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海洋生分解性プラスチックの実環境での生分解性を実証する評価手法を定めた国際規格が発行されました

update:
   
NEDO
海洋・湖などで「分解」にどれだけの時間がかかるのか簡便に評価できます



 NEDOの委託事業である「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」(以下、本事業)において、海洋・湖などの水環境下での生分解を実証する評価手法の国際規格ISO16636:2025(以下、本規格)が発行されました。この評価手法は、海洋生分解性プラスチックの社会実装を迅速化するため、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が本事業の一環で開発したものです。
 本規格で規定される評価手法は従来のものとは異なり、大掛かりな試験設備が不要で、かつ試験実施者のスキルや経験などの個人差によらない簡便な方法です。また、淡水系を含めた水環境のどこででも試験を実施可能である点も本規格の特徴の一つです。
 本規格が活用され、より簡便な海洋生分解性の評価が可能になることで、日本のみならず諸外国での海洋生分解性プラスチック製品の普及を後押しし、市場拡大につながることが期待されます。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/173/135644-173-24e15aa68e3de979c38379e1bf2c2a29-3900x2194.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 開発された評価手法のイメージ

1.背景
 海洋プラスチック問題が深刻化する中で、海洋で生分解するプラスチックの開発と普及が問題解決のための一つの方法として期待されています。開発された海洋生分解性プラスチックの製品が実際の海でどの程度の期間で分解されていくのか、あるいは海水中でどれくらいの期間、使用に耐えられるのかを評価するためには標準化された手法が必要です。実海域での試験方法は既にISO 22766※1が発行されていましたが、工事を必要とする大掛かりな試験方法であり、日本での評価実績はなく、より簡便な評価手法が求められていました。
 このような背景の下、2020年度から本事業※2の一環で、産総研が海洋生分解性プラスチックの評価技術の開発を進めてきました。
2.今回の成果
新たな評価手法の開発とISO発行
 NEDOと産総研は本事業において、一般社団法人日本バイオプラスチック協会、国立大学法人神戸大学、国立大学法人鹿児島大学の協力を得て、地方独立行政法人大阪産業技術研究所、滋賀県東北部工業技術センター、広島県立総合技術研究所西部工業技術センター、愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターと連携しながら、海洋生分解性プラスチックの評価手法の開発を進めてきました。
 今回開発した評価手法は、試料を設置する容器に海水が自由に出入りすることで、海洋を浮遊する状態を模した平易なものです。また、従来の浸漬による崩壊試料の回収操作は個人差が出やすいところ、今回の評価手法では評価項目に厚みの減少速度を取り入れることで破片になるまで浸漬することなく、より短期間の浸漬で試験実施者のスキルや経験などによらない結果が得られるようになりました。
 本規格の提案はISOワーキンググループ内でも各国の多くの好意的な関心を得て審議され、簡便な手法ゆえの問題点や破片化した試料の海洋への散逸や試料表面への異物の付着などにどのように対処するかなどの課題を一つ一つ解決しました。さらに、産総研海洋生分解性プラスチック標準化コンソーシアムや関係機関からの意見を取り入れて改良され、本規格の発行となりました。

社会実装に向けた取り組み
 本規格の社会実装に向け、本事業の協力機関である日本バイオプラスチック協会は海洋生分解性プラスチック識別表示制度の枠組み内で積極的な活用を検討しています。海洋生分解性プラスチックの生分解進行速度は海域によって異なるため、試験実施機関のネットワーク化により複数海域での同時浸漬試験を実行できるワンストップサービスを検討しています。日本バイオプラスチック協会は、当該評価手法の詳細を周知するために、6月18日(水)にオンライン説明会を実施します。詳細は、日本バイオプラスチック協会のホームページをご覧ください。
 日本バイオプラスチック協会 http://www.jbpaweb.net/
3.今後の予定
 本規格は、大掛かりな試験設備や試験実施者のスキルや経験などを必要とせずに実施できる簡便な試験法であるため、欧米諸国のみならず、日本を含むアジアの国々で実施可能な評価手法です。この規格が有効に活用されることにより、海洋生分解性プラスチック製品の普及を後押しし、市場拡大につながることが期待されます。
 また、NEDOでは本事業に加えて、本2025年度から開始する「長期海洋生分解性プラスチック評価技術開発事業」においても、数年から10年以上といった長期にわたって耐久性が求められる生分解性プラスチック製品の海洋生分解を予測する評価手法と安全性評価手法の開発を行います。NEDOはこれらの取り組みにより、深刻化する海洋プラスチック問題の解決に貢献します。

【注釈】
※1 ISO 22766:2020 Plastics - Determination of the degree of disintegration of plastic materials in marine habitats under real field conditions
プラスチック-実環境条件下での海洋生息地におけるプラスチック材料の分解度の測定
プラスチックの実海域での崩壊を調べる試験方法の一つ。試験は海域に限定され遠浅の潮間帯のうち潮汐の影響を受ける地点と海底とで行い、海底での浸漬では試料保持器具の設置により行われる。2mmのメッシュ上に残存する試料の量で評価される。
※2 本事業
事業名:海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業
事業期間:2020年度~2024年度
事業概要:海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100168.html

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