8月22日の18時から、PlayStation4専用ゲームソフト『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』の大会イベント“闘神激突”の決勝大会が開催された。
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○公式サイト:http://www.jp.playstation.com/cp/ggxrd/tournament/
各種ストリーミングサイト(ニコニコ生放送、YOUTUBE Live、USTREAM)でのアーカイブ視聴もここから可能。
大会の開催場所は東京都港区六本木にあるニコファーレ。
メインMCはお笑い芸人パンサーの菅良太郎さんと向井慧さん、実況は神園雄太さん、解説はアークシステムワークスの関根一利さんが務めた。
また、双方の軍に応援団長が存在。ギルティギア王者軍応援団長は吉田早希さんが、プロゲーマー連合軍応援団長は「最終兵器俺達」(最俺の略称で知られる4人組のゲーム実況グループ)のコースケさんが務め、会場を盛り上げていた。
■ 参加者は20名!プロゲーマー・ギルティギア受賞者・オンライン予選通過者
今回の戦いに参加したのは20名。プロゲーマーとして格闘ゲーム界で戦う5名、ギルティギアの大会で受賞経験を持つ5名、そして、7月から行われたオンラインの予選大会を勝ち抜いてきた10名だ。この20名を2チーム(ギルティギア王者軍・プロゲーマー連合軍)に分け、どちらが勝つのかを戦いでもって決めよう!というのが今大会の内容だ。
「ギルティギア王者軍」
小川選手、FAB選手、ナゲ選手、ススム選手、かりんちゅ選手(あーくれぼ2015代表)
(オンライン予選通過者)竹原選手、TAKA選手、コイチ選手、キーシャ選手、ハンバーグ選手。
「プロゲーマー連合軍」
ウメハラ選手、sako選手、かずのこ選手、まちゃぼー選手、どぐら選手(EVO2015代表)
(オンライン予選通過者)中村選手、中洲ベッドマン(日の出~ラスト)選手、ロイ選手、もっちー選手、あいん選手。
■ 大将による決意表明では緊張からこんな一幕も……!
プレイヤーたちは、一人ずつ名前が呼ばれていき、ステージにあがるとカメラの前でアクションを決めた。全員が出そろったあと、互いの大将による決意表明が行われたのだが、小川選手が緊張ゆえ噛んでしまう一幕も。小川選手(ギルティギア王者軍大将)は、自己紹介にくわえて「来てくれた人のために頑張りたい、ギルティギアやPlayStationを知らない人にも、ゲームが面白いことを、プレイを通して見てもらえたら嬉しい」と語った。
ウメハラ選手(プロゲーマー連合軍大将)は「不利なスタートかと思ったが、強いプレイヤーが入ってくれたため勝ち目があるのではと手応えがある。今日は歴史を変えようかなという気持ちだ」とにこやかな表情で話した。
■ ギルティギア王者軍・プロゲーマー連合軍の対戦カード!
選手名はギルティギア王者軍、プロゲーマー連合軍の順に記載。敬称は略しており、( )内は使用予定キャラクター名だ。また、バトルは3先マッチ(2ラウンド先取で1勝、それを3つ先取で勝者となる)。なお、試合後には映像を振り返りながらの解説や選手になぜそうしたかを尋ねる時間が設けられている。これにより、何がどのようになったか分かりやすく、それでいてゲームの面白さや楽しさが伝わっていた。
■ バトル1 TAKA(スレイヤー)VS ロイ(ソル)
どちらも九州のプレイヤーで同郷同士の戦いとなったカード。開幕からデンジャータイム(解説によると攻撃が当たると一気に大ダメージを与える危険な時間とのこと)。TAKA選手が操るスレイヤーは、スピードに癖があるが、技の一つ一つにパワーがあり、単発でもダメージが大きいという解説の話。また、ロイ選手の操るソルは、ギルティギアの主人公でありスタンダードなタイプで、接近戦を得意とする。
つまり、どちらも接近戦が得意なため、殴り合いになるだろうという戦前の予想となった。
このカードでは、TAKA選手が勝利を収める。2対1となったところで、ラウンド1をTAKA選手が勝ち取る。その後、ラウンド2に入り、両者接戦となるもTAKA選手がきっちりと仕留め、勝利となったのだ。まずは王者軍が1勝。
■ バトル2 キーシャ選手(ファウスト)VSあいん選手(カイ)
キーシャ選手の使うファウストはアイテムを投げて戦うキャラなのだが、ばらまかれるアイテムはランダムで決まる。対して、あいん選手の使うカイは、飛び道具や突進技やガードを崩す技を用い、スタンダードな戦い方をするキャラ。
