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シリア:故郷に戻った人びとが地雷で死傷──地雷対策と緊急医療への支援強化を

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国境なき医師団


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道路や野原に多くの地雷や不発弾が残されている(シリア東部 デリゾール県)=2025年5月26日 (C) Asmar Al-Bahir/MSF

2024年12月に前政権が崩壊したシリアにおいて、内戦後に故郷に戻った人びとが地雷の被害に遭うケースが後を絶たない。国境なき医師団(MSF)は、子どもを含む負傷者の治療にあたっているが、紛争で医療施設が破壊されたことや緊急搬送システムの不備などにより、医療を受けられない人も多い。MSFは国際社会に、地雷対策への支援拡充や、緊急医療体制の強化が必要だと訴える。
地雷や不発弾、仕掛け爆弾による被害
シリアの中で、放置された爆発物による被害が最も大きいのが、東部のデリゾール県だ。前政権崩壊後から2025年5月6日までの5カ月間に、国内で記録された471件の事故のうち26%がデリゾールで起きた(※1)。5月28日から6月1日にかけての直近の5日間だけでも、4件の事故で8人が死傷、そのうち、子ども4人が死亡した。

MSFのシリア活動責任者であるウィル・エドモンドはこう話す。

「4月7日以来、私たちはデリゾールの病院で、地雷や不発弾、仕掛け爆弾で負傷した患者をほぼ毎日診ています。多くは畑や道路で負傷した人たちです。救急処置室に運ばれてきた人のうち、3分の2近くが命に関わる重傷で、4分の1近くは切断を余儀なくされました。ショッキングなことに、負傷者の4割が子どもでした」

長年の武力紛争により、デリゾール県では医療施設を含む重要なインフラが破壊された。県内の道路や野原に残された地雷や爆発物は、帰還民の日常生活を危険にさらすと同時に、地域の復興を妨げている。MSFはこれまでに医療施設で4発の不発弾を発見したが、地面の下にはさらに多くの不発弾が隠れている可能性がある。
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紛争で破壊されたデリゾールの町=2025年5月26日 (C) Asmar Al-Bahir/MSF

子どもたちが地雷の被害に
デリゾールの南東50キロに位置するハワイジュに住む10代の少年アフマドさんは、砂漠で羊を放牧していた時に右足全体と左足の一部を失った。アフマドさんは「走ることができなくなり悲しい。でも、ビー玉遊びをしたり、バイクに乗ったりすることはできます」と話す。

アフマドさんの母親、ウンム・ムハンマドさんは「ハワイジュの被害者はあの子だけではありません。アフマドの友人にも、村の他の人たちにも同じことが起きました」と話す。

2024年12月8日から2025年5月14日の間に、シリア全土で爆発物による事故により子ども91人が死亡し、289人が負傷した(※2)。こうした悲劇的な事故の多くは、子どもたちが、地雷撤去が済んでいない地域できのこを採ったり、羊を放牧したり、遊んだりしている間に起きている。
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羊の放牧中に不発弾で負傷し右足の膝から下を失ったアブドゥルラザクさん(12歳)=2025年5月26日 (C) Asmar Al-Bahir/MSF

医療を受けることが困難に
負傷した人びとは、医療を受けることが非常に難しいと話す。緊急搬送システムが整備されていないため、ほとんどの患者は病院に行くために高額な民間の交通手段に頼らざるを得ない。その結果、遠方の町から来た患者の多くは、経過観察などで再度病院に来ることが困難だ。また、民間医療機関の費用の高さも、医療を受けづらくしている。

元小麦農家のアリ・アブド・ハラフさんは、デリゾール県のアル・マヤディーンに近い場所で地雷の被害に遭った。アリさんは「2カ月前、弟とバイクで移動していた時のことです。バイクから降りて数歩歩いたところで爆発が起きました。私は地雷を踏んでいたのです」と語る。

アリさんの親族は「アリをアル・マヤディーンの民間診療所に大急ぎで連れて行ったところ、そこで治療を始めるにあたって前金で80米ドル支払わなければなりませんでした。かなりの額でしたが、払いました。その後、総合的な医療を無償で受けられるこの病院に移ったのです」と話す。

アリさんは民間の診療所で初期治療を受けた後にデリゾール国立病院に搬送され、2度の手術を受けて左足を足首の上で切断した。
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地雷で左足の一部を失ったアリさん(28歳)。「現実を受け入れられない。体力を使う農業の仕事に戻れるだろうか」と話す=2025年5月26日 (C) Asmar Al-Bahir/MSF

地雷対策への支援強化を
この状況を改善するためには、地雷対策に取り組む組織への緊急資金援助が必要だ。地雷撤去の活動や、地雷が埋められた場所の地図作成がさらに進められなくてはならない。人びとが安全に帰還し、生活を再建し、紛争から立ち直るためには、そうした取り組みが欠かせない。

MSFはまた、シリア政府、援助国・機関、医療団体に対し、救急医療の対応能力を高め、搬送システム、血液バンクを強化するよう求める。紛争被害者の回復のためには、身体のリハビリ、心のケア、心理社会的サービスの支援が強く求められる。

※1 国際NGO安全機構(International NGO Safety Organization)による
※2 グローバル・プロテクション・クラスター 地雷対策責任分野(Mine Action Area of Responsibility)による

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