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地域資源を活かしたエシカル消費の魅力を発信する産地見学ツアーを開催

update:
山梨県
~ジビエ、アニマルウェルフェア、そしてガストロノミー エシカルな食文化を巡る旅~



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令和7年11月12日、山梨県は富士河口湖町で、メディア関係者や飲食業界関係者を対象に「産地見学ツアー(以下、本ツアー)」を実施しました。
近年、食の分野では「おいしさ」だけでなく、環境や社会への配慮が求められています。山梨県では、人や社会、環境、地域、動物に配慮した方法で生産された農畜産物を「エシカル農畜産物等」と定義し、その認知拡大に取り組んでいます。本ツアーはその一環として実施したものです。
訪問先は、富士河口湖町ジビエ食肉加工施設(山梨県南都留郡富士河口湖町)、RESTAURANT SAI燊(同町)、そしてMt.Fuji Craft! Farm(同町)です。
本ツアーは、ジビエの安全な処理と地域循環の仕組みを学び、命をいただくことの意味を考える時間から始まりました。続いて、RESTAURANT SAI燊では、エシカル農畜産物等と地元食材をふんだんに使った料理やワインなどの県産酒を堪能。締めくくりはMt.Fuji Craft! Farmで、アニマルウェルフェアに配慮した畜産や持続可能な農業の現場に触れ、生産者の想いを聞きながら、食材の背景にあるストーリーを感じるひとときを過ごしました。

■山梨県が語る、エシカル農畜産物等の見どころ
 参加者は新宿駅からバスで出発し、山梨県に入りました。道の駅なるさわ(山梨県南都留郡鳴沢村)で小休止した後、主催者を代表して山梨県農政部販売・輸出支援課の穴澤光伊主査が挨拶しました。
 穴澤主査は「山梨県ではエシカル農畜産物等を普及するため、さまざまな取り組みを進めています。今回はその中でも『やまなしジビエ認証制度』と『やまなしアニマルウェルフェア認証制度』の現場をご覧いただきたい」と、今回のツアーの見どころを紹介しました。
 続いて、山梨県農政部畜産課の望月香甫技師が「やまなしジビエ認証制度」について説明しました。望月技師は「捕獲したニホンジカを安全・安心なジビエとして提供するため、山梨県のガイドラインに沿って衛生管理を徹底し、認証を受けた施設でのみ処理される県独自の仕組みです。この後ご覧いただく『富士河口湖町ジビエ食肉加工施設』も、その認証を取得しています」と補足しました。
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山梨県農政部販売・輸出支援課 穴澤 光伊 主査
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山梨県農政部畜産課 望月 香甫 技師


■やまなしジビエのおいしさの秘密 富士河口湖町ジビエ食肉加工施設
 最初の視察先は、富士山麓で捕獲されたシカを食材として生かすために整備された「富士河口湖町ジビエ食肉


加工施設」です。こちらの施設は平成21年に開設され、平成30年には、やまなしジビエ認証を取得しました。個体番号によるトレーサビリティのほか、放射性物質測定、細菌検査など、厳格な衛生管理を徹底しています。施設の所長で狩猟歴50年以上の滝口雅博さんは「加工する際には毛皮や血液に触れるため、複数の手袋を使い分け、エタノールで徹底的に殺菌しています」とリスク回避の工夫について話します。
 注目すべきは、味と品質です。滝口さんが提供するシカ肉は、狩猟から30分以内に解体・加工した40kg以上の鹿のみです。施設では、酵素作用で旨味を引き出すため、室内温度を0度から3度に管理した貯蔵庫で4日前後の熟成を施しています。
 こうした工程は時間もコストもかかりますが、価格を据え置き、品質を守り続ける姿勢が滝口さんのこだわりです。
 人気商品は背ロースと小間切れ。仕上げられた鹿肉は、滝口さんの経営する飲食店をはじめ、大手ホテルチェーンなどにも供給されています。この日は、実際の加工工程の様子も参加者に公開されました。見学を終えた飲食店関係者からは「この肉はどこで手に入るのか」「今度、滝口さんの店に食べに行きたい」など、関心の声が相次ぎました。
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富士河口湖町ジビエ食肉加工施設 滝口 雅博 さん
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施設を見学する参加者の様子


■家畜の快適性に配慮した飼養管理、アニマルウェルフェア
 視察を終えた一行は、バスで「RESTAURANT SAI燊」へ移動しました。移動中の車内では、山梨県農政部畜産課の石川公美技師より「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」について説明しました。  
 石川技師は「アニマルウェルフェアとは、家畜の快適性に配慮した飼養管理を意味し、欧米ではすでに主流となっている考え方です。山梨県では、全国の自治体で初めて家畜ごとの飼養基準を設けた認証制度を令和3年に創設しました。この制度により、家畜の健康や生産性の向上を目指し、ブランド価値を高めるとともに、持続可能な畜産の仕組みづくりを進めています」を紹介しました。
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山梨県農政部畜産課 石川 公美 技師


■生産者と料理人が紡ぐ、1日限りの“山梨ガストロノミー”
バスで移動した参加者は、西湖畔にひっそりと佇む「RESTAURANT SAI燊」で昼食を取りました。料理のコンセプトは“奥・山梨料理”です。山深く静かな西湖で「生きとし生けるものをすべていただく」という考えのもと、土地の恵みを余すことなく活かした料理が提供されています。洞窟を思わせる落ち着いた空間に、豊島雅也シェフが登場し「本日は、皆様が視察されたジビエ加工施設の鹿肉や、この後視察される牧場のチーズのほか、山梨の食材を使った料理をご用意しました。ここでしか味わえない体験をお楽しみください」と挨拶し、その言葉とともに、キッチンから立ち上る香りが広がり、土地の恵みを映した一皿がテーブルに並び、ソムリエの永原さんが用意した選りすぐりの県産酒とともに、参加者を迎えました。
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ESTAURANT SAI燊 豊島雅也シェフ
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食事をする参加者の様子