あいん選手2,キーシャ選手0と後がなくなってしまった3戦目。キーシャ選手、右端に追い込まれて連携技を食らいあわやという場面が。しかしそこからキーシャ選手が逆転を果たす。あいん選手のカイが技スタンエッジを発動した場面で、キーシャ選手がロマンキャンセル(相手の動きが遅くなる)を発動。これにより、スタンエッジのスキを増やし、反撃の余地を作りあげ、そこで逆転したのだ。
最後は2-2と同数に。キーシャ選手、しっかりと決めて逆転勝利を果たし、王者軍が2勝となった。試合後あいん選手は「すっげー悔しいです!」という声を上げた。最後は2-2と同数に。キーシャ選手、しっかりと決めて逆転勝利を果たし、王者軍が2勝となった。試合後あいん選手は「すっげー悔しいです!」という声を上げた。
■ バトル3 コイチ選手(イノ) VS中洲ベッドマン選手(ベッドマン)
コイチ選手は今回イノを使用するが、ミリアやエルフェルトも使用する。対して、中州ベッドマン選手はラムレザルも使用する。こういった複数キャラの使用は、知識と技術があることを指す。つまり、双方テクニシャンなのだ。
試合では、コイチ選手2,中州ベッドマン選手が1の場面、中州ベッドマン選手が1勝し、2-2の同数にもつれこんだ。1R目は中州ベッドマン選手がとる。続いてのラウンドはコイチ選手。接戦につぐ接戦の末……。
コイチ選手、怒濤の攻めで3R目をパーフェクト勝利。これで王者軍3勝目となった!
■ バトル4 竹原選手(ラムレザル)VSもっちー選手(ソル)
竹原選手は今回の出場選手中唯一のパッド勢(通常のゲームパッドを使用)。アケコン(アーケードコントローラ、スティックとボタンが存在するタイプ)勢が多い中、珍しいと言えるだろう。
最初はもっちー選手が1勝。そして2勝となり、ストレートかと思いきや、竹原選手、1勝を取り返す。そしてまたまた2-2の同数へ。まずもっちー選手、パーフェクトで1ラウンド先取。しかし竹原選手、空中投げにより1ラウンド先取。ここで勝った方が勝者となる手に汗握る場面となった。決めたのはもっちー選手。プロゲーマー連合軍、初の1勝を収めた。
■ バトル5 ハンバーグ選手(エルフェルト)VS 中村選手(ミリア)
試合が始まる前、プロゲーマー連合軍応援団長コースケさんより、ウメハラ選手にお願いが。それは中村選手への応援の一言を求めるものだった。そこで発せられたのは「頑張ってください」という一言。シンプルながら柔らかい応援を投げかけるウメハラ選手だった。
試合においてはハンバーグ選手がストレートで3勝。途中では大ダメージからのマグナムウェディングによる仕上げを魅せた。このマグナムウェディングとはエルフェルトの技で、一撃必殺技と呼ばれるもの。最終ラウンドで特定の条件を満たさないと発動できない。本番でこのような仕上げが出来るのは、日頃の練習のたまものだろう。仕上げを見せつつ魅せていくハンバーグ選手。中村選手のミリアも、途中スキを見つけ下段で崩し、逆転のチャンスをうかがうも、負けてしまった。
これで王者軍4勝目となった。
■ バトル6 かりんちゅ選手(ミリア) VS どぐら選手(シン)
後半戦となるバトル6。どぐら選手の操るシンというキャラは、中距離戦が得意で必殺技から必殺技を連続で出せる。また、テンションゲージの上にカロリーゲージが存在。これは、技を連続で出すと減少していく。しかし、栄養を補給すればカロリーゲージの補給が可能だ。つまり、技の合間にカロリーゲージの管理も必要とするキャラなのだ。
試合は、かりんちゅ選手が2勝とリードする展開に。ラウンドにおいても2Rを取り、見事に決めた。どぐら選手のシンもスキをうかがって技を発動しようとするも、かりんちゅ選手のミリア、見事にそれを封じ、勝利となる。これで王者軍5勝目となった。
■ バトル7 ススム選手(チップ) VS まちゃぼー選手(カイ)
持ちネタが多いススム選手、それに対しミスター最適解と呼ばれるまちゃぼー選手。試合前のインタビューで、「自分の動きをあまり相手に見せていない、あまり手の内を明かしていない」とススム選手は話し、それに対してまちゃぼー選手は「最適解を見せつつも、プレイヤーとして成長したいので枠を越えて今までと違った自分を見せられれば」と語った。
ススム選手が操るチップというキャラは、スピードが速いが防御力が低めという特徴を持つ。
試合においては、まちゃぼー選手がまず1勝。続いて、ススム選手も1勝。気づけば2-2と同数に。この試合に勝った方が勝者となる場面。まずは1ラウンド目をまちゃぼー選手が先取!続いてのラウンドは、ススム選手ゲージを削られてしまい、まちゃぼー選手が勝利!
