
市場調査会社Mintel Groupの日本法人であるミンテルジャパン(東京都千代田区)が発表した最新レポート「プレミアムVS バリュー - 日本- 2025」では、物価高騰による節約生活が長期化する中、日本の消費者が極端な「メリハリ消費」へと突き進んでいる実態を明らかにしました。
※ミンテル:ロンドン本社を含め14か国にオフィスを構え、美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。2021年より日本市場向けにミンテルジャパンレポートを発刊。
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ミンテルの行った消費者調査によると世界的に「生活費」が最大の懸念事項となる中、日本の消費者は、特に日々の生活費(例えば家での食事、外食、日用品)を徹底的に切り詰め、その節約によって生み出されたお金を、旅行・娯楽といった体験のために支出をしたいという強い意向がうかがえます。これらの調査結果から、「気分・気持ちの向上」を重視し、限られた予算の中で満足度の高い体験を追求する新しい消費スタイルが浮き彫りとなりました。
この変化は企業にとって新たなビジネス機会を示唆しており、日常の買い物にゲーミフィケーション要素を取り入れるなど、消費者の生活に「ワクワク感」をもたらす施策への注目が高まっています。
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※本リリースの調査結果をご利用いただく際には、必ず【ミンテルジャパンレポート『プレミアム vs バリュー - 日本 - 2025』より】とご明記ください。
ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://www.mintel.com/jp/jr-Sep-2025-1
世界共通の「懐の痛み」だが、消費者は”体験”をあきらめない
ミンテルのグローバル消費者調査(2024年9月実施)の結果は、世界各国の消費者にとって、「生活費」が最も顕著な懸念事項であることを示しています。
この背景にある要因としては、食料品価格の高騰があげられます。実際に多くの国(例えばアメリカ、イギリス、スペイン)において、半数以上の消費者が日常生活を送る上での悩み・不安として「飲食品の価格増加」を挙げています。さらに、ヨーロッパ諸国ではエネルギー価格の高騰が経済活動だけでなく、消費者の懐にも響いています。他にも生活を送る上で避けられない支出が消費者の経済的負担を増加させています。
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調査対象: 16歳以上のインターネットユーザー1,000人(英国、ドイツ、フランス、ブラジル);18歳以上のインターネットユーザー1,000人(米国、オーストラリア、タイ、日本、韓国)
出典: Mintel、2024年9月
また、同調査では、世界各国で大半の消費者が今後の自身の家計状況に対して「大丈夫である」「問題はない」と回答しています。しかし、その一方で危機感を抱いている* 消費者の割合が30%前後と高い傾向にある国も少なくありません(グラフ参照)。したがって、経済的余裕が少なく、消費を抑える必要性を感じている消費者は、どの国でも一定数存在するといえるでしょう。
* 「かなり心配している」「もうこれ以上悪くならないほど、すでにかなり悪い」を選んだ回答者
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調査対象: 16歳以上のインターネットユーザー1,000人(英国、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、ブラジル)18歳以上のインターネットユーザー1,000人(米国、オーストラリア、タイ、日本、韓国)
出典:Mintel、2024年9月
さらにOECDが発表するconsumer confidence index(消費者信頼感指数)は、2022年のインフレピーク時から回復軌道をたどりながらも未だに低調で、消費者の景気に対する懸念を表していると言えます。このような状況を鑑みると、今後も消費者の間では、消費に対して慎重な姿勢が継続されると推測されます。
「追加の裁量支出の優先順位」を見ると、世界各国で大半の消費者が、自由裁量で使えるお金の使い方として「貯蓄・投資」を優先しており、節約志向の高まりがうかがえます。
しかしその一方で、贅沢や嗜好のための支出(例えば「食事に出掛ける」「衣類・靴・アクセサリー」「エンタテイメント」)を優先する傾向も少なからず見られます。これは、生活費危機下であっても、自分へのご褒美や消費の満足感は諦めたくない、という消費者心理を反映していると言えます。
実際に、生活費危機の影響が長引く中でも、ラグジュアリーセクターは好調であり、旅行業界は回復軌道に乗っていることから、一部の消費者は消費意欲が活発であることが分かります。
つまり、消費者は節約志向を強める一方で、自分の満足のための消費の機会も図っていると言えるでしょう。
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調査対象: 16歳以上のインターネットユーザー1,000人(英国、ドイツ、フランス、ブラジル)18歳以上のインターネットユーザー1,000人(米国、オーストラリア、韓国)
出典: Mintel、2024年9月
「日々の食事」より「心の充足」 を優先する日本人の消費哲学 食費削減で旅行・娯楽費を捻出、20-30代が牽引する新消費スタイル
日本の買い物・消費に対する意識を調査すると、日本の消費者の半数が日常の買い物で節約を心がけていることがわかります。クーポンや割引コードなどの使用を通して安い価格での購入、欲しくても必要ではないものは購入を控える、などして慎重に支出をコントロールしている様子がうかがえます。
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調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人
