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百貨店の売場は、なぜ「変化」を求められるのか

update:
株式会社 平和マネキン
─ 売場運用をめぐる構造的な視点 ─

百貨店の売場は、全国で均一に運営されるものではない。立地や建物の条件、商圏の特性を背景に、それぞれ異なる役割と表情を持っている。その一方で、固定化された売場づくりだけでは、来店動機や体験価値を維持し続けることが難しくなりつつある。
本記事では、百貨店の売場運用がなぜ「変化」を求められるのかを、構造的な視点から整理する。

百貨店は「全国均一」を目指す業態ではない
百貨店は、全国で同一の売場を展開するチェーン業態とは異なる。それぞれの館が、立地や歴史、商圏の特性を背景に、独自の役割を担ってきた。
そのため、売場づくりにおいても、すべてを揃えることや均一な表現を目的とするのではなく、それぞれの館が持つ価値を最大化することが重視されてきた。
この前提を理解せずに売場運用を語ると、百貨店が抱える本質的な課題は見えにくくなる。

建物・設備という構造的制約
百貨店の多くは、長い歴史を持つ建物で運営されている。天井高、設備、躯体、搬出入動線など、物理的な制約を抱えながら営業を続けている館も少なくない。
これらは、現場の工夫や努力だけで簡単に解消できるものではなく、売場の更新スピードや機動力に影響を与える要因となっている。
売場が固定化しやすい背景には、こうした構造的な制約が存在している。

それでも百貨店が持つ強み
一方で、百貨店は今なお、都心や各地の要所に立地し、街や商圏を象徴する存在であり続けている。
長年にわたって築かれてきた信頼やブランド価値、その場所に百貨店があるという安心感や期待感は、
他の業態には簡単に代替できない。
だからこそ百貨店には、単に商品を並べる場ではなく、来店すること自体に意味を持たせる空間としての役割が求められている。

ありとあらゆる演出のなかで、人間にかなうものはない
百貨店の売場には、建築、内装、照明、映像など、さまざまな演出要素が存在する。
しかし、ありとあらゆる演出のなかで、人間の存在を感じさせる表現にかなうものは多くない。
人の姿や佇まいは、それだけで視線を引きつけ、空間に物語や温度を与える。リアルな場において「人」を想起させる表現は、装置やデジタルでは代替しきれない力を持っている。
百貨店というリアル空間において、この要素は、売場の印象や建物全体の価値を長期にわたって支える。

固定化された売場の限界と「変化」の必要性
固定した内装や什器、恒常的な売場構成だけでは、来店者に新鮮な驚きや発見を提供し続けることは難しい。
変化が生まれにくい売場は、来店動機を弱め、百貨店が本来持つ魅力を十分に伝えきれなくなる。
だからこそ、売場には意図的に「変化」を組み込む視点が必要となる。
それは単なる装飾ではなく、来店体験を更新し続けるための運用上の工夫である。

売場運用という視点
売場の変化は、単発の施策や思いつきだけでは成立しない。年間を通じた更新や、短期的な企画、
売場の表情を切り替える仕組みとして設計される必要がある。
売場を固定された完成形として捉えるのではなく、運用を前提とした空間として捉えること。
この視点が、百貨店の売場には求められている。

オンラインとの関係性という次の論点
ECは拡大を続けているが、購買体験のすべてを代替しているわけではない。
リアルな場で商品や空気感に触れ、そこで得た興味や感情を、どのように次の行動につなげていくか。
売場の変化は、オンラインとの連動を考えるうえでも、重要な接点となる。

業界内で共有される論点として
こうした百貨店の売場運用をめぐる論点は、業界内でも共有され、意見交換が行われている。
平和マネキンも、2026年1月9日に開催された日本百貨店協会の賀詞交歓会に参加し、百貨店を取り巻く売場運用の現状や今後のあり方について、関係者と意見を交わした。

最後に
百貨店の売場が「変化」を求められる背景には、一過性の流行ではなく、業態そのものが持つ構造的な要因がある。
売場運用を、建物・立地・体験・人の存在を含めた総合的な視点で捉え直すことが、これからの百貨店にとって重要な論点となるだろう。



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