その活動成果の一つとして、この度、当社と筑波大学 藤桂准教授 (筑波大学人間系/筑波大学働く人への心理支援開発研究センター)の共著論文 "Development of a formative evaluation tool for coaching processes from the coachee and coach’s perspectives" (「コーチ・コーチィー両者の視点から測定するコーチングプロセス評価尺度の開発」)が、経営学系学術誌である『Journal of Management Development』に掲載されたことをお知らせいたします。
| 研究の背景と概要
ビジネス領域におけるコーチングへの注目が一層高まっている昨今、今まで以上に質の高いコーチングセッションが求められています。しかしながら、コーチングが多種多様な目的に向けて実践されることを背景に、そのセッション評価はこれまで、多くが成果に基づく「総括的評価(Summative Evaluation)」に依存してきました。このような現状に対し当社は、国際コーチング連盟(ICF:international Coaching Federation)のコアコンピテンシー*¹ に基づき、コーチングにおけるコーチの関わりやコーチングスキルを評価するためのアセスメントとして、2016年3月に「Ayce(Accelerate your Coaching Effectiveness)」をリリースし、無償提供してきました。
今回『Journal of Management Development』に掲載された本論文は、この項目内容をアップデートするとともに、コーチとコーチィー(クライアント)双方の視点に基づき、コーチのスキル・態度、およびアプローチからコーチングの質を評価する学術的尺度として、2023年に開発したCSES(Coaching Session Evaluation Scale)について、その開発過程および妥当性の検証結果をまとめています。
なお、本研究の成果は、2023年9月15日~17日に開催された日本心理学会第87回大会において、筑波大学 藤桂准教授とともに「コーチングのプロセス評価尺度に関する研究」として発表したほか、2024年5月3日~4日(米国東部時間)にボストンで開催された、米国コーチング研究所*²(IOC:Institute of Coaching) が開催する年次総会 "Coaching in Leadership & Healthcare Conference" において、 "How Can We Evaluate Coaching Sessions? Validation of the Session Evaluation Scale and Its Relationship with Coaching Effectiveness"(コーチングセッションをどう評価するか?セッション評価尺度の検証とコーチング効果との関係)としてポスター発表もしています。
*¹ 国際コーチング連盟(ICF:international Coaching Federation)のコアコンピテンシーとは
コーチングに関する世界最大規模の非営利団体である国際コーチング連盟が、優れたコーチの行動特性をまとめたもので、「基盤を整える」「関係をともに築く」「効果的なコミュニケーション」「学習と成長を促す」の4つの要素から成り立っています。
*² 米国コーチング研究所(IOC:Institute of Coaching)とは
ハーバード大学医学大学院の関連機関であるマクリーン・ホスピタルに所属する非営利のコーチング研究機関として、2009年に設立されました。以来、コーチング分野の価値と信頼性向上を目的に、調査研究の発表、学習機会の提供、カンファレンス開催などを通じ、調査研究や科学的根拠に基づくコーチングの実践と理論の普及に努めています。
また、IOCが毎年開催する年次総会 "Coaching in Leadership & Healthcare Conference" では、登壇者である世界トップクラスの科学者やコーチング研究者と参加者が、コーチングのさらなる進化と、自己、他者、組織のイノベーションを呼び起こす方法を共に探求しています。
| 掲載論文の概要
[表: https://prtimes.jp/data/corp/53380/table/109_1_d223f181412d460cf3d78d5e84ce87b2.jpg ]"Development of a formative evaluation tool for coaching processes from the coachee and coach’s perspectives" では、主に以下について明らかにしています。
2つの研究を通じ、尺度項目の作成および妥当性の検証を行った。研究1では、コーチ478名の協力を得て、尺度の因子構造、信頼性、および妥当性を評価した。研究2では、コーチィー(クライアント)284名の回答に基づき、尺度の因子構造と妥当性を検証した。
これらのプロセスを通じて開発された31項目のCSESは、十分なモデル適合度と信頼性を示した。また、CSESのスコアがコーチ・コーチィー間の信頼関係、目標達成度、およびアクションの明確さと正の相関を持つことが確認された。
CSESによって、コーチとコーチィー双方が同じ評価枠組みを用いて、セッションのプロセスを評価することが可能となる。
注
CSESに関する著作権その他一切の権利は株式会社コーチ・エィに帰属します。
CSESを学術的な調査研究にご利用になりたい方は、論文をご高覧のうえ、コーチ・エィまでお問い合わせください。
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| 株式会社コーチ・エィについて
コーチ・エィは、組織変革を実現するエグゼクティブ・コーチング・ファームです。人と人との関係性に焦点をあて、システミック・コーチング(TM)というアプローチで、組織全体の変革を支援する対話を通じた組織開発を推進しています。
1997年の創業(当時はコーチ・トゥエンティワン)以来、約30年にわたりパイオニアとして日本におけるコーチングの普及・拡大に貢献してきました。クライアントの約8割(売上高比)がプライム市場に上場している大企業です。また、コーチ人材の開発にも力を入れており、今まで1万人以上のコーチを輩出してきました。
2008年にはコーチング研究所というリサーチ専門の部署を構え、世界に先駆けてエビデンス・ベーストのコーチングサービスを提供してきました。豊富なコーチング実績の分析データをもとに、コーチングに関する学術研究や成果の可視化に向けた研究に取り組んでいます。
東京のほか、ニューヨーク、上海、香港、バンコクに拠点を構え、日本企業の海外拠点はもとより、海外現地企業にもコーチングを提供しています。世界的なコーチ養成機関の草分けであるCoach Uを2019年に子会社化するなど、さらなるグローバルネットワークの拡大を図っています。