イラスト風、金属風など、ガンプラの塗装法はさまざまありますが、X(Twitter)ユーザー「ボデーノスズキ」さん(以下、スズキさん)が投稿したのは、なんと「漆塗り風」のモビルアーマー「エルメス」。

 黒と朱色のコントラストと光沢が美しいボディに、舞い散る桜の花びらが描かれた姿はまさに芸術作品。「プラスチック感を無くしたい」のハッシュタグ通り、プラモデルとは思えない仕上がりに驚きです。

 今作は2021年2月に、ベストメカコレクション、いわゆる旧キットのエルメスを用いて製作したもの。旧キット愛好家有志で開催されたコンペに参加した際の題目が「エルメス」だったことが作るきっかけです。

 以前よりエルメスに対し「翡翠の勾玉みたい」というイメージを持っていたというスズキさん。日本古来の和柄が合うのではないかと考えたところ、「漆塗り風」のアイデアに行き着きました。もともと骨董品を扱う仕事に従事しており、いつかプラモデルに蒔絵のような塗装をしてみたいと思っていたのも、理由のひとつであるようです。

美しい上瀧は本物の漆器にしか見えません

 製作にかかった期間はおよそ20日間。柄を含め、全体をマスキングで塗り分け、エアブラシで塗装を行った後、クリアー塗装をし、徹底的に研いでからコンパウンドで磨くことで、この美しい光沢を実現しています。妥協のない作業により、微細な凹凸や僅かな歪みも一切なし。表面が光り輝く様子はまさに本物の漆器のよう。

 美しい桜の模様は、作中で不条理に命を落としたニュータイプの少女「ララァ・スン」をイメージ。流水紋(金色の曲線)やドットは、ララァの涙を表現。一見すると華やかにも見える柄にまさかそのような意味が込められていたとは。スズキさんの原作に対する愛がひしひしと伝わります。

流水紋(金色の曲線)やドットは、ララァの涙を表現

 作品は再投稿にも関わらず、大きな注目が。「着物を着たララァが乗ってそう」「和室に馴染むガンプラ」など、作品に対する絶賛の声が相次いで寄せられました。まさにハッシュタグ通り、誰もがプラスチックだとは思えなかったようです。

<記事化協力>
ボデーノスズキさん(@bodee_suzuki

(山口弘剛)