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連日のようにテレビや新聞を賑わす人の日常生活圏へのクマ出没のニュース。今年9月には新たに緊急銃猟制度※も施行されるなど、野生鳥獣による被害への対応や高齢化によるハンターの減少が、今や自治体にとっても重要な課題となっています。県土の約39%を森林域が占める神奈川県でも同様の課題を抱えており、今後の有害鳥獣対策の担い手育成の一環として県が推進しているのが、若手・新規ハンター育成プログラム「かながわハンター塾」です。
※緊急銃猟制度とは
人の日常生活圏にクマやイノシシ等が出没した場合、一定の条件を満たしたときに、市長村長の判断 により銃器を使用した捕獲等ができる制度
・「かながわハンター塾」について
「かながわハンター塾」は、神奈川県が主催し、神奈川県猟友会と連携して、狩猟経験の浅いハンターや狩猟未経験者を対象に行う、有害鳥獣捕獲の担い手育成を目的とした実践的な研修プログラムです。主に猟銃を使った巻き狩りの実猟体験を通じて、安全な狩猟技術と知識を習得させ、地域における鳥獣被害対策の即戦力となるハンターを育成することを目指しています。
平成26年度に事業をスタートし、平成29年度からは対象を免許取得後の方に限定した、より実践的な「かながわハンター塾 2ndステージ」に移行。例年、県内の各猟区において現場実習を行っており、令和7年度の3回目は、相模原市緑区内の鳥屋猟区を会場として実施されました。
・「かながわハンター塾 2ndステージ」実施レポート
令和7年12月7日(日)、相模原市緑区の鳥屋猟区において、神奈川県が主催する「かながわハンター塾 2ndステージ」が開催されました。今回は川崎市や横浜市、小田原市、秦野市など、県内各地から10名の参加者が集まり、そのうち3名は女性の参加者でした。また夫婦での参加者もおり、公益社団法人神奈川県猟友会の指導のもと、真剣に獲物を狙う姿や丁寧に解体を行う様子がみられました。
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会場となった鳥屋猟区
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氷点下1°Cの澄んだ空気の中で行われた朝礼の様子
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獲物の捜索や追い込みをする役割の猟犬も準備万端!
■ 現場での実習 ~組猟~
鳥屋鳥獣保護協会の会長であり、猟区の案内人を務める榎田智徳さんの誘導のもと、参加者は緊張の面持ちで猟区へ移動し、銃を持ってそれぞれの立間(たつま)と呼ばれる獲物の逃げ道となるポジションにつきました。
勢子(せこ)と呼ばれる獲物を追い立てる役割を神奈川県猟友会の青年部が担い、猟犬とともに出発しました。山を囲うように、ベテランハンターと新人ハンターが交互に配置され、勢子が追ってきた獲物を仕留めようと銃を構えて待っています。
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獲物を待つ新人ハンター
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獲物の気配に銃を構える新人ハンター
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猟友会青年部のハンターも立間へ
開始から1時間半を経過した頃、銃声が鳴り響き、新人ハンターの功績とはいかなかったものの、ニホンジカ2頭を捕獲しました。
狩猟経験2年目の参加者は、「無線で獲物の情報が共有され、こちらに近づいた時は緊張感があった。自分で捕れたら最高だろうなと思った」と話し、今後の狩猟については、「また鳥屋猟区で鳥猟をしたり、北海道でエゾシカや千葉でキョンを狩猟したり、幅広く活動していきたい」と意欲を語ってくれました。
狩猟経験3年目の参加者も、「配置されてすぐニホンジカが走ってきたのが見えた。『撃って』と言われたが銃の準備ができておらず撃てなかった。それが最初で最後だった。今日でシカを見たのは2回目。人の気配を感じたからもう来なかったのかも」と残念そうな様子でした。その後もベテランハンターから猟に纏わるノウハウや過去の経験談に熱心に耳を傾けていました。
■ 現場での実習 ~解体~
狩猟後は、捕獲した2頭のニホンジカを解体する実習を行いました。神奈川県猟友会が手本として、ナイフ1本で皮と肉をきれいに分け、新人ハンターも苦戦しながら、命を無駄にすることなく丁寧に取り組んでいました。骨や筋肉の構造について学びつつ、解体は自分なりのやり方を見つけていくことが大切であると指南を受けていました。
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シカを吊るしての解体の様子
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解体したシカを部位ごとに小分けにする様子
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かながわハンター塾の参加者と神奈川県猟友会のメンバー
・鳥屋猟区が支えるハンター育成
今回ハンター塾の実践の地となった鳥屋猟区は、相模原市の南西部、宮ケ瀬湖の西側に位置する山間地域で、大正10年から続く公営の猟区で、アクセスの良さと環境の豊かさが大きな特徴です。圏央道相模原インターチェンジから車で約30分、関東圏の都市部からも無理なく来られる距離にありながら、狩猟しやすい地形や多様な生息環境が広がっています。丹沢山地に連なる豊かな森林に囲まれ、2,995ヘクタールに渡る広大な区域には、ニホンジカやイノシシのほか、多様な鳥獣が生息しています。猟区では、生息環境の整備などで狩猟鳥獣を保護する一方、入猟日や入猟者などの一定の制限をしながら狩猟を行い、保護と狩猟の調整が図られています。また、鳥屋猟区の管理運営は、地域団体である鳥屋鳥獣保護協会に委託されており、巡視員が入猟者や狩猟場所の様子を適切に把握したり、案内人が入猟者に同行したりすることで、狩猟事故の防止を図るとともに、林業関係者や登山者等の安全性にも寄与しています。
入猟する際は、案内人が付き添い、新人ハンターや初めて鳥屋猟区に訪れた人でも安心して参加することができるため、ハンターの育成の大きな力となっています。今後も狩猟文化の継承と獣害対策の要として重要な役割を果たしていくことが期待されます。
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鳥屋猟区位置図
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神秘的な雰囲気が漂う鳥屋猟区内の山
◎「鳥屋猟区」基本情報
・開猟期間 11月15日から翌年2月末日まで
・開猟日 開猟期間中の土曜日、日曜日、祝日等(元日を除く)、11月15日及び2月末日
・入猟承認料 1日1人6,300円
・主な狩猟鳥獣 ニホンジカ、イノシシ、キジ、ヤマドリ、キジバト、コジュケイ(※メスキジ、メスヤマドリを除く)
・その他 入猟には狩猟免許、狩猟者登録等の所持及び入猟日の5日前までに入猟手続きが必要
*詳細情報はこちら
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/kankyo/1026504/1015732/1015144/index.html






















