全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)
株式会社帝国データバンクは、2024年に発生した企業の休廃業・解散動向について調査・分析を行った。
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<調査結果(要旨)>
- 2024年の休廃業・解散、6万9019件 前年比1万件の大幅増
- 休廃業時の平均年齢、過去最高の71.3歳
- 全都道府県で「増加」 東京都が唯一1万件台
- 奥能登の「休廃業・解散」、2024年は41件判明 前年比1.4倍の急増
- 「街のバイク屋」の休廃業・解散が急増、前年の1.6倍・65件
<サマリー>
2024年に全国で休業・廃業、解散した企業は6万9019件に達した。前年から約1万件・16.8%増加し、2016年以降で最多件数を更新した。休廃業した企業のうち、65.1%が資産超過だったほか、過去最低となる51.1%が直近損益で黒字の企業だった。2024年の休廃業・解散動向は、直近の損益が悪化した企業が多い点が特徴となっている。
■ 帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計
■ 「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(但し「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称
■ 調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある
[注] X年の休廃業・解散率=X年の休廃業・解散件数/(X-1)年12月時点企業数
全国の動向2024年の休廃業・解散、6万9019件 前年比1万件の大幅増
2024年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む、以下「休廃業」)は6万9019件となった。4年ぶりの増加となった前年に続き、2年連続で増加した。2024年1月以降、休廃業・解散件数は前年を大幅に上回る水準が続き、年間件数としては前年に比べて9914件・16.8%の大幅増となったほか、現行基準で集計を開始した2016年以降で最多を更新した。
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「休廃業・解散」件数推移(2016年~24年、全国)
休廃業した企業の雇用人数(正社員)は少なくとも累計8万7003人に及び、前年(7万8053人)から約9千人増加し、2016年以降で最多となった。すべての雇用機会が消失したものではないが、経営者を除く約9万人の従業員が転退職を迫られた計算となる。消失した売上高の合計は2兆9493億円に上り、前年(2兆8424億円)から増加した。
2024年に休廃業となった企業のうち、保有資産の総額が債務を上回る状態で休廃業した件数=「資産超過型」の割合は65.1%を占め、2016年以降で最高となった。また、休廃業する直前期の決算で当期純利益が「黒字」だった割合は51.1%となり、集計を開始した2016年以降で過去最低を更新した。この結果、「黒字」かつ「資産超過」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.2%を占めた。2024年の休廃業・解散動向は総じて、直近の損益が悪化した企業が多い点が特徴となる。
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「資産超過型」「黒字」休廃業・解散割合 推移
2020年から22年にかけて、企業の休廃業は持続化給付金や雇用調整助成金など「給付」による手厚い資金繰り支援策が功を奏し、コロナ禍の厳しい経営環境下でも抑制された水準で推移してきた。しかし、2023年以降はこれらの支援策は徐々に縮小されたほか、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営課題が押し寄せた。こうした厳しい事業環境のなかで、官民による廃業支援が充実してきたことも背景に、手元資金などで余裕があるうちに会社を畳んだ「あきらめ廃業」が増加した。また、当初は廃業を目指していたものの、想定外の環境変化で負債が増加し、返済原資が確保できなくなったことで破産などの「ハードランディング」を選択せざるを得なかった企業も少なくないとみられる。
休廃業時の平均年齢、過去最高の71.3歳
休廃業・解散時の経営者年齢は、2024年平均で71.3歳となった。4年連続で70歳代となったほか、前年から0.4歳上昇し、調査開始以降で最高齢を更新した。最も休廃業が多い年齢も75歳と、過去最高齢だった22年に並び、廃業を決断する経営者の年齢は上昇傾向がさらに加速した。
