ツイッターに投稿された、シュウマイを中心とした食事風景の写真。木製のお盆に乗っているのは、透明容器に入ったシュウマイと、パックからそのまま茶碗に盛り付けられたと思われる白いご飯、そして袋から出された割り箸。

 無性にシュウマイが食べたくなって、スーパーで購入してきたのでしょうか。この光景だけでも、さまざまなストーリーが想像できますが、実はこの写真には、見た人がアッと驚くヒミツが隠されています。

 この「シュウマイの食事風景」、実は「食品サンプル」として作られたもの。と、聞いただけではピンとこないほど写実的、そして日常の一コマを切り取ったような現実的な作品となっています。思わず画面を拡大して見てみたくなりますよね。

 写真の投稿を行ったのは、食品サンプル製造メーカーである株式会社いわさきの公式ツイッターアカウント(@IWASAKI_SAMPLE)。今回の作品は、社内にて毎年行われている「製作スキルコンペ」に出展されたもの。

 全国の製作工場の製作員であれば誰でも参加可能という社内コンペには、普段の食品サンプルとは異なり、製作員が自由テーマで題材を決めて、お店の料理には作られないようなアイテムや、実験的な製作技術にチャレンジした作品が多数寄せられるのだそう。

作品タイトルは「容器に移してチンしましょう」

 「容器に移してチンしましょう」というタイトルが付けられた今回の作品。よーく見てみると透明容器の底に穴が開いています。耐熱でないと気付かずにそのままレンジで加熱してしまったのでしょうか……。

よく見ると透明容器には穴が

 その他にも、タレを直接透明容器に入れていたり、使われていない辛子、シュウマイを白ご飯にワンクッションさせる様子など、ひとつの作品から生活風景や人間性などが見えてくるような、わびしさが表現された作品に仕上がっています。

容器の隅に入れられたタレ

 作品のリアルさは制作者の高い技術があってこそ。シュウマイは、丸ごと型採りをするのではなく、皮を別に作り、中のミンチは型を使わず手で捏ね合わせて作られている模様。通常の製造工程ではこのような作り方はしませんが、製作スキルコンペならではの製法で、細部にまでこだわりが詰め込まれた作品となっています。

シュウマイの製法は実物のシュウマイの作り方にそっくり

 残念ながら、この作品はコンペでは受賞とはなりませんでしたが、技術の高さや制作テーマのユニークさからツイッターに投稿したところ、多くの方の目に止まる結果に。

 今回の作品は鳥取倉吉円形劇場(倉吉市鍛冶町)で開催中の「~食べ物を鑑賞する~『食品サンプルの世界』展」にて、5月29日までの間、展示されているとのこと。製作コンペ作品展示の他にも、製作現場再現コーナーや、面白写真撮影コーナーなどもあり、一日楽しめる展示になっているそうですよ。

 また、株式会社いわさきは、こうした遊び心たっぷりのアイデア商品を、オンラインショップにて販売しています。キーホルダーやマグネットなど、通常の食品サンプルとは異なる、クスッと笑えるアイテムが多数取り揃えられています。

<記事化協力>
株式会社いわさき_食品サンプルさん(@IWASAKI_SAMPLE / 株式会社いわさきホームページ:iwasaki-ts.co.jp

(山口弘剛)