プロゲーマー連合軍2勝目となった。
■ バトル8 ナゲ選手(ファウスト)VS かずのこ選手(ソル)
「5年前、かずのこ選手に負けたため、今回5年ごしのリベンジとなる」と語るナゲ選手。対してかずのこ選手は「他のゲームでやってきたことを活かしてリベンジを阻止したい」と。今回の対戦カード以外にも、5年ごしの思いが含まれる試合となった。
まずは1ラウンド目をナゲ選手が取る。2ラウンド目もきっちり決めて、ナゲ選手が1勝。その後、ナゲ選手が2勝、かずのこ選手が1勝となり、ナゲ選手リーチに。続いての試合では、ナゲ選手2ラウンドをきっちりと取り、勝利を収めた。
王者軍はこれで6勝となり、星の上ではプロゲーマー連合軍に勝利する形となった。しかし、残るカードも決して「消化試合」とは言わせない勝負となったのだ。
■ バトル9 FAB選手(ポチョムキン) VS sako選手(ザトー)
試合前の意気込みを「sako選手がポチョムキン戦を2000試合ほどやったと聞いた。しかし、ちょっとやそっとではたどり着けないやりこみの場所があることを教えたい」と語るFAB選手。対してsako選手は「勝つためにやってきたので負けないと思う」と話した。
ポチョムキンというキャラは、重量系でダッシュが出来ず、機動力が低い。しかし高い防御力と接近時高い攻撃力をほこる「ポチョムキンバスター」という投げ技がある。対してザトーは、自分の分身を使って2体同時の攻撃が可能。
試合においては、まずはFAB選手が1勝。その後さらに1勝を収め、FAB選手2,sako選手0とリーチになる。そしてFAB選手2ラウンドを続けて取り、見事勝利!
王者軍7勝目となった。
■ バトル10 小川選手(ザトー) VS ウメハラ選手(ソル)
最後は、大将同士の決戦。試合前、小川選手は「自分が出せる力を出し切ってウメハラ選手をぶっつぶしたい!応援お願いします!」と熱い意気込みを語った。対して、ウメハラ選手は、「勝敗は決しているけれど、この1カ月~2カ月くらい、まちゃぼー選手に教わっていた。その教えを信じて成果を出したい」と話した。
小川選手は、7月に開催されたEVO2015「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」部門の覇者。(このとき決勝で戦ったのは、バトル8のカードにあるナゲ選手)そこで優勝賞品として獲得した、世界に3台しかない黄金のアケコンを持ってきてプレイをすることに。
余談だが、EVO2015で思い出してしまうのはガッツポーズで有名になったオシゲ選手。何が起こったのか?EVO2015での試合時、小川選手と対戦したオシゲ選手は、勘違いにより「勝った」と思ってしまい、椅子から立ち上がって華やかなガッツポーズを見せたのだ。しかし試合はまだ続いており、小川選手の冷静なプレイから負けを喫したという出来事があったのだ。なお、オシゲ選手がガッツポーズを決めた際、小川選手は冷静に手のひらに人の字を書いて飲み込んでいる。詳細は動画(https://youtu.be/0MJmbozmsis)を見ていただきたい。
ウメハラ選手と言えば、誰もが知る格ゲー界のカリスマであろう。また、KADOKAWAと日本コカ・コーラ社が共同で運営するアプリ「週刊ジョージア」で『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』が連載されている。
試合においては、第1試合目、小川選手が1ラウンド先取。2ラウンド目は、ウメハラ選手もう少しという場面で小川選手、冷静にガードを決め、攻撃を防いだ。しかし攻撃を受けてしまい、このラウンドはウメハラ選手が制した。ファイナルラウンドでは、ウメハラ選手が決め、まずは0-1となった。
2試合目、1ラウンド目はウメハラ選手、2ラウンド目は接戦から小川選手が決めた!ファイナルラウンドは、またまた接戦の末、ウメハラ選手が勝利。こうして0-2とウメハラ選手リーチに。しかし、小川選手も負けてはいない。2勝を取り、2-2の同数にもつれこんだのだ。
最後の試合、まずは1ラウンド目を小川選手が勝ち取る。続いての2ラウンド目も小川選手!誰もが息を飲んだこの大将戦、小川選手、見事勝ちを収め、王者軍8勝となった!
