「仲よきことは美しきかな」――そんな言葉でも知られる白樺派の文学者・武者小路実篤。
彼が大正7年に創設した理想共同体「新しき村」(埼玉県毛呂山町)が、今後100年を見据えた再生プロジェクトを始動しました。
公益財団法人 新しき村は2月10日、再建に向けた新たな取り組みとして「村長募集」「懸賞論文募集」「土地活用を主眼とした企業誘致」「クラウドファンディング」の4施策を発表しました。
新しき村は、名前に「村」とつきますが、いわゆる自治体の村ではありません。実篤が掲げた「人間らしく正直に生きる」という理念を基盤に、自給自足と共同生活を理想とする場として始まったコミュニティーです。
創設から100年以上が経過した現在、村の住人はわずか3人。昨年3月に内閣府の認定を受け公益財団法人となりましたが、運営体制や将来像の再構築は避けて通れない課題となっています。
■ 理想郷が“村長”を募集
今回のプロジェクトの中でも特に目を引くのが「村長募集」です。
任期は2年、非常勤で報酬を目的としません。武者小路実篤の精神を理解し、村の未来像を描きながら再生の実行を担う人物や団体を広く募るといいます。
いわゆる自治体の首長とは異なり、理念を継承する“舵取り役”としての役割を担うものとなっています。
募集期間は2026年3月31日まで。詳細は「新しき村」公式サイトで確認できます。
■ 最優秀賞300万円の懸賞論文
あわせて実施される懸賞論文のテーマは「新しき村再生 武者小路実篤の理念を生かした21世紀型グランドデザイン」。
土地活用の具体策、農業・観光・芸術などを組み合わせた事業計画、収支計画、村内会員の生活安定と村外との交流拡大策までを含む総合提案を募ります。
最優秀賞は300万円で、個人・グループ、年齢や国籍、職業を問わず応募可能です。
募集期間は2026年8月31日までとなっています。
■ 村の理念と共存する企業の誘致も
新しき村は約10ヘクタールの土地を有しますが、休眠状態の宅地も多いといいます。そこで、村の理念と共存しながら新たな事業の可能性を開拓する「企業誘致」も進められます。
また、老朽化した建物や設備の修繕、来訪者が安全に滞在できる環境整備を目的としたクラウドファンディングも2月末から実施予定です。
100年以上続いてきた理想共同体は、いま住人3人という現実と向き合っています。その再生の行方は、教科書で読んだ武者小路実篤という名前を、ふと現在へと引き寄せる出来事といえるかもしれません。
「新しき村」全景画像:(C)小輪瀬光夫






























