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ティッシュで「ミロのヴィーナス」の胸像を制作 再現度に感嘆の声

 「ミロのヴィーナス」と言えば、よく知られる彫刻のひとつ。学生時代に教科書などで目にしたことがある方は多いと思います。こうした彫刻は通常、石や金属、木材などを彫ったり、肉付けしたりして作る手法が一般的ですよね。

 そんな概念を覆し、「ヴィーナスの胸像」を表現してみせたのは、ツイッターユーザー・オヤノスネカジリムシさん(@EMjEDTrkAWbvIOY)。素材に用いたのはなんと「ティッシュ」!かつて見たことのないユニークな作品に、大きな注目が集まっています。

  •  オヤノスネカジリムシさんは、多摩美術大学・工芸学科に在籍している、現役の美大生。今回の作品は「紙でヴィーナスの胸像を模刻する」という全員共通の課題で制作を行ったものなのだそう。

     課題自体も一風変わっていますが、その材料にティッシュを選ぶとはなんとも独創的。「石膏でできた硬い質感の像を、柔らかい質感を持ったティッシュで作れば、面白い作品ができるのではないか」と考えたことがきっかけだったそうです。

     その制作方法は、段ボールで大まかな骨格を作り、ボンドを使用してティッシュを接着していくというもの。石膏像と比べてティッシュは光が透けるため、陰影や輪郭の表現がしにくいという難点があります。そのため、元のヴィーナス胸像とは少し形を変えて、明暗がはっきり出るように造形が工夫されています。

     特に鼻の部分はこだわりが詰まったポイント。ティッシュで作ると、どうしても目や口のような細かいところは見えづらくなってしまうので、顔の印象を大きく左右する鼻はよく観察して、正確に再現することを心掛けたのだそうです。

    顔のパーツごとにティッシュの大きさが異なります

    横から見ると輪郭の作り込みが良く分かります

     たしかに、完成した作品を見ると一見ティッシュを丸めてくっつけた、アイデア先行の作品のように見えますが、顔のパーツ毎に、ティッシュひとつひとつの大きさや形を変えることで質感が表現されており、こだわった鼻の部分についてはティッシュを小さくして、細かく形が作られていることが良く分かります。

     作品制作にかかった時間はおよそ30時間。ティッシュ5箱分によるヴィーナス胸像には、なんと9万件もの「いいね」が付き、多くの方が感嘆の声を寄せています。

     実はこれまで石膏像を描いたり作ったりしたことがなく、不安も大きかったというオヤノスネカジリムシさんでしたが、「最終的には自分の満足のいく作品ができて、とても達成感がありうれしかったです」と、満足している様子。なにより、日々多くの創作物が投稿されるツイッターで、自身の作品が脚光を浴びたことは、大きな自信となったことでしょう。

    <記事化協力>
    オヤノスネカジリムシさん(@EMjEDTrkAWbvIOY)

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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