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プラモデルの箱を突き破って抜錨!迫力たっぷりの「宇宙戦艦ヤマト」ジオラマ

 普通なら中に収まっているはずのプラモデルが、箱を突き破って抜錨した!?大胆すぎる発想から生まれた「宇宙戦艦ヤマト」のジオラマがXで注目を集めています。

 轟音とともに立ち上る煙、そして突き破られる格納庫。その先に現れるのは巨大な艦影。プラモデルの箱を舞台に繰り広げられた、壮大な“発進シーン”は、思わず息を飲む出来栄えです。

  •  製作したのはXユーザーのライナスさん。幼少期から油彩を学び、現在は色鉛筆画を中心に展覧会へ出展するなど精力的に活動。今年は全国公募の日美展で優秀賞を受賞した経歴を持つ実力派です。

     一方でプラモデル製作にも意欲的に取り組んでおり、約5年前から作り始めるように。SNSを中心に多くの作品を公開しています。

    錯視アート的なアプローチ

    ■ 箱を破り、煙を吹き上げる迫力演出

     今回の「宇宙戦艦ヤマト」も、基本は素組み。そこにアクリル絵の具で塗装を施し、パッケージ箱を加工して臨場感を演出しています。

    作品のイメージ図

    キットは基本的に素組み

    パッケージ箱を加工して臨場感を演出

     特に目を引くのは艦体周囲に広がる白煙。これは紙粘土を使用し、粗い質感を活かすことで爆炎や水しぶきの迫力を再現。着色にはアクリル絵の具を使い、力強い立ち上がりを表現しています。艦首のアンカーには100円ショップのチェーンネックレスを流用するなど、身近な素材も巧みに活かされています。

    白煙には紙粘土を使用

    粗い質感を活かすことで爆炎や水しぶきの迫力を再現

     そんな力作の制作期間はわずか2日間。1日目で組み立て、2日目に塗装と演出を行い完成。こだわったのは「写真にしたときにどう見えるか」で、光の当て方や角度を徹底的に調整し、どこから見ても迫力あるシーンに仕上がりました。

    完成直前のジオラマ

    ■ 独自の表現を生んだ発想と工夫

     ライナスさんがこの手法にたどり着いたのは、「他の人と同じことをしても面白くない」という思いからでした。

     SNSで流行していたセル画風塗装をフォロワーに勧められた際「自分らしくない」と感じ、そこから別の表現方法を模索するように。「他の方と被らない作品製作」という方向性に舵を切り、その結果、自身が得意とする「錯視アートの技法」を模型に活かす発想が生まれました。

    錯視アートを生かした技法

     立体で表現するにあたり、「影が落ちるとトリックが壊れる」という課題にも直面しましたが、独自の塗り方で影をほぼ消す方法を編み出し、作品に反映するという、より一層リアルに見せる工夫が施されています。

    ■ 製作背景には私生活の変化も

     製作の背景には、私生活での大きな節目もありました。ライナスさんの妻は11月に出産を控えており、「子どもが生まれたらしばらくはプラモデル製作もできない」との思いから、今のうちにと力を注いだのです。

     そんな想いと「ヤマト愛」のこもった作品には、「突き破って中から出てきた〜!」「センス抜群でさすがすぎますね!めちゃくちゃカッコいい!」といった声が続々と寄せられました。

     こうした反響についてライナスさんは「自己肯定感が高くないので驚きましたが、こうして多くの声をいただけると挑戦して良かったと感じます」とコメント。

     加えて「プラモデル作品制作にあたりアドバイスや励ましを頂ける仲間達、私の作品づくりを受け入れ展示会に招いてくださった北海道のモデラーチームの皆様、そしてこんな私を支えてくれる愛妻に感謝申し上げます」と述べ、私生活が落ち着いたら、再び展示会への参加も考えている意向を明らかにしました。

     プラモデルの箱を突き破って抜錨する「宇宙戦艦ヤマト」。その迫力ある発進シーンは、絵画で培った技術と模型への情熱が融合した、唯一無二の作品です。大胆な発想と細やかな工夫で生み出されたこのヤマトは、まさに「模型の域を越えたアート」といえるでしょう。

    <記事化協力>
    ライナスさん(@Rainas_g

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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