35670-557x550.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


蔵元における2024年度業績をみると、前年度から「増収」となった企業が31.9%を占め、「前年度並み」となった企業も48.7%と約半数を占めた。日本酒をめぐる経営環境は、「SAKE」の国際的な認知度向上を背景に、海外市場への輸出のほか、酒造り体験や文化的な要素を含めた「コト消費」への関心の高まりを受け、蔵元見学や試飲イベントの参加などインバウンド需要が拡大したことが業界成長のけん引役となった。国内向けでも、従前から進んだ「純米大吟醸」など特定名称酒へのシフトにより、消費者の「ハレの日」需要や、地域や酒米の種類、製法などにこだわるコアなファン層向けの高付加価値商品(プレミアム帯)の販売が堅調に推移した企業もみられた。他方で、国内の若年層では日本酒離れなどで需要縮小していることに加え、居酒屋など客単価が比較的低い飲食店向けでは、高価格帯の日本酒の仕入れが難しいといった逆風にも直面し、蔵元全体では前年度から売り上げが横ばいで推移した。

利益面をみると、黒字確保に苦戦した企業が目立った。2024年度業績で最も割合が上昇したのは「減益」(28.1%)で、前年度から7.4pt上昇したほか、「赤字」(35.7%)と合わせた「業績悪化」の割合は6割を超えた。業績悪化の割合が6割を超えたのは、2021年度(67.6%)以来、3年ぶり。原料となる酒米に加え、エネルギー、人件費など、製造に関わるあらゆるコストが高騰しており、日本酒の収益構造を圧迫した。パック酒やカップ酒、昔ながらのラベルの一升瓶商品などでよく見られる「普通酒」では、使用される加工用米の価格上昇が著しいほか、吟醸酒などに使用される「山田錦」など高品質なコメも、近時の主食用米の大幅な値上がりを受けてコメ農家が酒造好適米から作付けを転換する動きもみられ、必要数量の確保が困難となった。総じて、2024年度は「原価高騰との闘い」の様相を呈した1年となった。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1214/43465-1214-4ea4fba6af4d0480aa76d7211766bef2-554x526.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]




値上げによる収益改善、「日本酒離れ」招く懸念と板挟みの状況
2024年度の日本酒業界は、インバウンド需要や海外市場での認知度向上が成長を支えたものの、酒米を中心とする原材料費の高騰が経営を直撃し、黒字確保に苦戦する蔵元が多数を占める状況が鮮明となった。足元では、日本酒造りに欠かせない「酒米」の高騰に直面する蔵元が多く、酒米の高騰から今年度の仕込みを断念した蔵元や、十分な量の酒米を確保できず製造量を抑えざるを得ない蔵元もあると聞かれ、収益を大きく圧迫する苦しい状況が続いている。主食用米の価格高騰を背景に、農家が酒米から主食用米に生産を切り替える動きもあったことで調達が難しく、2025年産の酒米(酒造好適米)の価格は前年から「4割以上も上昇した」といった事例に直面する事例は少なくない。酒米以外にも、瓶やラベル、配送費用などのコスト負担も重く、現状の利益率を維持するためにはさらなる販売価格の見直しが不可欠となっている。

他方で、2025年には既に10%以上の値上げを実施した蔵元が少なくないほか、競合するビールや焼酎などの価格が日本酒ほど上昇しておらず、度重なる値上げがかえって「国内市場で日本酒離れを招きかねない」との懸念もある。「需要拡大」と「収益悪化」という二律背反の局面に立たされている日本酒蔵元にとって、今後は酒米の安定供給と高付加価値戦略の両立が欠かせない。

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