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こんな優しい世界になってほしい……理想の上司を描いた4コマ漫画に反響

 かつては少数派だった「共働き世帯」も今や多数派。子どもを保育園や幼稚園に通わせながら働いている、というママパパも多いと思いますが、おそらく多くの世帯が困っているであろう問題のひとつが、子どもの急な体調不良で仕事を休まなければならない時。

  •  上司へ連絡をすると「また?」と露骨に不機嫌な態度を取られ、ひどい時には「代わりの人いないから出勤して!」なんて場合も。こんなことがあると連絡するのも億劫になってしまいますよね。部下の家庭の事情に対し、上司や会社は「こうあるべきでは?」という理想を投げかけた4コマ漫画がツイッターで大きな反響を呼んでいます。

     漫画に登場するのは、小さな子どもとそのお母さん、そして会社の上司の3人。一コマ目には「ゲー」と突然嘔吐した子どもと、それに慌てるお母さんが描かれています。

     子どもを布団に寝かせた後、上司に連絡を行うお母さん。「すいません、うちの子が具合悪くて……」「すいませんがお休みを……」と、仕事を休むことに申し訳なさを感じているような様子は、きっと働くことに責任を感じているが故でしょう。

     そんな心配をよそに、「すいませんはいらんとよ(すいませんはいらないよ)」「子どもばせめとうことになるけんね(子どもをせめてることになるからね)」と、快諾する上司。方言がまたなんとも……やさしい。

     続けて上司は「それに、逆よ!会社が、お子さんからママを借りとうとよ(借りてるんだよ)」「こっちのほうが、いつもすみません、よ。職場は気にせんで!」とフォローしたところで漫画は完結。電話口ながらニコッと微笑む上司の姿になんとも癒やされます。

    働くすべてのお母さんへ

     この投稿についた「いいね」の数は何と17万件にものぼり、同じような悩みを持つ子育て世代のママパパから共感の声が相次いで寄せられています。また「こんなすてきな上司がいたら……」と現実とのギャップに落胆する声や、「自分がこんな上司になりたい!」と希望に燃える声も。やはり多くの方が会社の課題としてこの問題を認識しているようです。

    ■ 「子どもが熱を出したんだけど、仕事を休むのがしんどい」友人との会話がきっかけに

     この漫画の作者は、漫画家のネコロスさん。普段から自身の関心事を中心に4コマ漫画を描いており、今作は仲の良い友人から「子どもが熱を出したんだけど、仕事を休むのがしんどい」と聞いたことがきっかけなのだそう。

     ネコロスさんもこうした電話を受ける側の立場にあり、仕事を休むことを申し訳なく感じているママパパに対してどういう言葉を伝えるべきだろう、と考えた末に思い浮かんだのが、今作の上司のセリフでした。

     「会社が子どもからママを借りている」という発想は、普段からこの問題について深く思い悩んでいるネコロスさんだからこそ、発想出来たのでしょう。もちろんママだけでなく、パパについても同様であると考えます。

     しかし、このような対応が出来ている会社は、現実にはまだ少ないと言えそう。なぜなら、やはり誰かが休むということは、違う誰かがその仕事を引き受ける必要があるから。

     特に少数の職場、かつ人員配置があらかじめ決まっている業種においては、1人欠勤することが大きな痛手になることもあるため、理解を示す必要があるとわかってはいるものの、本音は休んで欲しくないという思いがあるのでしょう。

    ■ 体の余裕=心の余裕 場当たり的な対応は不満の元

     こうした双方の言い分はもちろんどちらも良く分かります。この問題を解決するには、上司が理解を示すことや、場当たり的に乗り切るだけでなく、やはり問題が起きる前にどのように手を打っておくかがカギと言えそう。

     小さな子どもを持つ親が部下にいるということはわかっているわけですから、突発的に欠勤が発生するのは当然。であれば、例えば人員に余裕のある部署にあらかじめ声を掛けておく、いざという時に自分が動けるように、自分の仕事を軽くしておくなど、あらかじめ出来ることはあるはず。人員補充のために公休や有休の部下に出勤要請を掛けるなんてもってのほかです。

     もちろんそれでも解決出来ない場合は、自身の上司や会社に相談するというのも手でしょう。さまざまなパターンを想定し、対処を考えておけば体の余裕だけでなく、心の余裕も生まれます。

     そして上司の心の余裕は部下にも伝わります。チーム全体に心の余裕があれば、きっと今作の上司のような温かい対応が出来るのではないでしょうか。

    ■ 「理想を描かないと、世界はそこに近付かない」 4コマ漫画に込めた思い

     「漫画の世界はただの理想かもしれません。だけど理想を描かないと、世界はそこに近づいていくことはありませんから」

     投稿に寄せられた大きな反響に対して、このように心境を述べたネコロスさん。今これが実現出来ている上司、職場はまだ一部でも、これだけ共感の声が集まっているわけですから、理想の社会はもうすぐそこまで来ているのかもしれません。

     上司も部下も同僚も、お互いがお互いのことを思いやれる。もちろん、誰が休んでも、大きく差し支えなく業務を遂行できる。そんなすてきな職場が増えてほしいと、切に願うばかりです。

    <記事化協力>
    ネコロスさん(@youyakuya)

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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