猫好きの間では有名な「猫は液体」という現象。どんなところにも入り込み、その形に合わせて柔軟におさまる様子を捉えた写真集「ねこは液体」が、河出書房新社より2022年12月6日に発売されます。猫の液状化現象の決定的瞬間ばかりを収録した興味深い写真集です。

 21世初頭から、SNSを中心に囁かれるようになった「猫は液体」論。その証拠を示す写真は日々SNS上に投稿され、もはや誰も疑うことのできない現象として認知されつつあります。

 2014年7月には、フランス国立科学研究センター(CNRS)やパリ・ディドロ大学ジャック・モノー研究所で物質の動きや変形をテーマとする「流動学」を研究する物理学者、マーク=アントワーヌ・ファルダン氏が「猫の流動学について」という論文を発表。流動学の視点から猫の液状化を解説し、2017年のイグ・ノーベル賞を受賞しています。

 この摩訶不思議な「猫の液状化現象」を、全国の愛猫家の協力を得て1冊の写真集にまとめた「ねこは液体」が発売されることになりました。猫が液体となっていく決定的瞬間を捉え、その形状や特徴をカテゴライズすることにより、多様性に迫るものになっているとのこと。

 写真集では、形状に応じて液体化した猫を4つのタイプに分類。

 まずは、円形や半球体に対応した渦巻き形状の「あんもにゃいと」。ただクルリとしているだけでなく、なんとも柔らかそうな質感がたまりません。

「あんもにゃいと」

 そして、表面張力による横溢形状の「にゃぷんたぷん」。溢れ出ている部分と、きれいにおさまっている部分とのギャップが魅力の形態です。

「にゃぷんたぷん」

 半液状化による流動形状の「ぐにゃんぐにゃん」は、まるでダリの作品などシュルレアリスム絵画を思わせるようなフォルム。猫の形状を保ちながら、ゆるやかに溶けていくかのような姿は、無限の時間を感じさせてくれるようです。

「ぐにゃんぐにゃん」

 そして、あの量子力学における不確定性を示す思考実験を思わせる、六面体容器における液化形状を指した「シュレーディンガーの箱を満たすねこ」は、いわゆる「猫は液体」を示す最も象徴的なものであるといえます。なぜその形になってしまうのか、それは猫自身も知らないのかもしれません。

「シュレーディンガーの箱を満たすねこ」

 写真集「ねこは液体」は、148mm×148mmのサイズで80ページ。税込定価1430円で2022年12月6日に発売予定となっています。

情報提供:株式会社河出書房新社

(咲村珠樹)