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株式会社帝国データバンクは、コンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産(コンプラ違反倒産)」と定義し、その発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年のコンプライアンス違反倒産は278件となり、4年ぶりに減少した。違反類型別では、「粉飾」(74件)が最も多かったなか、「業法違反」「資金使途不正」が3割を超える大幅な減少となった。コンプラ違反が発覚しても倒産に至らなかったケースも多くあり、その手法は巧妙化している。企業規模を問わず、定期的かつ細やかなモニタリングによる与信管理が一層求められている。
注1:「コンプライアンス違反」は、意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為などを指す。
注2:同一企業に複数のコンプライアンス違反がある場合は、主な違反行為で分類。
注3:過年度の場合でも追加でカウントすることがあるため、必ずしも過去に発表した件数とは一致しない。
集計期間:2015年1月1日~2025年12月31日
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
2025年のコンプラ違反倒産は278件、前年から減少
意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為を原因とした「コンプライアンス違反」倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、2025年に278件発生した。前年(391件)から113件、28.9%減少し、4年ぶりに前年を下回った。
コロナ禍(2020年~2021年)では、各金融機関は新型コロナ融資や返済猶予の申し込み・相談業務などの資金繰り支援による倒産回避が優先されたため、コンプライアンス問題が表面化しづらい状況が続いたことから、件数が減少した。しかし、アフターコロナ(2022年以降)において、資金繰りが改善せず、借入金の返済猶予や借り換えなどについて金融機関と協議する機会が増える過程でコンプライアンス違反が発覚した。2025年はそうした一連のケースが落ち着いたと考えられる。ただ、コロナ前を大きく上回る高い水準にとどまっている。一方で、負債額の大きいコンプラ違反倒産が目立っている。2025年に発生した倒産における負債額上位20社のうち半数近い9社がコンプラ違反倒産だった。
業種別でみると、サービス業が91件(前年比26.0%減)となり、全体のうち32.7%を占め最も割合が高かった。次いで卸売業(50件、同2.0%増)、建設業(49件、同29.0%減)が多かった。
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違反類型別、「業法違反」などで大幅減
違反類型別でみると、意図的に決算書を虚偽表示する「粉飾」が74件(前年比23.7%減)で最も多かった。前年から大きく減少した背景として、コンプラ違反倒産のなかでも「粉飾」倒産は負債が「1億円未満」の割合が非常に低いことから、小規模倒産の割合が高かった2025年においては減少したとみられる。なお、「粉飾」倒産のなかでも負債10億円以上の件数はほぼ横ばいで推移している。
次いで、各種補助金に関する「不正受給」が48件(同2.0%減)で続いた。また、労働安全衛生法違反や指定取消などの「業法違反」(44件、同38.9%減)は、これまで業法違反倒産の多くを占めていた運送業の減少が要因の一つ(2024年=25件、2025件=12件)。新たな時間外労働の上限規制が設けられたことよる摘発が一服したことによって、「業法違反」による倒産も減少した。
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「粉飾」における主な事例としては、スポーツ用品・雑貨などの小売事業を展開していたロイヤル(名古屋市中区)は、私的整理による再建を進めていたなか過去複数年にわたって実態と異なる会計処理と、それに伴う債務超過が発覚したことで民事再生手続きの申立てを行い、負債額は約83億3000万円にのぼった。また、製菓・製パン材料卸を手がけていたサクライ(東京都江東区、負債約73億円)は、2024年4月期の年売上高は約68億8800万円を計上していたものの、10年以上にわたって粉飾決算を行っていたことが明るみとなり、その手法は非常に巧妙だったことが指摘されている。
コンプラ違反倒産は足元で減少も、規模の大きい倒産で多発
2025年のコンプラ違反倒産は278件となり、前年より減少する結果となった。違反類型別においても、多くのケースで減少傾向がみられた。
負債額の大きいコンプラ違反倒産においては、最大規模の倒産となったドローンネット(東京都千代田区、負債1444億9483万円)や、収入高の最大9割が循環取引による過大計上だったことが発覚したオルツ(東京都港区、2025年8月再生手続き開始決定)が含まれる。コンプラ違反は巧妙化しており外部から見抜くことが難しいケースが多いことに加えて、複数の金融関係者は「破綻には至っていないが、粉飾などコンプライアンスに抵触する事案は引き続き数多く発生している」と話す。足元ではコンプラ違反倒産は減少傾向にあるが、企業規模を問わず定期的かつ細やかなモニタリングによる与信管理が一層求められているといえよう。
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