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違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

 旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・蒲田で開催。ブラックライトと極彩色のネオンに彩られた浴室で、非日常に振り切ったお風呂を楽しめます。開催に先立って行われた体験会に参加しました。

  •  「脳汁銭湯」は、株式会社マルハン 東日本カンパニーが主催する「ヲトナ基地プロジェクト」の一環として実施されるイベント。11月26日「いい風呂の日」にちなんで旧き良き銭湯を「脳汁が出る=脳が喜ぶ」空間に変身させ、遊び心を持つ大人たちを応援します。

     昨年秋に開催された第1回では連日入場待ちの列ができるほどの大盛況となり、これを受けて今年も開催が決定。今回もパーティークリエイターのアフロマンス氏が企画監修を務め、さまざまなクリエイターやインフルエンサーとコラボした「脳汁空間」を演出します。

    株式会社マルハン 東日本カンパニーが主催する「ヲトナ基地プロジェクト」の一環として実施される「脳汁銭湯」

     記者のもとには、税金の督促状を思わせる極彩柄の「招待状」が届きました。心臓に悪すぎる!! 脳汁どころか胃液が出るところでした。

    督促状を思わせる「脳汁銭湯」の「招待状」

    ■ の、脳がバグる…… 日常風景に溶け込む無数の違和感

     会場は、蒲田駅にほど近い閑静な住宅街にある銭湯「女塚温泉 改正湯」。地域の人々に愛される街場の銭湯が、イベント期間中だけ異様な空間に変身します。

    「脳汁銭湯」の舞台である蒲田の「女塚温泉 改正湯」

     入口では、LEDのチューブを束ねた「のれん」がまぶしく発光してお出迎え。絶えずアニメーションが表示され、外からもひときわ目を引きます。

    入口にはLEDディスプレイの「のれん」

    入口にはLEDディスプレイの「のれん」

     のれんをくぐり、フロントへ。大きな脳のネオンサインが置かれている以外はごくごく普通の銭湯に見えますが…… よく見るといろんなものが微妙に変なことに気づきました。

    のれんをくぐった先はごく普通のフロント

    「脳汁銭湯」のネオンサイン

     番台にはおびただしい数の防犯カメラが。しかも全部番台の中を向いています。そばには「24h店主監視中」の看板が。どれだけ危ない人が営んでいるんだ……。

    番台を「監視」する無数の監視カメラ

    番台を「監視」する無数の監視カメラ

     待合スペースのテレビに流れるCMもなんだか変です。両手で持てるものしか運ばない運送会社とか、飲み干せる焼き肉のタレとか……。古いビデオテープを再生したようなガビガビの画質であるところも微妙に不気味です。

    違和感たっぷりのCMが流れ続ける待合室のテレビに

    違和感たっぷりのCMが流れ続ける待合室のテレビに

     最近流行りの熱波師が来る……と思いきや、「泡立師」?! しかも来訪予定は、存在しない「2月30日」。なんだか頭がクラクラしてきました。

    熱波師ならぬ「泡立師」来訪予告のポスター

     とりあえず石鹸を買おうとしたら「牛“丼”石鹸」。一つ一つ突っ込んでいたら浴室までたどり着けない気がしてきました。

    牛乳石鹸ならぬ「牛"丼”石鹸」

     その後、ようやく入口を見つけて脱衣場へたどり着きました。銭湯なのにライブ会場で使うトラスが思い切り鎮座していますが、これはもう見なかったことにしよう……。
     (注:本来は脱衣場、浴室ともに撮影禁止です。今回は特別な許可を得て撮影しています)

    「脳汁銭湯」脱衣場の入口

    「脳汁銭湯」脱衣場の風景。舞台で使うトラスが鎮座しているほかは一見普通

     おもむろにロッカーを開けると、「テッテレー!」と高らかなファンファーレが。数ある中から当たりを引いたようです。

    「当たり付き」のロッカー

    「当たり付き」のロッカー

     脱衣場の中で回る扇風機にも何やら違和感が。

    ルーレットになっている扇風機

     止めたらルーレットになっていました。

    ルーレットになっている扇風機

     出た目に応じておみくじをゲット。結構嬉しめのことが書いてあって、不覚にもちょっとテンションが上がってしまいました。

    ルーレットの目に応じたおみくじも用意

     さすがにドライヤーは普通のドライヤー…… かと思いきや、スピーカーが仕込まれていて、風と一緒にパチンコ店の口上アナウンスが大音量で顔面に吹き付ける仕組み。ここまでやるか!

    風とともに大音量の「口上」が吹き付けるドライヤー

    ■ 極彩色の浴室で現実と夢が混じり合う… 「脳汁が出る」感覚を体験

     もはやツッコミ疲れて汗をかいてきました。一刻も早くお風呂に入りたい。いよいよ本丸の浴室へ向かいます。

    「脳汁銭湯」浴室への入口

     入った瞬間、目に飛び込んできたのは、ブラックライトに照らされた極彩色のサイケデリックな空間。

    ブラックライトの中に極彩色のネオンが光る浴室

     カランにはビカビカのネオンが光り、桶のかわりにドル箱が。普通のお湯が、なんだかとんでもない液体に思えてきます。

    手桶代わりに置かれた「ドル箱」

     見上げた天井にはプロジェクションマッピングの「動く銭湯壁画」が照らし出され、巨大な脳のオブジェが鎮座。耳を澄ますと、なにやら話し声がボソボソと聞こえます。くつろぐどころか、なんとも言えない異世界感。脳汁が渋滞します。

    天井には「動く銭湯壁画」と巨大な「脳オブジェ」

     視線を足元に向けると、大量のアヒル人形が浮かんだ浴槽が。「女塚温泉 改正湯」がある蒲田地域に湧く黒湯の色とブラックライトが悪魔合体して、愛くるしいフォルムとは裏腹に目に刺さる光景を醸し出しています。

    妖しく光るアヒルが浴槽を埋め尽くす

     その隣には、超指向性スピーカーが直下に向けられた立湯コーナー。浴槽につかると、脳に直接流し込まれるような、スローなナレーションが聞こえてきます。

    脳に語りかけるようなアナウンスが降ってくる立ち湯

     ゆっくり浴槽に腰を下ろし、黒湯に委ねながら「脳汁銭湯」の全景を眺めていると、温かさとともに、なんだか頭から何かがトロリと流れていく感覚が。これが「脳汁が出る」ということなのでしょうか。現実と夢が混じり合って、なんともいえない多幸感に包まれました。

    浴槽から眺めた「脳汁銭湯」の風景

     浴槽の背後を見やると、そこには悠然と泳ぐ魚たちの水槽が。こんな仕掛けまであるなんて、奥が深すぎる……! と思ったら、こちらはもともと改正湯に設置されているものだそう。脳汁があふれるあまり、普通の風景まで不思議に見えてしまいました。

    浴室内の水槽はもともと改正湯に設置されているもの

     「脳汁銭湯」は、女塚温泉 改正湯(東京都大田区西蒲田5-10-5)で、11月26日から12月7日まで開催。12月1日と12月4日は定休日です。営業時間は14時から22時30分で、21時30分に受付終了予定。混雑状況により、受付を早めに締め切る場合があります。

     参加料金は、大人550円、中人200円、小人100円。このほか、ロッカーの開閉に100円玉が必要です。

    取材協力:株式会社マルハン 東日本カンパニー

    (天谷窓大)

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    得意分野はエンタメ、メディア、フード業界。「焼き芋アンバサダー」としてフードフェスのプロデュースも手掛けるほか、熱波師、フリー素材モデルとしても活動。X @amayan

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