「エヴァンゲリオン」シリーズなどで知られる株式会社カラーは12月11日、公式サイトにて同社代表取締役の庵野秀明氏名義で、「株式会社ガイナックス」についての声明を発表。12月10日の官報掲載をもって、アニメーション制作スタジオ「株式会社ガイナックス」の破産整理が完了し、法人として消滅。約42年の歴史に幕を下ろしたことが報告されました。
かつて庵野氏自身も創業メンバーとして名を連ね、数々の名作を生み出したスタジオの最後。公開された文章には、静かな受け止めとともに、かつての盟友たちである旧経営陣への「決別」とも取れる、悲しみと憤りの感情が綴られています。
■ 心境を吐露した庵野氏「怒りを通り越して悲しい」
庵野氏は冒頭で、「誠に残念な最後ですが、静かに受け止めています」とコメント。2019年に当時の代表取締役社長が逮捕された事件を機に、カラー社はガイナックスの再建・整理に協力してきました。関係各社の尽力により、作品の権利や制作資料などは、正当な手続きを経て各権利者やクリエイターの元へ戻されたとのことです。
しかし、その過程で明らかになったのは、旧経営陣による不誠実な実態でした。庵野氏は、正当性を欠く権利移譲などに対し民事訴訟を行い、2023年(令和5年)1月に和解が成立したことを報告。さらに、調査の過程で目の当たりにした、借入金返済に関する不誠実さや、スタッフ・作品への敬意の欠如について言及しました。
特に、かつて大学時代の友人だと思っていた山賀博之氏や武田康廣氏、元福島ガイナックス代表の浅尾芳宣氏らの名前を挙げ、虚偽対応や、山賀氏が「入院中」と偽って居留守を使わせる指示を出していたこと、カラー社を敵対視する言動などがあったことを告白。
「これらを改めて知るに至り、怒りを通り越して悲しくなりました」「彼らとは昔のような関係にはもう戻れないであろうことを改めて思い知り、心底残念に思います」と、深い失望感を露わにしました。
■ ガイナックス最後の代表取締役・神村氏への感謝の言葉も
一方で、旧経営陣が責任を放棄した状態で、最後まで後始末に奔走したガイナックス最後の代表取締役・神村靖宏氏に対しては、感謝の言葉を綴っています。
「神村、ありがとう。そして、御苦労様でした」
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」そして「新世紀エヴァンゲリオン」……。一時代を築いたスタジオの消滅は、あまりにもほろ苦い結末となりました。しかし、散逸の危機にあった権利や資料が守られたことは、アニメ界にとって唯一の救いと言えるかもしれません。
庵野秀明による『「株式会社ガイナックス」について』
の文章をカラー公式サイトに更新しました。https://t.co/ySzQqOiuPJ— 株式会社カラー (@khara_inc) December 11, 2025
<参考・引用>
株式会社カラー(@khara_inc)
株式会社カラー公式HP「株式会社ガイナックスについて」
(山口弘剛)








































