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訪問型保育だからこそ“考える保育者”を育てる NPOノーベルが生成AIを活用した「訪問保育者向け学びのプラットフォーム」を試験運用開始
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特定非営利活動法人ノーベル(大阪市中央区 代表理事:長谷亜希 以下、ノーベル)は、生成AIを活用して、訪問保育者が学び・つながるためのプラットフォームを開発。このたび訪問保育者向け学びのプラットフォーム「ノーベル先輩(仮称)」が完成しました。「ノーベル先輩(仮称)」は、保育現場での不安や課題を保育者自らが質問・相談し、ヒントを得てすぐに実践につなげられる支援ツールです。
本プロジェクトは、2021年11月にGoogle.orgのGoogleインパクトチャレンジに採択され、85万ドルの資金提供を受けてスタートしました。延べ24,000件の訪問型病児保育の実績をもとに、保育現場で培われた知見を体系化し、保育者がいつでもどこでも学びつながることを可能にした画期的なプラットフォームを3年かけて開発してきました。
訪問型保育の現場は、保育園などの施設型とは異なり、訪問する家庭の環境はすべて違うだけでなく、保育に最適化された空間設計とは限らないために、環境的なリスク要因も様々です。また、派遣される保育者はひとりであることが多く、保育の現場では、様々な事柄にひとりで考え、対応していくことが求められます。さらに、密室で乳児と長時間過ごすため、保育者が孤独感を感じやすいという特性もあり、訪問型の保育者の育成においては、施設型とは異なる現場特性を踏まえた内容であることが求められます。そこで、試験運用の段階では、以下の3つの機能を搭載してスタートします。
1.ノーベルの保育ルールを調べる
- 例:解熱剤の使用方法の確認
- 注意事項も含め、判断に役立つ情報を提示
2.保育での困りごとを解決する
- 例:特定の状況やこどもの様子に合わせた声掛けや工夫例を提示
- パターンランゲージに基づいた実践事例を参照可能
3.こどもの特性や発達について調べる
- 例:発達段階ごとの特徴や発達障がいに関する情報の提供
訪問型の保育者育成の観点での生成AI活用は全国でも例がなく、このプラットフォームの実用化により、保育のヒントを得て自ら考え実践する保育者が増え、質の高い保育をより多くの家庭に提供することが可能になります。
訪問保育ニーズの増加
夫婦のいる世帯のうち共働き世帯は、全国で約7割となっています。そういった時代背景に伴い、訪問保育のニーズは増加傾向にあります。また、こどもが病気の時はもちろん、保育園の送迎から自宅での見守り、在宅ワーク時の保育など多岐にわたります。今後各家庭の状況やニーズに応じて柔軟に保育ができる頼れる存在(保育者や保育サービス)を増やし、安心して子育てと仕事の両立ができる環境を整えることが重要です。
訪問保育者の6つの課題―学びとつながりで保育の質を向上
ノーベルが2023年に実施した訪問保育者対象の調査によると、訪問保育者には以下の6つの課題があることが明らかになりました。
<訪問保育者にとっての6つの課題>
1.安定した勤務・収入
2.家庭との両立・働きかた
3.バックアップ体制・危機管理サポート
4.心身の健康
5.学びの機会
6.仲間・相談先
この中でも特に、保育者一人ひとりがイキイキとしているために「5.学びの機会」に重点をおき、訪問保育に関わる知見を共有しあい保育の質を高めていく学びの仕組みづくりを推進してまいりました。
保育の知見と学びを浸透させるために生成AIを活用
訪問型保育の知見を共有しあい保育の質を高めていくために、ノーベルではこれまで主に以下の4つの取り組みを実施してきました。
1.パターンランゲージ※の作成・活用
2.リアルに学び合える「スカッ!と委員会」
3.外部講師による専門研修
4.バッジ制度(キャリアアップ制度)
※パターンランゲージとは:
現場での経験や知識を整理し他の人がその知見を活用できるようにする方法です。経験豊富な人から「コツの抽出」をし、他の人が「やってみたくなるヒント集」を得るなど、新しい「知恵の伝承&学び」の手法として注目されています。
<学びのプラットフォーム 概念図>
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1.パターンランゲージの作成・活用
1.保育の知見を集める
保育スタッフから、日々現場で意識していること、こどもとの関係性の築き方、親御さんとのコミュニケーションの工夫など、具体的な知恵や経験をテキスト化。