出典: Mintel、2024年11月
「支出・消費における優先度」を年代別に見ると、20代女性は複数のカテゴリーで支出を増やしたい人の割合が高く、「旅行やバケーション」「娯楽やレジャー」への支出欲だけでなく、身だしなみや自己研鑽にも積極的に支出する意向が見られます。
一方、日々の食費への支出を抑えたい人の割合が顕著に高く、普段から節約に勤しみ、自分に満足感をもたらしてくれるものに支出するお金を捻出する姿がうかがえます。
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調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人
出典: Mintel、2024年11月
さらに、30代女性は全体に比べて「旅行やバケーション」「娯楽やレジャー」へ積極的に支出する意向が見られます。一方、家での食事や健康・フィットネスへの支出を抑えたい人の割合が高く、日々の生活費を削ることで、楽しみや特別な体験のために使うお金を捻出している姿がうかがえます。
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調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人
出典: Mintel、2024年11月
消費の最終目的は「充実した」自分づくり 気分向上を求めて体験消費へ、企業は日常体験の価値向上が新商機
そんな日々の生活費を削っている日本人が、今後いずれかのカテゴリーにおいてもっとお金をかけたい動機としては、日常生活の楽しみや特別な体験の追求が最も顕著です。このことから、普段節約を心がけている人の多くは、たまに贅沢ができるように節約に努めていることともつじつまが合うと言えます。
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調査対象: 18歳以上のインターネットユーザー2,000人
出典: Mintel、2024年11月
そんな中、消費者が「気分、気持ちの向上」を理由に今後もっとお金をかけたいと思うのは、主に「旅行やバケーション」「娯楽やレジャー」*です。一方、他に自分へのご褒美となる「BPC商品」「衣服やアクセサリー」「外食」に対する支出増加の意向を持つ割合は低い結果となりました。
*「日々の生活を楽しくしてくれる」「日々の生活に小さな贅沢・幸せをもたらしてくれる」を理由に支出を増やす消費者においても同様の結果が見られる。
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調査対象: 「商品・サービスが提供する「価値」に関する考え方」に関して「気分、気持ちの向上」を選択した、18歳以上のインターネットユーザー425人
出典: Mintel、2024年11月
ビジネスチャンス
日常の買い物をゲーム感覚で楽しめる施策を通じて、ブランドとエンゲージメントを高める
多くの消費者が支出を増やしたいカテゴリーとして「娯楽やレジャー」が挙がっており、消費者は日々の生活に手軽な楽しみや気晴らしを求めていることがうかがえます。ブランドとしてもエキサイトメントを体現し、消費者の生活に刺激をもたらすことで、消費者との関係性を深めることができるでしょう。
日常生活に楽しさとワクワク感をもたらす施策の例として、食品や日用品の買い物のような平凡な行動にゲーミフィケーションの要素を追加するというものがあります。
具体例として、イギリスのスーパーマーケットチェーン「Morrisons」や「Sainsbury's」は、ユーザーが様々な課題・チャレンジを達成しながら、買い物ポイントを獲得できる会員ロイヤリティプログラムを展開しています。全ユーザー共通のチャレンジ(例えば、ダイエットコーラのマルチパックの中から紫色の缶を見つけて100ポンド分のポイントを獲得)とユーザー個人の購買履歴に基づいてパーソナライズされたチャレンジの両方を展開することで、ユーザーが飽きずに継続的に利用できるような設計が肝です。
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英国のスーパーマーケットチェーン「Sainsbury's」の「紫色のダイエットコーラ缶を見つけて100ポンド分のポイントを獲得」チャレンジ
出典: Mintel
■ミンテル ジャパンレポートについて
新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。
■ミンテル グローバル消費者調査(G36)について
世界36市場において、同じ質問項目の消費者調査を行い、各国の消費者動向を定点観測するものです。お客様が海外進出される際のサポートや各市場における新しいニーズの開拓など幅広い用途でご活用いただけます。
■市場調査会社ミンテルの強み
ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、 ミンテルグローバル消費者調査のデータや各国で独自に行う消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。
■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。
≪ご利用条件≫
情報の出典元として【ミンテルジャパンレポート『プレミアム vs バリュー - 日本 - 2025 』より】の明記をお願いいたします。
■会社概要
企業名 :株式会社ミンテルジャパン
本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
丸の内ビルディング18階
代表 :リチャード・カー
設立日 :2008年03月
事業概要 :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等
WEBサイト :https://japan.mintel.com/
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