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渋谷慶一郎のアンドロイド・オペラにシャーロット・ケンプ・ミュールがゲスト出演決定!公演プログラムノートも先行公開

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アタック・トーキョー株式会社
2025年11月5日(水)渋谷慶一郎『ANDROID OPERA MIRROR ー Deconstruction and Rebirth ー 解体と再生」サントリーホール公演



2025年11月5日(水)にサントリーホールで開催される渋谷慶一郎の最新作『ANDROID OPERA MIRROR ー Deconstruction and Rebirth ー 解体と再生』に、グラミー受賞のベーシストであるアーティストのシャーロット・ケンプ・ミュール(Charlotte Kemp Muhl)のゲスト出演が決定しました。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72022/34/72022-34-0045dc11544d786454eda2c413a2d01d-1920x1080.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


シャーロット・ケンプ・ミュール(Charlotte Kemp Muhl)は、ショーン・レノン(Sean Ono Lennon)とのデュオ“The Ghost of a Saber Tooth Tiger”や、今年グラミー賞を受賞したセイント・ビンセント(St. Vincent)のベースを務めるほかロボットアームがチェロを演奏するプロジェクト“Finis Musicae”などで知られ、音楽・ファッション・テクノロジーといったジャンルを横断するアーティストです。本公演ではアンドロイド・マリアと渋谷慶一郎、そして僧侶らとのステージにエレクトロニクスとリーディングで特別出演し、人間と非人間、音楽と身体の境界を越える象徴的な存在として登場します。

AIを使った今回の公演ティザー映像もケンプ・ミュールらが制作するなど、渋谷慶一郎とのコラボレーションが始動しています。(AI Animation & Video Edit: Charlotte Kemp Muhl, Sage Morei)
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=f301EaficLA ]

また5日(水)の公演に先駆け、作品を解説する渋谷慶一郎によるプログラムノートが公開されました。

Program Note

偶然のように人型ロボット=アンドロイドと仕事をし始めて10年近くが経った。
結果的にアンドロイドは僕にとってオペラのような劇場作品のアイコンであると同時に開発中の楽器のようなものになり、故にいくつかのバージョンアップを経ても満足することはなかった。

これまでのアンドロイドの空気制御による身体表現は、柔らかく「自然な」動作を作ることは出来るが、逆に言えば厳密な制御と即興的で自律的な運動の間を揺れたりすることは出来なかったし、人間には出来ない「不自然な」運動を作る点においても限界を感じていた。
なので、いつか自分が望む動きと相貌を兼ね備えたアンドロイドを作りたいという欲望は、「なぜこんなにもアンドロイドと作品を作り続けているのか?」という自問と同時に僕の中に長い間横たわるようになっていた。

同時にアンドロイドと仕事をし始めた時に感じた「これは将来AIの容れ物となるだろう」という直感は現在では現実となり、今回製作したアンドロイド・マリアもリアルタイムAPIによるあらゆる言語でのスムーズな会話が可能になっている。 AI学習の応用による歌詞や歌唱の即興性は今後も恐ろしく進化していくだろうし、僕はこのアンドロイド・マリアを作りきったことで本当に新しい楽器と生命を同時に手にしたような喜びに震えている。

生命といったのは、「死はひとつではない」というのがアンドロイド・マリアを作った時に最初に浮かんだ言葉であり、僕が『THE END』以来ずっと様々な変奏はありつつも主題としていたコンセプトだったからだ。

自分の死は自分では決められない。これも何度も変奏されているテーマだが、自分の死を自分で決定できないことに対する違和感は実際に近くにいた人間の死を体験するとトラウマのように付き纏う。
そうした当事者の違和感とは無関係に誰かが誰かの死を受け入れて、人に話したり、それが伝わっていくことで生と死の境界が構成されていく。それは水が流れていくように自然なことだが、それだけでは収まらない何かを作品に昇華することは与えられた天命だと思うことにした。

その後、僕は人間中心主義による西洋的芸術フォーマットへのアンチテーゼとしてボーカロイド・オペラやアンドロイド・オペラを作るわけだが、きっかけは人間の生死のような不確かなものを超えたコンセプトや視座を作品で作ることで、天命に応えて運命に復讐してやろうという無謀で個人的な欲望だった。