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田辺さんの卵と金子さんのグラナを組み合わせたカルボナーラ

 田辺養鶏場(山梨県南都留郡忍野村)がこだわりの飼料と平飼いで育てた鶏の卵を贅沢に使用し、Mt.Fuji Craft! Farmの金子さんが手掛けるチーズを合わせた特製パスタが提供されました。このパスタは、吉田のうどんをイメージした力強い食感が特徴です。ソースには、一度凍らせてミキサーにかけた繊細な卵黄のコクと、グラナの芳醇な香りが重なり、しっとりと麺に絡みます。口に運ぶと、豚肉の塩漬けの香ばしさが広がり、卵の甘みとチーズの旨みが絶妙に調和。さらに、ほのかに漂う山椒の香りがアクセントとなり、奥深い味わいを演出しました。

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オーガニックジャージービーフもも肉のロティあけぼの大豆のフムス

 キープ協会(山梨県北杜市)が放牧飼育したジャージービーフのもも肉を使ったロティが提供されました。放牧ならではのしっかりとした赤身の旨みを活かし、丁寧に仕立てられた一皿です。焼き上がりからは、もみの木を思わせるほのかな香りが漂います。
 添えられたのは、山梨特産のあけぼの大豆を使ったフムス。やわらかな甘みが肉の力強さを優しく包み込み、山梨の自然を映し出すような調和を生み出しました。

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鹿のパイ包 香茸ソース

 地元で捕獲された鹿肉を使用した特別な一皿が提供されました。鹿肉のまわりには、タマゴタケのデュクセルをまとわせ、みりんを加えた香茸ソースがほのかな甘みと和の余韻を添えています。臭みのない澄んだ旨みが際立ち、サクッとしたパイと柔らかな鹿肉、そして香り高い茸の調和が深い滋味を感じさせる一皿です。

 土地の恵みを生かした多彩な料理とそれぞれの料理に合わせたワインや日本酒、ジンなどの県産酒が並び、参加者は一皿ごとに舌鼓を打ちました。山梨県産食材の豊かな味わいと、生産者の想い、シェフの技が織りなす“山梨ガストロノミー”を五感で堪能する、特別なひとときとなりました。


■牛にも人にもやさしい酪農、山梨の新しいチーズづくり
 最後に訪れたのは「Mt.Fuji Craft! Farm」です。到着すると、牛が参加者を出迎えてくれました。こちらの牧場は、山梨県が創設した「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」に認定された農場のひとつです。
 牧場を経営するのは金子さおりさんです。金子さんは、フランスの農場での経験をきっかけに、セカンドキャリアとして酪農を始めました。
 牧場について金子さんは「広大な牧場には牛舎と放牧地がゆったりと広がり、牛たちは自然の中で自由に過ごしています。夕暮れが近づくと、自ら牛舎へ戻っていきます。こうしたストレスのない健やかな暮らしが、この牧場の魅力です」と話します。
 こちらの牧場では自家製生乳100%のチーズを製造しており、カマンベール、モッツァレラ、セミハード、グラナ、スプレッドなど種類は多彩です。飼育する牛種はブラウンスイスを中心に、交雑種も含まれています。ブラウンスイスはホルスタインに比べて搾乳量は少ないものの、味は濃厚だそうです。この日はチーズの試食も行われました。チーズを試食した飲食店関係者からは「味が濃厚でおいしい」「どこで買えるのか」といった声が上がりました。試食が終了したところで、本ツアーは幕を閉じました。
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Mt.Fuji Craft! Farm 金子さおりさん
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牧場の様子
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提供された自家製チーズ


■今後の展望について
 本ツアーについて、山梨県農政部販売・輸出支援課の柳澤幸喜課長は「山梨県が推進する『エシカル農畜産物等』の価値を体験していただく機会となりました。今後は、こうした取り組みを一過性のイベントにとどめず、県内外の飲食業界やメディアとの連携をさらに強化することで、様々な方々に知ってもらい、消費拡大につなげたい」と今後の抱負を話しました。
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山梨県農政部販売・輸出支援課 柳澤 幸喜 課長



■エシカル農畜産物等について
 エシカル(ethical)とは倫理的という意味で、「エシカル消費」とは地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・環境・地域・動物福祉に配慮した消費行動のことをさします。山梨県では、「エシカル農畜産物等」を、人・社会・環境・地域・動物福祉に配慮して生産・管理された農畜産物等と定義し、エシカル農畜産物等の普及に取り組んでいます。

エシカル農畜産物等について

 山梨県では、エシカル農畜産物等を普及する様々な取り組みを推進し、それらの取り組みにより生み出されたエシカル農畜産物等を認証する県独自の制度を制定しています。

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やまなしジビエ認証制度について

[画像17: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/78927/436/78927-436-ee276072c94626605eb61629aba859e3-1280x720.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


やまなしアニマルウェルフェア認証制度

【本件に関するお問い合わせ先】
山梨県農政部 販売・輸出支援課 穴澤
電話:055-223-1602

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