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代表者年代別 休廃業・解散(割合)
年代別では、「70代」(39.5%)が最も高いものの、3年ぶりに40%を下回った。一方で、「80代以上」(23.7%)は前年から2ptの大幅アップとなった。また、「50代」(11.1%)、「40代」(4.1%)でも前年から割合が上昇するなど、現役世代でも市場からの退出を決断した企業が増加した。
休廃業・解散企業で代表の高齢化が進む一方で、高齢代表でも80代以上と70代以下で傾向が分かれた。特に80代以上では、体力的な側面からも後継者への事業承継活動が困難となり、休廃業・解散を余儀なくされている可能性がある。
全都道府県で「増加」 東京都が唯一1万件台
都道府県別の発生状況では、すべての都道府県で前年から増加した。件数ベースで最も多いのは「東京都」の1万5126件で、全国で唯一1万件を超えた。次いで「神奈川県」(4416件)、「大阪府」(4400件)、「愛知県」(3886件)と続いた。全国で1000件を超えた都道府県は合わせて19を数え、前年から5県増加した。企業数と比例して休廃業数も多い大都市圏の発生が目立つ一方で、「宮城県」「栃木県」「岐阜県」など、調査開始以降で初めて1000件台を記録した県もみられた。最も発生が少なかったのは「佐賀県」(314件)だった。
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都道府県別 前年比増加率(2023年→24年比較)
前年から最も増加した都道府県は「秋田県」で、前年比58.4%の増加となった。「熊本県」(50.9%増)と合わせて、前年比1.5倍を超えたのは2県のみだった。「鳥取県」(41.8%増)、「和歌山県」(38.5%増)、「徳島県」(37.7%増)など、特に地方部で急増が目立った。
発生率を表す「休廃業・解散率」では、最も高いのが「東京都」の7.71%で、全国で唯一7%を超えた。最も発生率が低いのは「佐賀県」(2.64%)だった。
奥能登の「休廃業・解散」、2024年は41件判明 前年比1.4倍の急増
最大震度7を観測した令和6年能登半島地震の発生から1年が経過した。こうしたなか、石川・富山13市町村を含む「能登地方」[i]企業の休廃業・解散件数は、2024年に164件が判明した。このうち、珠洲市・輪島市・鳳珠郡を含む「奥能登地方」での同件数は41件判明した。
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「能登地方」「奥能登」の休廃業・解散件数(2020~24年)
業種別にみると、「建設業」(32件)のほか「サービス業」(19件)、「小売業」(13件)など、幅広い産業で前年から増加した。政府による資金繰り支援策に加え、地元自治体による仮設店舗の設置など営業再開を後押しする政策が実行されたものの、地震により観光業や漁業などの第1次産業へのダメージが大きかったうえ、避難に伴う当地人口の減少なども影響したとみられる。
地震被害からの復興が道半ばの能登地方では、生活基盤の再建で手いっぱいとなり、企業経営への判断に対する余力が乏しいケースが少なくない。かろうじて事業を再建・継続した被災企業でも、再建に必要な特別融資などの借り入れで返済負担が増したケースもあるほか、地域経済の空洞化による企業規模の縮小、他地域への避難も含めた人口の流出などで働き手が戻らず、被災前の収益力に届かないといったケースも聞かれる。当地における経営環境の回復は、依然として道半ばの状況となっている。
能登地方における企業倒産は2024年に19件発生し、前年(10件)を大幅に上回った。23年以前に事業を停止した企業の法的整理も含まれるため、すべてが震災の影響によるものではないが、事業再建のめどが立たず、法的整理の選択を余儀なくされたケースもみられた。
安定した事業環境や生活環境の確保ができなければ、地震によって失われた商流が戻らないといった影響も危惧される。今後の能登地方の休廃業・解散は、破損したインフラなどの再整備などによる事業再建への「期待度」がカギを握る。
「街のバイク屋」の休廃業・解散が急増、前年の1.6倍・65件
業種別では、その他(詳細不明を含む)を除く7業種すべてで前年から増加した。最も件数が多い「建設業」(8182件)は、前年から7.3%増加し、2016年以来9年ぶりの高水準となった。前年からの増加率が最も高いのは「サービス業」(7608件、同8.5%増)で、件数は現行基準で集計を開始した16年以降で最多となった。「運輸・通信業」(706件、前年比8.3%増)でも、トラック輸送などを中心に運輸業での増加が目立った。
