おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し出に注意を

 クリエイター支援型のコミッションプラットフォーム「Skeb」は公式Xにて、近頃海外ユーザーを名乗るアカウントから「決済手段が使えないので3000ドルを前払いする」といったメッセージが送られてくるスパム詐欺を確認したとして公表しました。

 詐欺誘導の一環として、Paypalなどの決済に誘導され、後日チャージバック(支払い取消)が発生し、作品代金が無効となるケースに巻き込まれる恐れがあると警告しています。

  • ■ 「Skeb決済が使えない」→「先払いで支払い」誘導の手口

     今回Skebが紹介した手口は、

    1.海外ユーザーを装って「Skebの決済手段が使えない」と連絡
    2.「3000ドルを先に支払うからアートを描いてほしい」と提案
    3.Paypalなど外部決済へ誘導

     という流れが典型的なパターンであるとのこと。Skeb側は、これらのメッセージが定型文的で類似性が高いこと、送信元アカウントの利用履歴が浅いことなどを根拠に詐欺の可能性を指摘しています。

     加えて、Skeb自体では多数の決済手段を提供しており、実際に30%以上が海外からの利用となっていることから、「決済手段が使えない」という主張自体が不自然であるとも述べています。

    ■ チャージバック詐欺のリスクと対策

     あわせてSkebは、以下のような注意点をクリエイターに向けて示しています。

    ・Paypalへ誘導された場合は特に注意。支払い後、後日チャージバック(払い戻し請求)される可能性がある
    ・「Skebが使えない」と言われた場合、どの決済手段を使おうとしているのかを質問するなど内容を確認(Skebでは現在、クレジットカード利用に制限はない)
    ・直接取引は極力避け、相手が提案する任意の外部サイトやサービスを使わない
    ・打診があった場合、チャージバックが発生しづらい国際送金サービス(たとえばWISEなど)を検討
    ・Skeb以外にも、海外から利用可能な仲介サービス(VGen、pixivリクエストなど)を活用すること

     このような対策を通じて、クリエイター側が詐欺被害に巻き込まれないよう呼びかけています。

    ■ クリエイター支援プラットフォームの諸刃の剣

     Skebをはじめとするクリエイター支援型プラットフォームは、国や通貨の異なるユーザー間でのやりとりを容易にすることが魅力ですが、同時に詐欺リスクも伴います。海外ユーザーとのやりとりを増やすほど、こうした類の「先払い→チャージバック」詐欺のターゲットになりやすくなります。

     今回の警告はSkebでの取引に限らず、クリエイターが発送前・納品前に代金を受け取る方式を取る場面では特に注意を要するという、オンライン取引全体に通じる教訓でもあります。実際、Paypalをはじめとした決済サービスはチャージバック対応機能を持っており、支払いの取消し請求が行われた場合、代金が差し戻されてしまうリスクがあります。

     そしてこれは単なる注意喚起にとどまらず、プラットフォーム運営者としての責任意識を示すものでもあるでしょう。クリエイターが安全に作品を提供できる環境を守るため、プラットフォーム側にも詐欺検知・通報支援機能の強化や、利用ガイドラインのさらなる整備などが引き続き求められそうです。

    <参考・引用>
    Skeb (スケブ)(@skeb_jp

    (山口弘剛)

    あわせて読みたい関連記事
  • 東京消防庁、リチウムイオン電池火災では消火後の「水没」が重要 消火動画を公開
    インターネット, 社会・物議

    東京消防庁、リチウムイオン電池火災では消火後の「水没」が重要 消火動画を公開

  • 知らなかった……チャイルドシートに厚着のまま乗せるのは危険 日本小児救急医学会が注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    知らなかった……チャイルドシートに厚着のまま乗せるのは危険 日本小児救急医学会が…

  • フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造
    インターネット, 社会・物議

    フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウント…

  • エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は注意
    インターネット, 社会・物議

    エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は…

  • 「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か
    インターネット, 社会・物議

    「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • 北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼び…

  • 「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い
    インターネット, びっくり・驚き

    「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い

  • Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起

  • 「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ

  • 山口 弘剛‌Writer

    記事一覧

    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 急成長の「まんが日本昔ばなし」公式YouTube、権利元が語る運用の現状
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    急成長の「まんが日本昔ばなし」公式YouTube、権利元が語る運用の現状

  • サクラクレパス、スペイン展示の販促物は生成AI作成と確認 チェック体制の不備を説明
    インターネット, 社会・物議

    サクラクレパス、スペイン展示の販促物は生成AI作成と確認 チェック体制の不備を説…

  • 「怒りを通り越して悲しい」ガイナックス消滅で庵野秀明氏が声明 旧経営陣との決別と内情を吐露
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「怒りを通り越して悲しい」ガイナックス消滅で庵野秀明氏が声明 旧経営陣との決別と…

  • 「思ってたのと違う」アボカドの種を放置してたらまさかの“極細”に成長
    インターネット, おもしろ

    「思ってたのと違う」アボカドの種を放置してたらまさかの“極細”に成長

  • 「にんにくとチーズの濃厚ソース シュクメルリ風パスタ」
    商品・物販, 経済

    大は総重量1kg超!パンチョから「白ナポ」を魔改造した「シュクメルリ風パスタ」が…

  • ニャンコ先生の湯けむりが身も心も潤してくれそう
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    夏目友人帳、ニャンコ先生の湯けむり加湿器登場 ルームライト機能やタイマーも搭載

  • トピックス

    1. ミライ人間洗濯機

      ミナミのホテルで「人間洗濯機」稼働開始 大阪・関西万博で注目の装置

      大阪・関西万博で注目を集めた「人間洗濯機」が、ついに大阪・ミナミのホテルで稼働を始めました。導入した…
    2. ティーバッグ使用時の悩みを解決「二番煎じ待機スタンド」 デザインを学ぶ大学院生が製作

      ティーバッグ使用時の悩みを解決「二番煎じ待機スタンド」 デザインを学ぶ大学院生が製作

      ティーバッグ、一度だけ使って捨てるのはもったいなくて、何度も繰り返し使ってしまいますよね。でも、浸し…
    3. 運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      1995年から続く老舗CGI配布サイト「CGI RESCUE」が2026年3月末での終了を発表しまし…

    編集部おすすめ

    1. Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      情報処理推進機構(IPA)は12月10日、多くのウェブサービスで使われている開発技術に重大な問題が見つかり、国内でも悪用したとみられる攻撃が…
    2. ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」で活動するライバーをサポートしている事務所4社が、所属ライバーの“退所後の活動”を不当にしばっ…
    3. パラマウントのプレスリリース

      まるで三角関係?Netflixと“婚約発表”したワーナーにパラマウントが求婚 関係を分かりやすく解説

      アメリカの映画製作・配給会社であるパラマウントが12月8日、同じくアメリカのメディア企業ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を1株…
    4. 「美味しい」じゃない、“非日常の食べ物”をめぐる5冊

      「美味しい」じゃない、“非日常の食べ物”をめぐる5冊

      「刑務所メシ」「くさい食べ物」「辺境メシ」「イスラム圏の飲酒」「殺し屋のダイナー」など、日常を外れた“食べ物”をテーマにした5冊を紹介します…
    5. 快活フロンティアの発表

      快活CLUB不正アクセスと“天才ハッカー美談”の危うさ──真面目な技術者を傷つける誤った称賛

      快活CLUB公式アプリへの不正アクセスで会員情報700万件超が漏えいした事件で、高校2年の男子生徒が逮捕された。ネットでは「将来有望なホワイ…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト