全国のクマ出没情報を地図上で可視化する「FASTBEAR(ファストベア)」の公開が、12月26日に発表されました。
開発したのは、東京大学と会津大学発のスタートアップ、株式会社Aisometry(東京都文京区)。自治体の公式発表や報道をAIが自動で収集・整理し、全国47都道府県の出没状況を俯瞰できるのが特徴です。
■ 深刻化する全国的なクマ被害と、分散する出没情報
近年、クマによる被害は全国的に深刻化しています。環境省が公表した11月までの速報値によると、令和7年度の人的被害は230人、死亡者は13人にのぼり、出没数は3.6万件以上、捕獲数も9867頭で過去最多水準となっています。
一方、出没情報は自治体のウェブサイトや報道などに分散しており、更新頻度や表記も統一されていません。Aisometryはこうした「情報の分散」が現場の混乱や住民の不安を助長していると捉え、FASTBEARの開発に至ったといいます。
FASTBEARでは、独自開発したAIエージェントが自治体の公式発表やニュースを自動で収集し、地図と時系列ログとして表示します。地域をまたいだ状況の変化も確認でき、自分の生活圏周辺でリスクが高まっているかを直感的に把握できる設計です。
同社は過去10年分、数万件規模のクマやイノシシの出没データも保有しており、今後は通知機能の拡充やデータ分析を通じた対策支援にも活用していくとしています。
■ AIカメラで市街地侵入を早期検知へ
あわせて開発が進められているのが、クマ検出AIカメラ「SENTINEL(センチネル)」です。市街地や生活圏に隣接するエリアに設置し、クマの侵入を早期に検知することを目的としています。
検知した画像付きの一次情報をFASTBEARにリアルタイムで反映し、自治体発表や報道情報と統合することで、注意喚起や巡回、捕獲・誘導といった初動判断を支援する構想です。低コストでの導入を想定しており、人的な巡回や監視の負担軽減も期待されています。
同社の開発メンバーは福島県会津若松市にゆかりを持つ研究者が中心で、クマ被害を「遠い地域の出来事ではなく、生活と隣り合わせの現実」として受け止めてきたといいます。
FASTBEARについては「不安を増やすための地図ではなく、行動を早くするための地図」、SENTINELについては「怖がるためのカメラではなく、被害を未然に防ぐためのカメラ」と位置づけています。
本プロジェクトは、経済産業省の「未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業」の一環として進められており、東京大学大学院工学系研究科と会津大学コンピュータ理工学部の研究開発メンバーが中心となっています。
今後は自治体など関係機関とのフィールド実験を行い、実運用に向けた改良を重ねるとともに、蓄積したデータを産学連携で分析し、クマ出没予測や中長期的な安全対策にもつなげていく考えです。
<参考>
クマ出没マップ「FASTBEAR」












































