●産業用イーサネットの中でリアルタイム性に優れ、近年シェアを拡大しているEtherCAT*1 に対応、複数モータの統合制御や高速同期運転を実現
●メガトルクモータ*2 の角度分解能*3 を、現行品使用時に比べて1.6倍に向上（419万分割に向上）させ、より細かい回転位置決めを実現
●2025年4月から順次販売開始を予定、半導体製造装置をはじめとする幅広い用途に対応
日本精工株式会社（本社：東京都品川区、代表者：取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK）は、NSKの高精度な位置決め・搬送装置「メガトルクモータ」を駆動制御する装置として、「EtherCAT対応ドライバ」（「ドライバEGC型」と「コンバータECC型」、以下「本製品」）を市場投入します。本製品の導入により、メガトルクモータの高い耐環境性能はそのままに、複数モータの統合制御や高速同期運転ならびに、より細かい回転位置決めを実現します。これにより、半導体製造装置をはじめ幅広い用途で、装置の生産効率向上と高精度な位置決めに貢献します。
NSKは本製品を、2024年12月11日(水)～13日(金)に東京ビッグサイト（東京国際展示場）で開催される「SEMICON Japan 2024」に出展します。展示会等におけるお客様からのフィードバックを踏まえて、まず、2025年4月にメガトルクモータ2製品（PS3015、PN4135）用として、本製品の販売を開始します。その後、2026年3月までに、合計でメガトルクモータ11製品に対応する本製品をラインアップし、本製品の売上として2026年に15億円を目指します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/139963/17/139963-17-6c339c424736d1a98fb615e84bb99f28-3106x1751.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
メガトルクモータ（左）と、本製品（右）
*1 EtherCAT（Ethernet Control Automation Technology）：ドイツBeckhoff Automation GmbHの登録商標・特許技術。
*2 メガトルクモータ：NSKのダイレクトドライブモータ（減速機を用いない高精度位置決め・搬送装置）。
ご参考：メガトルク｜製品情報｜日本精工（NSK）
*3 角度分解能：モータが1回転（360度）のうち、制御できる最小回転角を指す。
１． 開発の背景
1.1 メガトルクモータの特長
メガトルクモータとは、NSKのダイレクトドライブモータ（減速機を介さず、回転部にサーボモータがダイレクトに結合されている高精度位置決め・搬送装置）です。軸受、サーボモータ、角度センサを一体化した構造で、正確な回転運動を生み出し、搬送対象を素早く動かして正確な位置に停止させることができます。高い耐環境性能が特長で、信頼性に優れた専用レゾルバ*4 を角度センサとして採用することで、厳しい環境下でも安定した性能を発揮します。半導体製造装置をはじめ、産業機械向けに幅広い用途でご利用いただいています。
*4 レゾルバ：コイルと鉄心で構成された回転角度に応じて交流信号を出力する角度センサ
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/139963/17/139963-17-50d7a1d286087eee20f5a47b220d9f86-3900x1099.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
減速機を用いたサーボモータの使用例（左）、メガトルクモータ（右）
１.2 メガトルクモータに対する市場要求
近年、工場など産業用オートメーションでは、インダストリー4.0やIoTの潮流の中で、機器を通信で結ぶフィールドネットワークとして、高速性やリアルタイム性が高い産業用イーサネットの普及が進んでいます。半導体製造装置の業界では、産業用イーサネットの規格の中でリアルタイム性が優れているEtherCATのシェア拡大が進んでおり、そのため、メガトルクモータに対して、EtherCATへの対応ニーズが高まっています。また、半導体製造装置以外にも電子部品検査装置や画像処理装置などの用途でも、EtherCAT対応ニーズが広がっています。
一方で、半導体製品の高精度化を背景として、メガトルクモータに対して、更なる精度向上が求められています。
2． 製品の特長
2.1 EtherCAT対応により、複数モータの統合制御や高速同期運転を実現
本製品を介してメガトルクモータをEtherCATに対応させることで、メガトルクモータ以外の機器も含め、複数モータの統合制御や高速同期運転を実現します。これにより、装置の立上げ時間や、各工程における一連の動作時間を短縮し、生産効率向上に貢献します。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/139963/17/139963-17-2742189933ba279d5587986ab0c07bbf-3531x992.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
現行品（左）と本製品（右）
2.2 メガトルクモータの角度分解能を、現行専用ドライブユニット使用時に対して1.6倍に向上（419万分割に向上）させることで、より細かい回転位置決めを実現
本製品のコンバータにて、メガトルクモータに内蔵された専用レゾルバの信号をアナログ/デジタル処理することで、現行品使用時（角度分解能：262万分割）に比べて1.6倍に向上（角度分解能：419万分割）させました。 これにより、メガトルクモータのより細かい回転位置決め実現し、装置の高精度な位置決めに貢献します。
2.3 現行メガトルクモータ11製品に対応
本製品は、メガトルクモータ11製品に対応する機種をラインアップすることで、半導体製造装置をはじめとして、電子部品検査装置や画像処理装置など、幅広い用途の装置にご利用いただけます。また、既にメガトルクモータをご採用いただいている設備であっても、本製品を導入いただくことでEtherCAT対応を実現できます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/139963/17/139963-17-dedc6ded29a467d9bb4dd005320bd425-970x1005.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
本製品が対応するメガトルクモータ11製品
3． 製品の効果
本製品の導入により、メガトルクモータの従来の高い耐環境性能はそのままに、複数モータの統合制御・高速同期運転、メガトルクモータのより細かい回転位置決めを実現します。
これにより、半導体製造装置をはじめ幅広い用途で、装置の生産効率向上と、高精度な位置決めに貢献します。
■NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受（ベアリング）を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。
企業理念として、MOTION & CONTROL(TM)を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。
NSKについては、こちらのページをご覧ください。
