大人のための洋酒入りチョコレート菓子「チェリーボンボン」。噛んだ瞬間の洋酒の香りと口どけ、チョコレートの甘味と洋酒の苦味の調和がたまらない逸品ですが、中にどうやってシロップを入れているのか、気になったことはありませんか?
この疑問に対し、山梨県の老舗和菓子屋「金精軒」公式Xが示したのは「材料を入れてひたすらに待つ」という答え……なのですが、その方法以上に、投稿に添付された図解に大きな反響が寄せられています。
図解には真っ赤な「サクランボー」が白い「砂糖」でコーティングされた状態が描かれています。そして矢印の先にある「完成形」の図には、衝撃の言葉が記されていました。
中のサクランボーは「シナシナランボ」に変化。そして周囲の砂糖は溶け出し、「染み出た水分と砂糖が混ざった夢心地の汁」になっているのです。
……なんというパワーワード。「夢心地の汁」という表現からは、その美味しさがダイレクトに伝わってきますし、「シナシナランボ」という語感の良さ、そして何よりゆるさ満点の手描きイラストがこれらの言葉の面白さをより一層引き立てています。
■ 作者はXの「中の人」本人
この味のあるイラストと言い回しは、一体誰が考案したのでしょうか?金精軒のX担当者である小野さんにうかがったところ、なんと担当者本人の作であることが判明しました。
小野さんは本来物事を早口で熱弁して引かれるような性格とのことですが、そんな熱い想いをあえて封印し、ゆるいイラストに乗せたことで、結果的に多くの人に製法の面白さが伝わったようです。
■ 科学と時間が作る「夢心地」
この現象は、果実を漬け込んだお酒と、コーティングしたフォンダン(砂糖衣)が反応して起こるもの。お酒をパンパンに吸い込んだ果実を砂糖で包み、チョコレートで蓋をして熟成させることで、果実から染み出した水分とアルコールが徐々に砂糖を溶かし、とろっとした美味しいシロップ(夢心地の汁)へと変化していくのです。
金精軒の商品ページによると、使用しているのは山梨県産の肉厚なサクランボ。これをキルシュに半年以上漬け込み、さらにチョコで包んでからおよそ1か月間熟成させるという、非常に手間暇のかかっているお菓子なのです。
実はこの商品、コロナ禍の2020年、観光客が激減し、行き場を失ったサクランボ農家を救うために生まれたものだそう。「農家さんが生き残っていくために」という願いが込められています。
販売時期について小野さんに聞くと、「クリスマスとバレンタインの年2回に、当日の2週間前くらいから並びます。バレンタインの方が人気です」とのこと。価格は3個入りで1944円(税込)、金精軒公式通販サイトでも販売中です。
熟成が進むほどシロップ化するため、賞味期限が近づくクリスマス頃が最も「夢心地の汁」が楽しめるチャンス。ただし、アルコールが強いお菓子のため、運転前やお子さん、アルコール制限のある方はご注意を。
チェリーボンボンにシロップを入れる方法をお尋ねされました。
シュークリームのように注入するのか、それとも固形化したシロップを包むのか…正解は「材料を入れてひたすらに待つ」になります。
お酒をパンパンに吸い込んだ果実を砂糖でコーティングし、チョコカプセルの中でひとつにしていきます。 pic.twitter.com/eB8A8apmsz
— 金精軒 (@kinseiken_jp) December 15, 2025
<記事化協力>
金精軒(@kinseiken_jp)
(山口弘剛)











