2.パターンを抽出する
集めた情報をカテゴライズし、共通する考え方や行動の特徴を整理し「パターン」を導き出す。
3.実践に役立つ形に整理し完成
各パターンが現場での課題解決にどう役立つかを検討し、各パターンをブラッシュアップ。保育現場で活用できる「保育の型」として整理。
このプロセスにより、15年間の膨大な保育のノウハウが25のパターンに体系化されました。ノーベルらしい保育の知見が凝縮されており、まさに”考える保育者”の基盤となっています。
2.リアルに学び合える「スカッ!と委員会」
スタッフ同士がリアルに集まり、日々の現場での経験や考えたことを共有しお互いの学びに繋げる場。困りごとのとらえ方や解決策を議論したり、年齢に応じた遊び方等が教え合います。施設型の保育園などに勤務する保育士とは異なり、保育現場は独立しており、さらに単独での保育となることが多いため、ノウハウの共有や継承は自然発生的には起こらないため、リアルに学び合える機会は重要です。
3.外部講師による専門研修
年に数回定期的に、各分野の専門家を外部講師として招き、研修を実施しています。救命救急やこどもの人権、発達障がいなど、保育に関わる必要な知識を深めます。
4.バッジ制度(キャリアアップ制度)
保育スタッフ向けに学びや挑戦をサポートする制度。1.新人研修指導 2.救急救命指導 3.保育ケース対応 4.保育コーディネートの中から挑戦したい分野を選び学びを深めることができます。保育だけではなく、事務局側の業務や研修づくりなど事業推進に関わる機会にもなります。
生成AIを活用した「訪問保育者向け学びのプラットフォーム『ノーベル先輩(仮称)』」の概要
上記の取り組みから得られた学びを浸透・循環させるために、膨大なノウハウや知見などをすべて生成AIに集約し、オンライン上でいつでもどこでも簡単にアクセスできる仕組みを構築することに成功しました。
この学びのプラットフォーム「ノーベル先輩(仮称)」は、保育現場での不安や課題を保育者自らが質問・相談し、ヒントを得てすぐに実践につなげられる支援ツールです。これまでも、現場保育者のフォローは、事務局でバックアップしてきましたが、個々の経験だけに頼らず、先人たちの集約された知見を活かしながら保育ができる、保育の質を高めていけるプラットフォームとして設計されています。
主なサポート機能は以下の3つです:
1.ノーベルの保育ルールを調べる
- 例:解熱剤の使用方法の確認
- 注意事項も含め、判断に役立つ情報を提示
2.保育での困りごとを解決する
- 例:特定の状況やこどもの様子に合わせた声掛けや工夫例を提示
- パターンランゲージに基づいた実践事例を参照可能
3.こどもの特性や発達について調べる
- 例:発達段階ごとの特徴や発達障がいに関する情報の提供
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/38515/16/38515-16-18c7eed91150f9af3c31d198f101578c-1881x1479.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
例:<保育での困りごと>回答はパターンランゲージに紐づけられ、先輩からのアドバイスのように複数の選択肢が提示されます。また実践事例も提示され、より具体的な方法が示されます。保育スタッフはこれらをヒントに自ら判断し実践に活かします。
現場での活用と今後について
「ノーベル先輩(仮称)」は、保育前の準備、保育中の対応、保育後の振り返りなどさまざまな場面で活用します。保育者は事例を参考に自ら判断しながら実践し、保育の質を高める力を育むことを目指しています。
2025年2月から試験運用を開始。経験豊富な保育者から活用をはじめ、精度のブラッシュアップ等を行い、来年度からはノーベルの全保育スタッフが利用予定です。
訪問保育のニーズは増加傾向ではありますが、まだまだ第三者に頼れず家族で家事育児を必死にこなしている共働き家庭が大半です。できるだけ多くの家庭に安心して頼れる子育てのサポートを届けるために、将来的には、このプラットフォームをノーベル以外の訪問保育者にも活用を広げる予定です。十分な研修やバックアップ体制が整っていない団体や全国各地で孤軍奮闘するベビーシッターの皆様に活用していただくことで、質の高い信頼される保育を実践できる担い手を増やすことに貢献し、子育て家庭がよりサポートを活用しやすい社会を目指します。
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