おたくま経済新聞

フラグシップスマートフォン向けに設計されたマイクロンLPDDR5Xメモリにより、業界最薄パッケージで最高水準の速度と大幅な省電力を実現

2025年6月3日、アイダホ州ボイシ - Micron Technology, Inc.（Nasdaq：MU）は本日、世界初となる1γ（1ガンマ）ノードベースの省電力ダブルデータレート5X（LPDDR5X）メモリの認定サンプルの出荷を開始したと発表しました。このメモリは、フラグシップスマートフォンでのAIアプリケーションの高速化に向けて設計されました。マイクロンLPDDR5Xは、業界最速となる10.7ギガビット／秒（Gbps）のLPDDR5Xグレードの速度に加え、最大20%の省電力化*1を実現します。AIを活用した翻訳や画像生成などのデータ集約型のワークロードにおいても、高速でスムーズなモバイル体験と長いバッテリー駆動時間を実現し、スマートフォンに変革をもたらします。


マイクロンのエンジニアは、次世代スマートフォン向け小型ソリューションへの需要の高まりを受け、LPDDR5Xのパッケージサイズを小型化し、業界最薄となる0.61ミリメートル*2のパッケージを完成させました。これは競合製品と比較して6%薄型化*3され、前世代製品よりも厚さを14%低減*4しています。この小型フォームファクタの実現により、スマートフォンメーカーは超薄型な端末や折りたたみ式スマートフォン設計時の可能性が広がります。


マイクロンでモバイル・クライアントビジネスユニットのコーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるマーク・モンティアースは、「マイクロンの1γノードベースLPDDR5Xメモリは、モバイル業界を大きく変革します。この画期的なテクノロジーは、業界最薄のLPDDR5Xパッケージ内で卓越した速度と電力効率を実現し、革新的なスマートフォン設計への道を切り拓きます。このソリューションは、エコシステムの強化を通じて一段と優れたモバイル体験の実現を目指すマイクロンのコミットメントを示すものです」と述べています。


マイクロンの1γベースLPDDR5Xにより、AIによるインサイトを迅速に取得でき、モバイルユーザーのパフォーマンスが飛躍的に向上します。一例として、Llama 2を使用した大規模言語モデルベースでのモバイルAIアシスタントの応答時間では、1γベースLPDDR5Xの10.7Gbps帯域幅と1β（1ベータ）ベースLPDDR5Xの7.5Gbps帯域幅の比較で、以下のような結果が得られました*5。
- 位置情報に基づいておすすめのレストランを尋ねた場合、応答が30%高速化
- 英語音声をスペイン語のテキストに翻訳しながら道順を尋ねた場合、結果出力が50%高速化
- 車種、価格の手頃さ、特定のインフォテインメント機能や安全機能*6などの条件に基づきおすすめの車を尋ねた場合、応答が最大25%高速化



マイクロンのモバイルポートフォリオに新しく加わった1γベースLPDDR5Xは、先進的なEUV露光を活用したマイクロン初のモバイルソリューションです。これにより、業界最先端のメモリノード技術を基盤としたパフォーマンスと電力効率の最新の進化を早期に顧客に提供できます。今回の成果は、2月のマイクロンによる1γベースDDR5メモリのサンプル出荷（データセンターおよびクライアントセグメントの次世代CPU向け）に続くものです。最適化された1γDRAMノードは、次世代のHigh-Kメタルゲートなど先進のCMOS*7技術の活用により、トランジスター性能を改善するとともに、最先端のEUV露光の採用によりビット密度を向上させています。


電力消費の大きいモバイルAIワークロードが、クラウドだけでなくデバイス上での処理も進む今、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンにはAIコンピューティングの実行と同時に電力消費の抑制が求められ、省電力チップの重要性が増しています。


マイクロンの1γベースLPDDR5Xは、20%の大幅な省電力化を実現しており、モバイルユーザーは1回の充電でお気に入りのAIアプリケーション、ゲーム、動画コンテンツをより長く楽しむことができます。さらに、AIの進展により強力な性能とともに電力効率の高いコンピューティングへのニーズが高まる中、データセンターサーバー、インテリジェント車両、AI PCでも、最適な電力効率と高性能を兼ね備えたLPDDR5Xの採用が今後さらに広がると見込まれます。


マイクロンは現在、特定のパートナー向けに1γベースLPDDR5X 16ギガバイト（GB）製品のサンプル出荷を進めており、今後、2026年のフラグシップスマートフォン向けには、8GBから32GBまでの幅広い容量ラインナップを提供する予定です。


*1： マイクロンの旧世代LPDDR5Xとの比較
*2： 性能によってパッケージの厚さは異なり、0.61mmはマイクロンの8GBおよび16GBの1γベースLPDDR5X 496ボールパッケージの場合
*3： マイクロンの競争市場調査と情報に基づき、競合製品の厚さは0.65mm
*4： マイクロンの1βベースLPDDR5X（16GB）の厚さ0.71mmとの比較
*5： 9.6Gbpsと7.5Gbpsで動作するLPDDR5X搭載デバイスのデータをもとに推定
*6： Llama 2 に、手頃な価格、Apple CarPlay、緊急ブレーキ、ブラインドスポットモニター、パーキングセンサー、全輪駆動といった基本的な安全機能を重視しながら、10台のSUVを推薦するよう尋ねた場合のテストに基づく。推奨された車種は、23,000ドルから37,000ドルの予算内
*7： 相補型金属酸化膜半導体