インドのホーク練習機が、同じくインド国内で開発中の精密誘導弾SAAW(Smart Anti-Airfield Weapon)の発射試験を実施し、成功させたとインドのヒンドスタン航空(HAL)が2021年1月21日(現地時間)に発表しました。国内の航空宇宙産業振興を進めるインドにとって、新たな進展となりました。
インドでは現在、練習機としてイギリスのBAEシステムズが開発したホークを空軍で採用。ヒンドスタン航空(HAL)は、ホークに軽攻撃機としての能力を付加する「HAWK-i」という計画を独自に立ち上げ、開発を進めています。
今回試験が実施されたSAAWは、インド国防省の防衛研究開発機構(DRDO)と科学技術省の科学・工業研究協議会(CSIR)が共同で研究開発を進めている、弾頭重量125kgクラスの精密誘導弾です。
SAAWは航空機から投下された後、翼を展開して最大100kmを飛翔。滑走路や誘導路、レーダーや航空機掩体といった飛行場施設を攻撃する、スタンドオフ(撃ちっぱなし)式の精密誘導弾です。
すでに攻撃機ジャギュアを使用した発射試験に成功しており、次の試験としてホークMk.132を発射母機とした試験が実施されました。担当したHALのテストパイロットは、アワスティ退役空軍中佐とパテル退役空軍中佐のコンビ。
試験においてHAWK-i試作機は、インド東部オリッサ州沖でSAAWを発射。テレメトリー・システムを通じて設計通りのデータが得られ、試験は成功したといいます。
試験成功を受け、HALのマダーヴァン氏は「HALはインド政府が進める「自立したインド」キャンペーンに集中してきました。わが社のHAWK-iプラットフォームは、DRDOやCSIRが開発を進める各種兵器の試験に広く使用されています」とのコメントを発表。HAWK-iがインドの安全保障分野の国産化に貢献していることを強調しています。
HALで技術部門の研究開発ディレクタを務めるアルップ・チャタージー氏は、HALはHAWK-iの練習機としての性能と、作戦機としての能力を独自に高めているとコメント。現在、ホークに様々な兵器の運用能力を付加するべく、インド軍当局と協議を重ねていることを明らかにしています。
<出典・引用>
ヒンドスタン航空(HAL)メディアリリース
Image:HAL/BAEシステムズ
(咲村珠樹)