北九州市小倉北区の山田緑地。この秋、ここに6,000人もの親子の笑顔が花咲きました。 これは、北九州市のすべてのこどもが主役になれる公園を作るプロジェクト、「インクルーシブな遊びの体験会」を開催した記録です。
「すべてのこどもが主役」の体験会
２０２５年９月27日(土)～10月19日(日)の20日間、遊びながら聞く～”インクルーシブな遊び”の体験会～と題し、山田緑地でインクルーシブ遊具の体験会やミツバチ巣箱の観察などのインクルーシブな自然体験会を開催しました。「（障害のある）弟と一緒にブランコに乗れて嬉しかった」。会場でこぼれた笑顔は、この街に「新しい居場所」が必要とされていることの証しでした。 北九州市は、この体験会で得られた市民の“声”を核に、未来の公園づくりを本格的に始動します。
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なぜ、この挑戦が始まったのか？
～「こどもまんなか」を、言葉だけで終わらせないために～きっかけは、「切実な声」との出会いです。 昨年度、特別支援学校に通う保護者の方へのアンケートで届きました。
「トラブルを避けるため、誰もいない早朝5時に公園に行っています」 「子どもが周りに迷惑をかけないか、そればかりが不安で……」そこにあったのは、他の子に迷惑をかけないように遊ばざるを得ない親子の姿でした。
一方で、子どもたち自身からも「（障害のある）弟と一緒に遊びたいけれど、遊べる遊具がない」という純粋な声が寄せられました。
北九州市が目指す「こどもまんなかCity」。それは、大人の都合ではなく「こどもの目線」で考え、こどもを「社会を構成する一人の市民」として尊重するまちのことです。元ある公園に「自分の居場所がない」と感じている子どもたちがいるのなら、まずはそこを変えなければならない。私たちは公園を「まちの価値を高める舞台」と再定義し、「公園大作戦」として“すべてのこどもが主役になれる公園”への挑戦が始まりました。
体験会で見えた、3つの「景色」
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「一緒に」を“当たり前に”選べる喜びこれまでは遊具や身体能力の違いで、どうしても「別行動」にならざるを得なかったきょうだい。しかし、ここには分断する壁はありませんでした。家族が一つになれた瞬間です。
「弟と一緒にブランコに乗れて嬉しかった！」（障害のある弟さんと来た小学生）
「年の離れた兄弟が、同じ遊具で一緒に笑いあえてよかった」（2児のお母さん）
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大人たちがハッとした、「見えていなかった」現実この体験会は、子どもだけでなく、大人の意識も変えました。普通の遊具では遊べない子がいること、他の親子に気遣いながら遊んでいる家族がいることに、多くの人が初めて気づき、衝撃を受けました。
「車イスの子どもは普通の遊具では遊べないことに、親として初めて気づきました。ハッとさせられました」（2児のお母さん）
「こんなにたくさん障害のあるお子さんがいることを、初めて知りました。この公園は絶対に必要です」（2児のお父さん）
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境界線が消え、ただ「子ども」になれる時間「障害があるから特別」ではなく、同じ場所で、当たり前に混ざり合う。障害を持つ子どもたちと常に接している専門家も、その自然な姿に希望を見出しました。
「障害のある子が、同世代の子どもたちに混じって自然に遊べている。こんな光景が見られるなんて、本当に嬉しいです」（児童発達支援事業所の職員さん）
この挑戦は、まだ始まったばかり
～ あなたの“声”で、公園はもっと優しくなれる ～今回の体験会は、私たちにとっても大きな「学び」の場でした。「楽しかった」という喜びの声だけでなく、「もっとこうしてほしい」「ここが使いにくかった」という改善に向けた貴重なご意見もたくさんいただきました。
北九州市が目指すのは、単にインクルーシブ遊具を置くことではありません。「こどもまんなか」の視点に立ち、障害の有無にかかわらず、「すべてのこどもが主役」として尊重される居場所を、市民の皆さまと共に創ることです。そのため、さらに丁寧に“声”を聞き、共に考え、感じながら進めるべく、障害のあるお子さんを持つご家庭へのアンケート調査や支援団体への意見交換を行っています。
そうして集まった“声”を一つひとつ積み上げ、モデルとなる公園の整備に取り組み、「社会の中に自分がいる」と感じられる場所を広げていくため、北九州市は一歩ずつ、着実に歩みを進めていきます。
当日の様子（Facebookリンク）