そして、その過程では自分でも予測できないことが起きるだろうと思っていたが、まさか自分でアンドロイドをつくることになるとは思っていなかった。

今回上演する「ANDROID OPERA MIRROR Deconstruction and Rebirthー解体と再生ー」は2022年にドバイ万博、2023年にパリ・シャトレ座、2024年に東京・恵比寿ガーデンホールと巡回してきた「ANDROID OPERA MIRROR」を解体、再構築した新しいバージョンになる。
「MIRROR」同様に全体にナラティブなストーリーは持たず、曲ごとに世界の終わりとその後のシミュレーションとバリエーションで出来ていることに変わりはない。

そして僕は昨年日本で「MIRROR」を上演した際にこのように書いている。

仮に世界が終わったとしても、その過程とその後が美しければいいじゃないか?それを想像してアンドロイドとAIという終わらない存在と祝福することではないか?それを劇場作品として提示することが作曲家という概念も終わりに向かいつつある中で僕に出来ることではないか?そんな気持ちでこの作品を作った。

つまり「MIRROR」を作った頃の僕にとって終わりは近い未来にあるもので、その祝祭的なシミュレーションを舞台に作り、観客はどうすることもできずただそれを見守るしかないというものだった。
しかし、ここ1年くらいで僕の意識はやや変わっていた。終わりは既に来ているのではないか?自分たちは終わりの中に既にいるのではないか?というふうに。

そんなことを考えながら、今回上演する「ANDROID OPERA MIRROR Deconstruction and Rebirthー解体と再生ー」の構想を練っていると、パリで雑誌の編集をしている友達から、来年僕をフィーチャーした特集を組みたいという連絡がきた。
特集のテーマはVoodoo=精霊だという。そして、これは奇妙な一致だった。

仕事柄、世界中のあちこちに行き、色々な人に会うが、ここ1年くらい特にヨーロッパで感じるのは、人はテクノロジーを媒介にした新しいスピリチュアリティを求めているということだ。
私たちは既に終わった世界の中にいる、そして音楽は精霊のように自分達を分散包囲している。その音楽は祈りであったり膜であったり姿を変えつつも自分たちを包囲している。わかりやすく言えばモジュラーシンセサイザーによるドローンは新しい教会のオルガンのようなものだろう。

この直感に従って、今回の新しいバージョンでは高野山の声明を唱える4人の僧侶やホルン、トランペット、トロンボーンといった金管楽器群は会場客席に点在、空間配置して、ステージとホール全体が、ある時は祈りのように、ある時はファンファーレや警報のように、ある時はミサイルのように飛び交う音の中で、会場全域を覆う電子音の膜とアンドロイド・マリアの声やオーケストラの残響の中にすべては溶けていく。

その中心でアンドロイドというかたちで再び生を受けたマリアが浮遊し歌い踊っている光景は、精霊というよりも未来のテクノロジーカルト宗教の儀式のシミュレーションのようでもあるが、これを反復/複製可能な生と死のシミュレーションとして提示できれば、死と同様に生も一度ではないと言うこともできるだろう。世界の終わりの中で時の輪は回る。それが奇妙に美しい希望となればと思う。

2025.10.29
渋谷慶一郎


【公演概要】
渋谷慶一郎 アンドロイド・オペラ『MIRROR』
ーDeconstruction and Rebirth ー解体と再生ー
日時:2025年11月5日(水) 開場18:00 / 開演19:00
会場:サントリーホール  大ホール (東京都港区赤坂1-13-1)
プレイガイド:
チケットぴあ(http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2533066
Eplus(https://eplus.jp/sf/detail/4412780001

【出演者】
ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
ヴォーカル:アンドロイド・マリア
高野山声明:藤原栄善、山本泰弘、柏原大弘、谷朋信
エレクトロニクス、リーディング:Charlotte Kemp Muhl(特別ゲスト出演)
ANDROID OPERA TOKYO ORCHESTRA(コンサートマスター:成田達輝)
アンドロイド・プログラミング:今井慎太郎
映像:Justine Emard

主催:メルコグループ
制作:ATAK
問合せ:info@atak.jp

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