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病院経営の約14%が「債務超過」 6割が「営業赤字」に 「診療所」との利益格差が拡大 営業利益率平均は2年連続でマイナス

update:
株式会社帝国データバンク
全国「病院経営」動向調査(2024年度)



[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/1205/resize/d43465-1205-335100-pixta_99776433-0.jpg ]


株式会社帝国データバンクは、全国の「一般病院」について調査・分析を行った。


SUMMARY
2024年度の民間病院約900法人のうち、営業赤字となった病院の割合は61.0%で、前年度より6.2ポイント増加、過去20年で最悪の水準となった。また、「債務超過」の割合は13.6%となり、前年度から大幅に増加した。コスト高や人材不足が影響し、特に地方病院での赤字が顕著だった。診療報酬のプラス改定を上回るコスト上昇が収益を圧迫し、増収減益が続いている。


[調査対象] 一般病院:患者20人以上の病床を有する医療機関 
[注] 業績等のデータについては、2025年10月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約150万社収録)、および企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。
なお、病院および診療所の業績データは一部推定・予想値を含む。

2024年度の病院、約14%が「債務超過」 6割が「営業赤字」
民間が経営する「病院」約900法人のうち、2024年度の損益動向を調査した結果、本業である医療活動の利益を示す「営業損益」で、「赤字」経営だった病院の割合は61.0%だった。前年度(54.8%)に比べて6.2pt上昇し、過去20年で最悪水準となった。開業医などの「診療所」(対象:約700法人)での割合は38.4%だったのに対し、病院経営の赤字割合は約1.6倍となった。

また、倒産(経営破綻)のリスクが高まる「債務超過(自己資本がマイナス)」の割合は、病院経営で13.6%を占め、2023年度(9.9%)から3.7pt増と大幅に増加した。高額な医療機器の導入により借入金負担が増加しやすい一方で、債務償還が可能な収益確保ができない病院が多かった。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1205/43465-1205-6172e0ce262aa4ae8e4850a96832ca28-439x412.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


「営業利益率平均」をみると、2024年度における「病院」の平均は△1.76%と、大幅な赤字水準となった。前年度(△1.07%)に続き、2年連続で赤字水準での推移となったほか、単年度としては過去20年で最低となった。「診療所」平均(2.03%)に比べて3.79pt差、診療所のうち入院設備をもたない「無床診療所(クリニック)」の2.78%とは4.54pt差と、いわゆる「開業医」との間で収益力の差が広がった。

2024年度は診療報酬が+0.88%のプラス改定となった一方、コロナ関連補助金の終了、人件費や光熱費、医療材料費などのコスト上昇ペースが上回り、結果的に収益は増えても利益が減る「増収減益」に陥った病院が多く見られた。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1205/43465-1205-a9847dcd930650d07385ca0735827037-416x421.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


特に、医師の労働時間規制など、医療従事者の働き方改革が進んだことで、従前と同等量の医療措置に同人数で対応することが困難となった病院が多かった。そのため、医師・看護師をはじめ医療スタッフをより多く確保する必要性が生じ、人材を確保するために給与水準の引き上げなどで人件費の大幅な増加を余儀なくされた。人材確保が困難な地方病院では、外来診療などの患者対応力が低下し、病床稼働率の低下や来院患者数の減少につながったことで減収、営業赤字の計上を余儀なくされた。人件費以外でも、手術室やICU、CT・MRIといった医療機器など、24時間稼働が不可欠な施設では大胆な節電策を講じることが難しく、高騰した電気ガス代をそのまま負担せざるを得なかったほか、ガーゼやゴム手袋など医療資材の価格高騰、感染症対策のための設備増強や老朽化した施設の建て替えなど設備投資負担も重かった。


地方の病院で「赤字」拡大 四国は7割が営業赤字
地域別にみると(病院本部の所在地)、2024年度の病院経営で最も営業赤字の割合が高いのは「四国」(72.3%)で、全体の7割を占めた。次いで「北陸」(71.7%)、「北海道」(64.9%)、「九州」(63.8%)と続いた。最も低いのは「中部」(49.3%)で、5割を下回る水準だった。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1205/43465-1205-0a630651fb53c0f727da5139fd06c095-602x386.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



地域医療を「どう守るか」、模索続く
病院経営では、営業損益段階での黒字転換に向けて、医療需要に見合った病床の再編・休床やスタッフの数と配置の見直し、部門間の連携強化などコスト低減の取り組みが求められている。ただ、診療報酬改定による収益改善効果は限定的なほか、人件費や光熱費、医療資材の高止まりが収益圧迫要因として残る。医師の労働時間規制や働き方改革も不可逆的なものとなるなか、追加の人員確保や給与水準の引き上げが避けられないほか、医療用品の値下がりも期待できず、病院経営の経費削減努力にも限界感がみられる。特に、救急や周産期医療、広域医療など採算性の低い政策医療に貢献する病院では高コスト経営が避けられず、老朽化した病院施設の建て替え・補修が進まない、故障した医療機器が交換できないなど、赤字や債務超過額を解消するために設備投資の凍結を実施するケースもみられる。黒字化に成功した病院からは「コスト管理の意識が低い病院も多い」といった声もあるものの、病院経営をめぐる収益環境の構造的な好転が望めなければ、将来的な医療の質を低下しかねない懸念も残る。


病院経営は、特に地方部では人口減少と高齢化で医療需要の緩やかな縮小が見込まれるなか、「高コスト構造からの脱却」と、病床数に頼らない「新たな収益モデルの構築」の模索が続く。ICT・AIの導入による業務効率化や遠隔診療の普及は、特に地方での経営改善に寄与する可能性もある半面、初期投資負担が重いなど課題もあり、地域医療を「どう守るか」が問われている。

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