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熊本史雄・駒澤大学教授の『外務官僚たちの大東亜共栄圏』(新潮選書)が司馬遼太郎賞を受賞!

update:
株式会社新潮社
「無謀な構想」の本丸は軍部でも右翼でもなくエリート官僚だった!――戦後80年、新たな視点から書かれた論考が高い評価を獲得。



公益財団法人・司馬遼太郎記念財団が、文芸、学芸、ジャーナリズムの広い分野のなかから、創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させる作品に授与する「司馬遼太郎賞」を、熊本史雄・駒澤大学教授の『外務官僚たちの大東亜共栄圏』が受賞しました。
日露戦争以降の日本外交が陥った「失敗の本質」を膨大な外交史料から炙り出した本書は、発売以来、多くのメディアで紹介され、第20回樫山純三賞を受賞するなど高い評価を得ています。戦後80年を迎える節目の年に、外務省の開戦責任という新たなテーマに光を当てた画期的考察です。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/47877/2546/47877-2546-9f705031b91290880e5a60605a2fb92c-1008x1504.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


【贈賞理由】
大日本帝国を生きた外務省のエリートたちは、国家のいきおいにひきずられ、無謀な膨張主義に傾斜した。いっぱんには、そう語られやすい。しかし、著者は20世紀初頭から外務省の中に、そういう気運があったという。その論述は手がたく誠実である。自分の論旨からははずれるようなデータも、きちんととりあげている。官僚組織総体を考えるヒントも多い。司馬遼太郎賞にふさわしい成果だと考える。(司馬遼太郎記念館HPより)


■ 目次
序章 拡大する権益、継受される思想
第1章 「満蒙」概念の誕生――小村寿太郎と日露戦後経営:1895―1912年
第2章 「満蒙供出」論の提唱――小村欣一の「新外交」呼応論の可能性:1917―1919年
第3章 「満鉄中心主義」の前景化――大陸国家の「国益」と幣原喜重郎:1920―1931年
第4章 「精神的帝国主義」論の提唱――傍流外務官僚たちの「逆襲」と挫折:1931―1932年
第5章 「東亜」概念の衝撃――アジア・モンロー主義と重光葵:1933―1935年
第6章 「興亜」概念の受容――日中戦争と外務省:1937―1938年
第7章 「東亜新秩序」の可能性――有田八郎による地域主義的広域経済圏の模索:1938―1940年
第8章 「大東亜共栄圏」構想の実相――松岡洋右の世界秩序構想と南洋開発:1940―1942年
第9章 「大東亜共同宣言」の虚実――重光葵の描いた「大東亜」の〈かたち〉と〈なかみ〉:1943年
終章 求められる「慎慮」、問われる「外交感覚」

■ 著者コメント

優秀な外務官僚たちが最善の選択をしようとしたにもかかわらず、戦争になってしまった。彼らの葛藤、苦慮に寄り添いながら、外務省における思想の継受のありようを丁寧に描くよう努めました。受賞に身の引き締まる思いがしています。


[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/47877/2546/47877-2546-62bba1c73df54be193a346676b58c86a-2232x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
熊本史雄氏

■ 過去の司馬遼太郎賞受賞作(第9回以降)
(※第8回までは人とその業績に重点を置いていましたが、第9回からは作品を対象とする)
第9回受賞作品……北方謙三著 『水滸伝 全19巻』(集英社刊)
第10回受賞作品……浅田次郎著 『お腹召しませ』(中央公論新社刊)、長谷川毅著 『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』(中央公論新社刊)
第11回受賞作品……山室信一著 『憲法9条の思想水脈』(朝日新聞社刊)
第12回受賞作品……原武史著 『昭和天皇』(岩波書店刊)
第13回受賞作品……宮本輝著 『骸骨ビルの庭 上下巻』(講談社刊)
第14回受賞作品……楊海英著 『墓標なき草原 上下巻』(岩波書店刊)
第15回受賞作品……伊藤之雄著 『昭和天皇伝』(文藝春秋刊)、辻原登著 『韃靼の馬』(日本経済新聞出版社刊)
第16回受賞作品……赤坂真理著 『東京プリズン』(河出書房新社刊)、片山杜秀著 『未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命』(新潮社刊)
第17回受賞作品……沢木耕太郎著 『キャパの十字架』(文藝春秋刊)
第18回受賞作品……伊集院静著 『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』(講談社刊)
第19回受賞作品……飯嶋和一著『狗賓童子の島』(小学館刊)
第20回受賞作品……葉室麟著『鬼神の如く 黒田叛臣伝』(新潮社刊)
第21回受賞作品……奥山俊宏著『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店刊)
第22回受賞作品……朝井まかて著『悪玉伝』(KADOKAWA刊)
第23回受賞作品……林新、堀川惠子著『狼の義 新 犬養木堂伝』(KADOKAWA刊)
第24回受賞作品……佐藤賢一著『ナポレオン』全3巻(集英社刊)
第25回受賞作品……石川禎浩著『中国共産党、その百年』(筑摩書房刊)
第26回受賞作品……平山周吉著『満洲国グランドホテル』(芸術新聞社刊)
第27回受賞作品……岡典子著『沈黙の勇者たち ユダヤ人を救ったドイツ市民の戦い』(新潮社刊)
第28回受賞作品……麻田雅文著『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』(中央公論新社刊)
第29回受賞作品……熊本史雄著『外務官僚たちの大東亜共栄圏』(新潮社刊)

■ 書籍内容紹介
日露戦で満蒙権益を獲得した日本は、その維持を最重要課題として勢力拡張に舵を切る。だが国益追求に邁進する外務省は、次々と変化する情勢の中で誤算を重ね、窮地を打開するため無謀な秩序構想を練り上げていく。小村寿太郎から幣原喜重郎、重光葵まで、国際派エリートたちが陥った「失敗の本質」を外交史料から炙り出す。

■ 著者紹介
熊本史雄(くまもと・ふみお)
1970年、山口県生まれ。筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。外務省外交史料館外務事務官などを経て、現在、駒澤大学文学教授。専門は日本近代史、日本政治外交史、史料学。主な著書に『大戦間期の対中国文化外交―外務省記録にみる政策決定過程』(吉川弘文館)、 『近代日本の外交史料を読む』(ミネルヴァ書房)、『幣原喜重郎―国際協調の外政家から占領期の首相へ』(中公新書)、共編著に『近代日本公文書管理制度史料集―中央行政機関編』(岩田書院)。

■ 書籍データ
【タイトル】外務官僚たちの大東亜共栄圏
【著者名】熊本史雄
【発売日】2025年5月21日
【造本】新潮選書/四六判変型ソフトカバー
【定価】1,980(税込)
【ISBN】978-4-10-603926-3
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/603926/

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