
ソーシャルエンターテイメント・プログラムを提供する一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ(港区・代表:志村季世恵)は、2025年2月3日・4日の2日間、大阪府立大阪南視覚支援学校において、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を開催しました。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、視覚障害者スタッフが体験の案内役を務め、真っ暗闇の空間で視覚障害への理解とともに、多様性や相互理解を深める体験型プログラムです。
視覚支援学校での開催は、地域とのつながりを促し、相互理解と共生社会の実現を目指すとともに、視覚障害のある生徒が自身の可能性を広げることを目的に、2003年に宮城県立盲学校でスタートしました。今回で7校目となり、大阪府教育委員会職員や教職員、保護者、近隣生徒等107名が参加。関西地方では初めての開催となりました。
なお、本プログラムは公益財団法人ベネッセこども基金と大阪府教育委員会の連携協定の下、実施いたしました。
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プログラム内容
本プログラムは、3部のセッションで構成されました。全体を通じて、参加者それぞれが新たな視点を得るとともに、相互理解を深め、自身の在り方を見つめ直す機会となりました。
1部:教職員・保護者向け「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」体験(2月3日)
「視覚障害のある子どもの理解促進」を目的に、教職員および保護者、大阪府教育委員会の職員、合計51名が「暗闇の運動会」を体験。暗闇の中で玉入れやダンスなどを行い、視覚障害者スタッフとの対話を通じて交流。
【参加者の声】「児童・生徒・学生に対してさりげなくしていた行動などを、これからは意識して声かけや手引きなどをしていこうと思った」(教職員)、「今後娘に寄りそった声かけをもっとできると良いなと思った。親が先にどうしても手助けをしてしまうことがあるが、本人の時間、準備など待ってあげることが大切だと思った」(保護者)
2部:近隣中学生向け「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」体験および視覚支援学校中等部の生徒との交流(2月3日)
「障害に対する理解促進」を目的として和泉市立富秋中学校の1年生50名が参加。ダイアログ・イン・ザ・ダーク体験および、視覚障害者スタッフと共に目をつむって白杖を使う体験と、視覚支援学校中等部の生徒の交流を実施
【参加者の声】「目が見えないなか、こういう活動の説明をしたりみんなと接したりするのがとてもすごいなと思った」「目が見えない人の気持ちを考えたり、もし困っていそうな人がいたら声掛けをしたい」
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3部:視覚支援学校 生徒と視覚障害者スタッフの対話プログラム(2月4日)
「視覚障害のある生徒が自らの可能性を広げること」を目的に、大阪府立大阪南視覚支援学校の生徒19名と視覚障害者スタッフが「視覚障害者としての生活」「日常の困りごと」「夢」などをテーマに約1時間半の対話を実施。
【参加者の声】「世代は違っても、皆んな視覚障害という同じ経験を通じて、同じようなことを感じていたり悩んでいたりするんだなということがわかってなんだか嬉しかった」
【教頭先生の声】「全員で対話を深めていく形式がとてもよく、生徒もだんだんに自己開示ができていったようでよかった。これからも対話を大切にしていきたいと思った」
【視覚障害者スタッフの声】「生徒の皆さんが自分にしっかりと向き合っていてすごいなと思った。仲間がたくさんいるんだと思い、嬉しかった」
【効果測定結果】多様性への認識が向上し、自尊感情も高まる
和泉市立富秋中学校(50名)を対象に、ダイアログ・イン・ザ・ダーク体験の前後でアンケートを実施しました。その結果、多様性や障害に対する認識の変化が確認されました。
1. 多様性への肯定的な印象が増加
「自分たちとは文化や特徴が異なる人たちと触れ合うことをどう思うか?」という質問に対し、体験後は「わくわくする」「楽しそう」と答えた生徒の割合が増加。特に「わくわくする」は20ポイント増、「いいことだと思う」も16ポイント増と、多様性を前向きに捉える生徒が増えました。
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「自分たちとは文化や特徴がちがう人たちと触れ合うことについて、あなたはどのように思いますか」(複数回答可)
2. 障害のある人への考え方が変化
「障害のある人について、どのように感じますか?」という質問では、体験後に「仲良くしたい」「親しみを感じる」と答えた生徒が24ポイント増加。「視覚障害者はすごいと思う」との回答も32ポイント増え、障害のある人への尊敬や関心が高まりました。
一方、「不自由・大変」や「かわいそう」との回答も増加しましたが、これは親近感が増したことで当事者の視点に寄り添う気持ちが高まった結果と考えられます。
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「障害のある人について、どのように感じていますか」(複数回答可)
3. 体験後に自尊感情が向上
「自分自身に満足している」と答えた生徒の割合は、体験前の46.9%から65.8%へと18.9ポイント増加。また、「他者への信頼・共感性」も10.3ポイント向上し、多様性理解や障害理解だけでなく、自己肯定感の向上にも寄与する結果となりました。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク in 大阪南視覚支援学校」開催概要
開催期間:2025年2月3日(月)~4日(火)
実施場所:大阪府立大阪南視覚支援学校
体験者数:107名(大阪府立大阪南視覚支援学校の教員、保護者、大阪府教育委員会職員、和泉市立富秋中学校1年生)
背景・目的:
多様性を自然に尊重する日常をつくるための教育現場のあり方を検討していくうえで、障害への理解促進及び多様性理解の視点、インクルーシブ教育を実践する際の視点を育成することを目的に大阪府教育委員会とベネッセこども基金が連携協定を締結し、2024年1月に「障がい理解教育研修会」を共同実施。今回は以下を目的に視覚支援学校にて開催。
・公立中学校の生徒が暗闇での体験や視覚支援学校の生徒との交流を通して、障害に対する理解を深める。
・視覚支援学校の教職員や保護者が暗闇を体験し、認識を深める。
・誰もが相互に人格と個性を尊重しあう「共生社会」の実現に資する。
共催:公益財団法人ベネッセこども基金
教育委員会・自治体・学校向けお問い合わせ先
ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、全国の視覚支援学校向けに出張開催を行っております。
視覚障害のある児童・生徒たちが、地域の同世代の児童・生徒たちと交流する機会、またダイアログ・イン・ザ・ダークのスタッフである視覚障害者の先輩たちと出会い、将来や自身の進路・キャリアを考える機会を提供したいと願っています。
ご興味のある学校関係者および、協働・ご後援いただける企業・団体様は以下よりお問い合わせください。
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ(担当:佐川)
TEL:03-6231-1640
MAIL:press@dialogue-japan.org
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」について
視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。
1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれ、これまで世界47カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験しました。日本では、1999年11月の初開催以降、これまで25万人以上が体験しています。 現在は、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」で開催中。
https://did.dialogue.or.jp/
ダイアローグ・ジャパン・ソサエティについて
たがいを認め、助けあう社会を実現するためのフラッグシッププロジェクトを開催。1999年以降、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」「ダイアログ・イン・サイレンス」「ダイアログ・ウィズ・タイム」のソーシャルエンターテイメントプログラムを開催し、これまで延べ約28万人が体験しました。
2020年8月には、東京・竹芝に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」をはじめとしたプログラムを体験できるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をオープン。誰もが対等に対話することで協力し信頼し安心して社会参加ができるようにし、もっとより豊かで多様性のある社会の形成及び発展に寄与することを目的としています。
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ :https://djs.dialogue.or.jp/
ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」:https://taiwanomori.dialogue.or.jp/