静岡大学理学部の後藤寛貴助教は、クワガタがオスだけ大きな大顎を作っている仕組みを明らかにし、クワガタの「カッコ良さ」の源に迫るため、クラウドファンディングを開始したのでお知らせします。
本プロジェクトでは、クワガタがオスだけ大きな大顎を作っている仕組みを明らかにするため、
オスの大顎が形成されるときにどのような遺伝子が使われているのかを調べ(発現解析)、
その遺伝子を働かなくしたときに大顎が発達しなくなるかどうかを調べていきます(機能解析)。
遺伝子の働きを抑えた時に、姿がどう変わるかを調べることで、その遺伝子がどのような機能を持っているかを明らかにすることができます。
多くの人に馴染み深いクワガタに関する研究を、クラウドファンディングを通して行うことで、基礎科学への理解や支援を一般に広げるため、クラウドファンディングに挑戦することにしました。
報道機関の皆様におかれましては、ご多用中とは存じますが、ぜひ、周知とご取材いただきますよう、お願い申し上げます。
【クラウドファンディングの概要】
プロジェクトタイトル:クワガタムシの「カッコ良さ」の源を解明したい!
ページURL:https://academist-cf.com/projects/365?lang=ja
目標金額:200万円(All or Nothing形式)
※募集期間内に集まった寄付が目標金額を超えた場合のみ受け取ることができる仕組み
募集期間:2024年12月25日(水)10時~2025年2月20日(木)17時
資金の使途:実験に必要な試薬や設備の購入、学会参加やサンプリングの費用など
(研究者コメント)
静岡大学理学部助教・後藤寛貴(ごとう ひろき)
小さいころから昆虫が好きで、特にクワガタはお気に入りの虫でした。大学院でクワガタに関する研究を始めて以来、なんだかんだと20年近くクワガタを研究し続けています。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/96787/53/96787-53-865ba71dd3d2c0b8f87af52b5dd17299-3319x2015.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【研究概要】
「クワガタムシ」の研究に関し、主にオスだけで大顎が発達する「性特異的な発達」および環境依存的に大顎が発達する「環境依存的な発達」の発生学的メカニズムについての研究を行います。具体的には、性決定関連因子、および(栄養応答性の)内分泌因子の遺伝子機能解析を行い、表現型から機能推定を行います。これを通して、どのように性特異的な大顎発達が生じているのか、さらにそこにどのように栄養条件の入力があるのか、といった事柄を明らかにします。
【研究背景】
日本人なら誰しもが知っているメジャー昆虫であるクワガタですが、実験生物学的にはあまり研究が行われてきませんでした。クワガタのシンボルといえば、オスだけで大きく発達する大顎です。この大顎はさまざまなクワガタ種ごとに多様な形態を示し、形、艶、大きさなどカッコ良さの要素はたくさんあります。そのなかで、私は特に大顎の大きさにカッコ良さを感じます。
では、どのような仕組みで大顎が大きく発達するのか? なぜメスでは発達せずオスだけでその仕組みが機能するのか? どんな仕組みで種ごとに多様な形態となっているのか? これらはほとんどわかっていません。こうしたクワガタの大顎にまつわる謎を研究を通して解き明かし、そのカッコよさの源に迫りたいと考えています。
【今後の展望と波及効果】
私は、自然界を見渡した時に「なぜ?」「なんで?」湧き上がる疑問と、その答えを「知りたい」という欲求、その両方が大事にされる世界を夢見ています。子どもの頃に身の回りのものごとにさまざまな疑問を持ったことは誰にでもあるのではないでしょうか。「雨が降るのはなんで?」「なんで桜はすぐに散っちゃうの?」「人間には翼がないのはなぜ?」「どうして砂糖と塩って見た目は同じなのに味が違うの?」そんな子どもの時に抱いた疑問の数々は成長と共にどうでもよくなってしまうかもしれません。しかし、我々人類は歴史の過程でそのような疑問の数々を解き明かしてきましたし、それが結果的に科学技術の発展をもたらしてきました。
私たちが行うクワガタの研究の成果を通して、研究活動の面白さを伝えることで、多くの人々(私の場合は、クワガタが好きな子どもたち)に、このような気持ちを持って欲しい、また、それを大事に育てて欲しい、そう思いながら研究をしています。
今回、クラウドファンディングを通して、多くの人に馴染み深いクワガタに関する研究を皆さんと一緒に進めていき、研究活動の面白さを体験して欲しいと願っています。
・研究計画
【時期】 【計画】
2025年4月 研究開始
2025年9月 国内学会で発表
2025年12月 性決定に関する論文執筆開始
2026年9月 国内学会で発表
2026年12月 大顎の栄養応答性に関する論文執筆開始
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クワガタムシの「カッコよさ」の源を解明するためにクラウドファンディングを開始
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