令和7年12月19日（金曜）に開催された国の文化審議会において、山県市内にある「大桑城跡」を国史跡に指定するよう、文部科学大臣へ答申されました。
今後、官報告示を経て、正式に国史跡に指定される見込みです。指定されると、市初の国史跡となります。
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大桑城跡周辺航空写真（南から）
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大桑城跡山上部航空写真（南西から）
指定の概要
文化財の種類：史跡文化財の名称：大桑城跡（おおがじょうあと）
時代：室町時代
大桑城跡は、戦国時代に、美濃国守護土岐氏により築かれた山城跡と城下からなる遺跡です。山城跡は古城山（標高407.5m）山頂一帯に築かれており、城域は東西約860m、南北約470m規模で、北東から南西に延びる主尾根筋や、主尾根を挟んで北側の比較的傾斜が緩やかな谷筋を中心に曲輪(くるわ)や石垣などの遺構が遺存します。南麓には四国堀（しこくぼり）と呼ばれる木戸(きど)があり、その内側に城下町が展開する構造です。
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四国堀跡（南から）
諸説あるものの、長良川の大洪水をきっかけに、当時の守護土岐頼芸(よりのり)が拠点を移したと考えられる、天文(てんぶん)4年（1535）から同16年（1547）までの間、守護所もしくは土岐氏の重要な拠点として機能したと考えられます。
山城跡で実施した発掘調査では、伝「岩門」において、巨石を使用した石列などを確認し、伝「台所」では庭園跡や丁寧に積まれた石垣を確認するとともに、土師器皿が多く出土しました。谷筋に築かれた曲輪群では土師器皿や日常雑器などの多量の遺物が出土し、居住空間があった可能性が考えられます。
令和2年度から6年度にかけて実施した調査の結果、大桑城跡は、保存状態が良好で、16世紀前半から中頃に機能した政治的空間と居住空間を備えた守護の拠点城郭であることが分かり、戦国時代における守護大名の本拠地の構造を知る上で重要な遺跡として評価されました。
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伝「台所」石垣検出状況（南東から）
滋賀県立大学名誉教授 中井均氏（日本城郭史）のコメント
守護の居所は通常平地に構えられるが、美濃国守護土岐氏は戦国時代、軍事的に対処するため山城として大桑城が築かれた。山城ではあるが、守護の居城にふさわしく庭園を構え、石垣によって築かれている。さらに武威と権威を示す巨石を配置した岩門が構えられた。こうした構造は守護の構えた山城として重要で国史跡にふさわしい。これを機に保存と整備、そして活用が大いに期待される。山県市長 林宏優のコメント
このたび、国の文化審議会におきまして、当市に所在する「大桑城跡」を国史跡に指定するよう文部科学大臣へ答申される運びとなりました。今後、官報告示を経て、正式に国史跡に指定される見込みです。当市には、国指定重要文化財「白山神社拝殿」（東深瀬）がございますが、国指定史跡は、「大桑城跡」が初めてであり、当市に所在する遺跡の歴史的価値が広く認められることをたいへんうれしく思います。
「大桑城跡」は、戦国時代に、美濃国守護土岐氏により築かれた山城跡と城下からなる遺跡で、遺構が良好な状態で保存されています。戦国時代における守護大名の本拠地の構造を知る上で重要であり、歴史的価値が非常に高い遺跡です。
これまでご協力いただいた方々に感謝をし、今後は、「大桑城跡」を、次の世代へ確実に継承できるよう、そして、より良い遺跡となるよう、地域のみなさまとともに、保存・活用に取り組んでまいります。
