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夏場の「汗冷え」対策に。ウールには冷えによる不快感をやわらげる機能があります。

update:
   
日本毛織株式会社(ニッケ) 
ニッケは金城学院大学・平林研究室との共同研究でその有効性を検証しました



日本毛織株式会社(大阪市中央区 以下ニッケ)は、金城学院大学・平林研究室と共同で、衣類の汗冷えについての研究を進めてまいりました。このたび、人台(ボディ)を用いたモデル実験と、実際に人が着用する実験を行い、どちらの実験においてもウールが「冷え」による不快感を軽減するという結果が示唆されたことをお知らせします。この研究結果は日本衣服学会と日本繊維製品消費科学会で発表されました。

酷暑の外出から空調の効いた室内に戻ったとき、急に体が冷えて寒く感じることがあります。この「汗冷え」は、1.濡れた衣服自体が熱を伝えやすくなること(熱伝導)、2.濡れた衣服が乾くときに熱を奪うこと(気化熱)、の2つの要因で生じる現象と考えられます。この「夏場の冷え感」に悩む声は女性を中心に少なくありません。
一方、汗冷えの評価方法や素材による違いなどについての体系的な研究はこれまであまり例がなく、したがってエビデンスに基づいた汗冷え対策の衣服が販売されることもありませんでした。ニッケは、金城大学・平林研究室と共同で、汗冷えが起こる環境を再現したモデル実験と着用実験を実施し、どちらの結果からもウールが冷えによる不快感を軽減することが示唆されました。日本衣服学会と日本繊維製品消費科学会で発表されたこれらの研究結果を以下にご報告します。

(1)モデル実験(「人台を用いた模擬的発汗後の背部衣服気候の変化」 日本衣服学会第74回年次大会)
・実験内容
人台(ボディ)に実験着を着用させて、模擬的に汗をかいた状態を作り出し、背部の衣服内気候を観察しました。「リュックサックを背負って汗をかく→荷物を降ろして冷房に当たる」といった状況を想定し、それを細かく再現した装置を自作したものです。試料に用いたのは「ポリエステル」「綿」「ウール」の3素材です。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-c5197144aef3398c58ab6172f03b5cb5-654x299.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


・実験結果
湿潤後の「衣服の表面温度」「衣服内の温度」「ボディの表面温度」を測定した結果、いずれの測定値もウールが最も高く、濡れて冷えた状態からの回復も早いことがわかりました。これは冷房環境下でも皮膚温が維持され、汗冷えを感じにくいことを意味しています。

【湿潤後・送風時の変化】
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-a6ccee5aea425752911761be02594232-556x452.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<衣服表面温度>
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-2f5839500505949cd96da23abb9fa1bb-556x452.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<衣服内温度>

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-b3351bbe9fadb6540b2e5274987177cb-556x452.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<ボディ表面温度>


また、「衣服内湿度」については、綿とポリエステルの湿度は90%RHを超えてしばらく高湿が維持されますが、ウールは80%RH以下ですぐ低下しました。これは、汗をかいてもウールならすぐに蒸れ感がなくなることを意味しています。

【湿潤後・送風時の変化】
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-9f6d1f505bcb0188c510b62e9944aa82-557x446.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<衣服内湿度>

・考察
ウールは他の繊維と比べ熱伝導量が小さい(熱を伝えにくい)ことは以前から知られていましたが、その性質が湿潤状態でも維持されることがこの結果につながっていると考えられます。どんな素材も濡れると熱伝導量が上昇しますが、ウールは他の2素材に比べて上がり方が小さいのです。これはそれぞれの素材の保水率の差も関係していると考えられます。


(2)着用実験(「夏季日常生活下における汗冷えと衣服素材の関係」 日本繊維製品消費科学会2024年度年次総会)
・実験内容
環境室(28℃×50%RH)内で被験者(女子大学生)5名に自転車運動を行ってもらい、発汗後背中を扇風機の冷風に当てて皮膚温や衣服内温湿度の変化を測定しました。こちらも試料は「ポリエステル」「綿」「ウール」の3素材です。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-1dd4b979919542a8c002dd2a308d92e4-493x444.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

<手順>
1.Tシャツと長ズボンを着用し25℃50%RHに入室し、10分間安静にする。
2.自転車運動3分・安静2分を5回繰り返し、発汗を促す。
3.背部に扇風機で冷風(約25℃)を送風し15分間安静にする。
<評価>
1.発汗量、外耳道温、皮膚温、衣服内温湿度
2.主観評価(背中と全身の温冷感・快適感)




・実験結果
運動中と運動後の衣服内の温度を測定した結果、綿やポリエステルは温度が低下し続けるのに対し、ウールは送風後しばらくして上昇に転じました。また、衣服内の湿度については、ウールは運動後の湿度上昇が小さく、運動前の湿度に戻るまでの時間も短いことがわかりました。これらは、モデル実験と同様、ウールは濡れても冷えにくく、蒸れによる不快感も少ないことを示しています。

[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-0b2cb9e1d37e4b18f1226edf7bc42e86-758x378.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-afb2af06f51afe640302c7efd487fd6e-758x378.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


また、被験者の主観評価では、ウールは他の素材に比べて冷たさを感じにくいという結果が得られました。
[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-e6bce6b325cde6d60a8927f9d2f708b9-758x378.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


[画像10: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/91940/60/91940-60-2b734d8166798661781d83b84875cba4-758x378.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


・考察
モデル実験の考察と同様、ウールは湿潤時でも熱伝導量が小さい(熱を伝えにくい)ためと冷えにくいと考えられます。湿度を低く保つ効果については、他の2素材に比べウールの吸放湿性が高いためと考えられます。

(3)今後の課題
今回、ウールが素材として、夏場の汗冷え軽減に効果があることが示唆されましたが、まだ製品化には至っていません。どのような製品であればウールの機能を生かし、消費者の皆様に快適さをお届けできるのか、アパレルや小売の皆様の知見もお借りして検証したいと考えています。
また、満員電車から外に出るときなどのように、汗冷えは冬場でも発生する場面があります。冬場の汗冷えにもウールの低減効果が発現するかについても検証を進める予定です。

【会社概要】
社名:日本毛織株式会社(通称社名:ニッケ)
本社所在地:大阪市中央区瓦町3丁目3-10
HP:https://www.nikke.co.jp/

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