
株式会社ミルテル(本社:広島県広島市、代表取締役社長:加藤 俊也 以下「当社」)は、2025年8月22日、23日に倉敷アイビースクエアで開催された「第26回乳癌最新情報カンファランス 」にて、昨年度行った「広島県呉市で行った乳がん検診未受診者を対象とした乳がんリスク検査の活用による対策型検診・任意型検診への誘導効果の実証事業結果」を発表いたしました。
実証事業の背景
乳がんは早期発見が生存率に大きく関わる病気で、進行の早期であるステージIでは10年生存率が89.10%と高いのに対し進行したステージIVでは25.49%と、約60%以上の差があることが明らかになっています。早期発見により乳房を温存する手術法や治療法の選択の幅が広がり、治療期間の短縮と治療費の軽減につながることから乳がんの早期発見は重要であることが分かります。しかし、令和3年度の乳がん検診受診率の全国平均は15.4%、広島県においては全国平均より低い12.1%であり、特に呉市は11.3%と更に受診率が低い状況であり、乳がん検診の受診率の低さが大きな課題となっていました。
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令和3年度地域保健・健康増進事業報告より引用
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第4次健康くれ21アンケート報告書より引用
乳がん検診を受けていない理由として、「特に困ったことがなかった」40.7%、「体調が悪くなったら病院に行く」10%と半数を占めていました。(出典:第4次健康くれ21計画アンケート報告書)
こういった、症状が出ていなければ検診を受けなくてもよいといった乳がんや検診への意識の問題が乳がん検診の受診率の低さの原因となっていると考えらています。
こうした実情を受け、当社では広島県呉市と連携を行い、唾液を用いた乳がんリスク検査「スキャンテスト乳がん」活用した対策型検診・任意型検診への誘導効果の実証事業を行うこととなりました。
実証事業の目的
呉市における乳がん対策型検診未受診者及び超音波乳がん検診未受診者に対し、唾液を用いた乳がんリスク検査を介して乳がん検診へ誘導することで、
・乳がん対策型検診及び呉市が実施する超音波乳がん検診の受診率向上
・リスク検査を使うことによる利便性からの乳がん検査への誘導可能性
・様々な受検方法/受検後フォローによる対策型健診・任意型健診への誘導効果
を検証することを目的として本実証事業を実施しました。
ミルテルの乳がんリスク検査について
唾液中のポリアミンをターゲットとしたリスク検査「スキャンテスト乳がん」は、現在の対策型検診・任意型検診に置き換わるものではなく、乳がん検診の受診率の低さの課題解決のために、現在の乳がん診断ワークフローに寄り添う「プレスク リーニング検査」として開発されました。専門医のなかでも課題となっている「乳がん検診受診率の低さ」「高濃度乳房」に対し、「40歳以下の乳がん検査」「痛くない・恥ずかしくない」「手軽に、気軽に、どこでも、何度でも」というあるべき姿をコンセプトとした検査サービスであり、社会課題を解決するソリューションとして期待ができると考えています。
実施方法
・受検目標数:1,000人
・受検勧奨数:2,000人
内訳:国保加入で、40~64歳で乳がん検診1~5年未受診者 1,300名に対するハガキ送付、30~39歳で呉市の超音波乳がん検診未受診者に対する薬局や市役所・保健所・イベントなどでの対面勧奨、乳児検診にきた母親700名に対するチラシ配布
・実施期間:2024年10~12月
・検査費用:無償
・申し込み方法:LINEまたは依頼書
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作成した勧奨ツールより(一部抜粋)
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また、今回の実証事業の結果について検証を行う上で、1.リスク検査を使うことによる利便性からの乳がん検査への誘導可能性、2.様々な受検方法/受検後フォローによる対策型健診・任意型健診への誘導効果を目的として、以下のポイントを踏まえて受検者の現状と意識の変化についてアンケートを実施しました。
・乳がん検診未受診者がどれぐらい受検するか
・唾液の検査はどれぐらい受け入れられるか
・どれだけの乳がんの知識があるか、危機感はあるか
・受検後の行動変容につながるか
実証の結果
本実証では、事前の受検目標数1,000名のところ、募集開始から1カ月足らずで申込数1,290名を超え早々に申し込みを終了する結果となり、最終的な受検者数1,070名で当初の目標を達成しました。
本事業のターゲット層に対する検査のリーチ
アンケートは、検査受検者 1,070名に実施し396名(回答率37%)から回答がありました。回答については以下の通りです。
「今まで乳がん検診を受けていなかった・毎年もしくは2年に1度受けていなかった人に対してリーチできるか」という目的に対し、約3分の2(約63%)にあたる受検者がこれらの対象に該当する人であり、今まで受けていいなかった層にリーチできることが証明されました。