試合後小川選手は、「スロースターターな部分があるのだが、負けたくないという気持ちが上回ったのではないかと」語り、ウメハラ選手は、「満足です」と爽やかな笑顔を見せた。
■ 表彰式、「戦いは終わった」
こうして戦いは終わった。どの選手も「死ぬがよい」と言わんばかりに、本気をぶつけ合っていた。そのため、熱い試合の連続となり、見ている方も手に汗握る場面ばかりだったと言えるだろう。
表彰式では勝利を収めた王者軍代表として、大将の小川選手が、プレゼンターの盛田厚氏(SCEJA プレジデント)より記念トロフィーを受け取った。
そして最後、双方の大将に心境を聞く場面があった。そこで小川選手は「大会が盛り上がって嬉しい、また、「あーくれぼ」から悔しさがずっと残っていて、飲み会の後でも話をしていたことが」と話ながらメガネを外し、涙を見せた。
対してウメハラ選手は「10年以上ギルティをやっていない。久しぶりにやるということで受け入れられるか不安だった。敵とみられても仕方ないところはあったろうに、みんな丁寧に教えてくれて、勝つために全力を尽くせる空気があった。またこういう企画があったらぜひ」と語った。
王者軍の選手たちが異口同音に「ベストバウトだった」としたのは、バトル4の竹原選手対もっちー選手の対決。ギルティギアの特徴である、空中投げの応酬となった点がその理由で「お手本。教科書となるような試合だったので、できればDVD化して欲しいほど」という意見が出た。
対するプロゲーマー連合軍側からは、最終バトル10の小川選手対ウメハラ選手の対決の評価が高かった。「勝敗が決まった後でも、あれだけ盛り上がれる試合はそうない」と、ただ勝敗をつけるだけでなく「いかに見せるか」というプロゲーマーならではの見方とも言えるだろう。企画したアークシステムワークスの関根さんが「小川選手対ウメハラ選手を見たい」とマッチアップしたもくろみは大成功だったということだ。
勝敗を分けたのは「やり込み」の差だ、と王者軍の選手たちは語った。つまりゲーマーとしての情熱をどれだけギルティギアに注いできたか、というところで勝利をものにしたかのもしれない。しかし、星取りこそ差が開いたものの、それぞれの勝負を詳細に見ていけば僅差の名勝負が連続した。プロゲーマー連合軍も短い準備期間のうちにシステムと、相手の戦い方を分析し、ここまでの勝負を演じることで、そのポテンシャルの高さを改めて観客に認識させる結果となった。その証拠に、ニコ生でのユーザー満足度は異例の96.6%をたたき出した。王者軍のギルティギア愛ともいえる「やり込みの力」と、プロゲーマー連合軍の「プロの実力」が真っ向からぶつかり合い、飛び散った火花が観客の心にも飛び火して燃え上がったということだろう。
熱く引き込まれる試合というだけでなく、ゲームの面白さ・楽しさやエンターテインメント性、全てが詰め込まれた“激突”だったのだ。
■製品情報
『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』アークシステムワークス(株)
フォーマット:PlayStation4
Blu-ray Disc版 希望小売価格:6980円(税抜)/7538円(税込)
ダウンロード版 販売価格:5980円(税込)
公式サイト:http://www.ggxrd.com/cs/
(取材・文:咲村珠樹/らくしゅみっくす)