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業種別詳細 休廃業・解散件数(2024年)
年間の休廃業・解散のうち、業種を細かくみると、前年比で最も増加したのはバイクディーラーなど「二輪自動車小売」(41件→65件、前年比58.5%増)だった。大型量販店やパーツ販売店などの進出に加え、コロナ禍でのバイクブームの一巡、中古市場相場の下落による新車販売台数の低下といった厳しい環境を背景に、街のバイク屋や特約店などで廃業したケースが増加した。増加率上位の業種のうち、「舗装工事業」(49件→72件、同46.9%増)では過去5年で最多、老人ホームや通所介護施設運営などの「老人福祉事業」(同183件→254件、38.8%増)は年間で過去最多の件数となった。前年から最も減少したのは「パチンコホール」(90件→63件、同30.0%減)だった。
2024年の休廃業・解散率をみると、最も高いのが「税理士事務所」で5.61%だった。前年に続き、従前から税理士の高齢化が課題となっていた中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる。米屋などの「米穀類小売業」は、「社会保険労務士事務所」と並ぶ5.56%となった。いわゆる「街の米屋」を含む米穀類小売では、家庭におけるコメ消費量の減少や、代表の高齢化など経営環境が厳しかったことに加え、前年の猛暑による米の品質低下などを背景としたコメ仕入れ価格の高騰なども重なり、店頭価格への価格転嫁が難しかった小規模な米穀店で増加した。街の豆腐店などを中心とした「豆腐・油揚製造業」(5.25%、28件)でも、「特売品」の目玉として小売業者からの値下げ圧力は高く、薄利多売が続いた中で、大豆などの原材料やエネルギーコストの増加分を価格に転嫁しづらい環境を背景に、小規模店を中心に増加した。
業績悪化で追いつめられた末の「あきらめ廃業」、水面下で広がっている可能性
2024年の休廃業動向は、11年ぶりの高水準となった企業倒産(法的整理)と同様に、大幅な増加傾向で推移した。特に、2024年の休廃業・解散では、平常時であれば安定した事業継続が可能な「黒字・資産超過」の割合が過去最小となったほか、70代以上の高齢経営者による休廃業・解散が6割超を占めるなど、休廃業の現場における高齢化が一段と進行している点が特徴といえよう。
足元では、中小企業支援の軸足が「資金繰り」から「事業再生」へと変化するなか、自力再建が困難な企業では余力があるうちに事業を畳む前向きな廃業を後押しする取り組みが進んでいる。ただ、近時はコロナ禍からの業績回復が円滑に進まないことに加え、深刻化する人手不足への対応や後継者不足問題、原材料価格や人件費、物流費など各種コストの増加分を販売価格に反映する価格転嫁が十分に進まないといった、四重・五重の苦境に立たされている中小企業は少なくない。また、本来は廃業を志向していたものの、収益力低下による手元資金の流出といった経営面のダメージが広がり続けたことで、法的整理など「ハードランディング」を選択せざるを得なかった企業も水面下で増加したとみられる。結果として、2024年のトレンドは「倒産・廃業の大幅増」での推移となった。
近時は、無理に事業を続けて経営資産を目減りさせた結果、廃業のステップを踏むこともできない状態へ至るよりも、M&Aなどを活用して予め経営資産を第三者に引き継いだ上で事業を畳む方が望ましいという「前向きな廃業」の考えが浸透し、業界大手の企業が自主廃業を決断するといった事例も出始めている。2025年以降も、人手不足の解消や後継者の選定といった経営上の課題が山積するなかで、「自力での事業継続」か「円満な廃業」か、将来を見据えた経営判断を迫られる機会はより増加するとみられる。
一方で、企業の自主的な廃業の増加に伴い、販路を失った取引先やサプライチェーンを担う事業者が連鎖的に事業継続を断念したケースも目立ってきた。「経営者保証に関するガイドライン」の改定をはじめとした各種廃業支援による市場環境の整備と同時に、取引先の突然の廃業を未然に防ぐ「サプライチェーン事業承継」といった考え方の導入など、高まる連鎖廃業・連鎖倒産のリスクをいかに軽減するかといった取り組みも、中小企業支援策として同時並行で進めることが求められる。
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2024年の休廃業・解散、 過去最多6.9万件 前年比1万件の大幅増
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