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受検者アンケート「今までに乳がん検視を受けたことがありますか」結果より
複数受検方法の確保の必要性
本事業では、スマートフォンを持っていなかったり、アプリの使わない市民もいることを想定し、LINEでの申し込みと依頼書による受付の2種類の申し込み方法を用意しました。結果、全体の1割が依頼書による申し込みであり、
少数派であるものの、公平性を担保する上でも複数の申し込みルートを用意する必要性があるとわかりました。
アフターフォローの提供
検査結果の説明資料の他に乳がんの知識に訴求する冊子を作成し、また、検査や乳がんに関する質問などについてはチャットGPTをベースに即時質疑応答できるホームページを開設しました。
様々な認知ルート
様々な勧奨ツールや、ニュースや新聞などメディアによるプロモーションによる認知があった一方で、今回の実証事業を知ったきっかけとして最も多く挙げられたのは、「行政の媒体(広報誌、呉市公式LINE、ホームページ) 」「知人や家族からの紹介」 「薬局」という結果となりました。日常生活の延長線上で検査を受けられる手軽さや、複数の媒体で知ることが行動変容につながるきっかけになると考えられます。
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受検者アンケート「唾液による乳がんリスク検査を受けて感じた感想は」結果より
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受検者アンケート「唾液による乳がんリスク検査を何で知りましたか」結果より
行動変容が起こった理由
対象者へのアンケートで「今回の受検にあたりなぜ行動変容が起こったか」に対し、webやLINEなどにより手軽に申し込めることや、隙間時間やマンモグラフィの課題でもある痛みや恥ずかしさなどもないことが上位となりました。
また、「今回に機会をきっかけに自分の身体を大切にしようと思う気持ちになったか」に対しては9割強が、「対策型検診・任意型検診を受けようと思ったか」については約7割の肯定的な回答があり、手軽に検査を受けて正しい知識を身につけることで、自分の身体と向き合い、行動変容につながることが示唆される結果となりました。
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受検者アンケート「今回をきっかけに乳がんについてや、自分ごとにできるきっかけや乳がんへの興味や自分を大切にする気持ちになりましたか」結果より
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受検者アンケート「今回をきっかけに対策型検診・任意型検診を受けようと思いましたか」結果より
アンケート結果の考察と課題
今回の実証事業で実施した検査受検者からのアンケート結果から、唾液での乳がん検査をプレスクリーニングとして活用することで、地域の検診未受診者へのリーチすることの効果は大きいことや、今回の受検をきっかけに乳がんの正しい知識を得て、対策型検診受診勧奨につながることが立証されました。
一方で、価格・費用負担面や、乳がんに関する教育ツールの充実化、対策型検診への誘導率の長期検証の必要性など、今後の課題も顕在化する結果となりました。
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受検者アンケート「どのような形なら唾液の乳がんリスク検査受けますか」結果より
結論
手軽でアクセスが容易なリスク検査を用いることで、対策型検診・任意型検診へ誘導するツールとなる可能性は示唆された一方で、費用負担が大きな課題となることも確認されました。行政や企業の補助があってもなお乳癌検診を受けない方がいる現状で、検診への誘導するコストとしてリスク検査費用を考えられるかは、今後も議論が必要になると考えられます。また、乳がんに関する知識が圧倒的に少ないことも確認され、今後企業・行政・各種団体などがどのように発信していくかの工夫が求められることになります。
株式会社ミルテルについて
株式会社ミルテルは、2012 年に広島大学発のスタートアップ企業として設立されました。見えない健康・病気を“見える化”するために、「リキッドバイオプシー」と「データサイエンス」を活用し、新たなソリューションを提供していきます。生活や社会の基盤として寄り添い、世界の人々の抱える健康や病気の不安や希望をサイエンスで見える化するサイエンスソリューションプロバイダとして、皆様を笑顔にすることを目指しています。
社名:株式会社ミルテル
代表者: 代表取締役社長 加藤 俊也
HP:https://www.mirtel.co.jp/
Instagram:@mirtel_official
法人お問い合わせ先:eigyo@mirtel.co.jp
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