水などの体積の単位「リットル」。小学校で習った後も日常で頻繁に使用する単位としてお馴染みですが、ここで質問です。これを英語表記「一文字」で表す時、あなたはどう書きますか?

 ちなみに、アラフォーの筆者は「筆記体でl」※を書きますが……なんとこれで年齢バレしてしまう恐れがあるのだとか。ネット上で「リットルを筆記体で書くのはおじさんおばさん説」が話題になっていました。マジで!?

 同じ書き方をしている!という方、おそらく西暦2000年頃より前の生まれではないでしょうか。リットルは小学2年生の算数で習いますが、これが2010年前後の教科書から、大文字の「L」で表記されるように変更になっているのだそう。

 念のため、筆者の娘の教科書で確認してみると……たしかに「L」の大文字で記載されています。子どもと一緒に宿題をやった覚えはあるのですが、その時は全く気付きませんでした。なんてこった。

■ リットルの表記が変わったのは「国際単位系での表記に準拠するため」

 ではなぜ、筆記体から大文字に変更されたのか。

 教科書をはじめとする出版事業を営む「東京書籍」のホームページによると、「国際単位系での表記に準拠するため」と記されています。

 小文字の「l」は数字の「1」と間違えやすいこと、アメリカを中心として大文字の「L」を用いることが多いといった理由から、2002年度の中学の教科書から徐々に変更され、2011年頃には2009年施行の「義務教育諸学校教科用図書検定基準」(小学校は2011年度以降、中学校は2012年度以降適用)に従い変更されていったようです。

大文字、小文字、筆記体

■ 中学校ではもう筆記体自体習わなくなっている

 なるほど、国際基準に合わせたとなるとぐうの音も出ませんが、実はそこにはさらに衝撃の事実が潜んでいました。文部科学省から出されている学習指導要領によると、なんと今の学習指導要領では、筆記体の学習自体が必須でなくなっているのです。

 昔は中学校の授業で習い、使いこなせればなんとなくかっこ良かったことから、学習と同時に必死になって練習したものですが……。ちなみに時期的には、2002年施行の「中学校学習指導要領」をきっかけに、生徒の負担を考え「教えても教えなくても良い」という風に扱いが変わっていったようです。

■ 習った文字で年齢バレはあり得る

 こうした理由を知れば、たしかにリットルが筆記体表記から大文字表記に変わったのも納得が行きます。国際基準外で、そもそも筆記体自体、ネイティブもほとんど使っていないのであれば、敢えて学習する必要はないと言えるでしょう。

 それにしても、筆記体で年齢バレしてしまうとは何とも恐ろしい話。今回の調査からわかることは、リットルを筆記体で書く方は少なくとも20歳以上。そして筆記体を中学校で習っていた世代は、高い確率で昭和生まれの方でしょう。これもひとつのジェネレーションギャップを感じる事柄かもしれませんね。

※本来ならば「筆記体のリットル」を記したいところですが、掲載先や環境によっては文字化けする可能性があることから、本稿では「筆記体でl」などの表現で記しています。

<参考・引用>
東京書籍HP「教科書・図書教材 よくあるご質問Q&A
文部科学省HP「学習指導要領『生きる力』第2章 各教科 第9節 外国語
文部科学省HP「義務教育諸学校教科用図書検定基準(改正後全文)
文部科学省HP「中学校学習指導要領(平成10年12月)

(山口弘剛)