夏といえば、海水浴や山登り、夏祭りや野外フェスなど楽しいイベントが盛りだくさん! これから夏フェス用に友達同士でお揃いのTシャツを作りたいと考えている方や、子どもの手提げ袋などにも使えるこんなお役立ちアイテムを発見しました。

 それが、アイロンプリントやステッカー等のメーカー「クイックアート」が2018年3月に発売した「パウダープリント」(特許出願中)。こちらは、パウダープリントシートとホットメルトパウダーを使用したプリント手法とか。

 このプリントはPDシートと呼ばれる専用の紙に、昇華インクサインペン(別売)や、市販の蛍光ペン・オイルパステルなどでイラストを描く、または家庭用の顔料インクジェットプリンターで出力したものが使えます。あとは、紙パウダーを振りかけ、余分な粉を落として、Tシャツにアイロンで圧着するだけ。これだけでオリジナルデザインTシャツができるというすぐれもの。

 しかも従来のアイロンプリントで多くのユーザーが気にしていた「印刷されていな部分までも四角くフィルムが張り付いてしまう」という問題点も解決。値段は、「PDシート(パウダープリントシート)A4サイズ3枚&ホットメルパウダー」のセットが税込1296円、「PDシート(パウダープリントシート)A3サイズ4枚&ホットメルパウダー」のセットが3456円と、比較的お手頃なんです。

 こんなマジックのような「パウダープリント」とは、一体どういうものなのかクイックアートさんにお話を伺いました。

――パウダープリントを開発されたきっかけを教えて下さい。

もともと弊社はこのパウダーをシートの状態で商品として販売しておりました。印刷した転写紙と糊のシートを合わせてアイロンプリントのマークを作成しておりましたが、シートである必要がないのではないかとの気づきから生まれました。また、「お客様の声を解決したい!」という思いで実証している中で、うまくできたのがパウダーの利用でした。

――パウダーは何を原料に作られているのですか?

パウダーは、化粧品の原料にもされるような類のものです。ウレタン系の樹脂紛体ですので安心安全です。(特許出願中です)

――パウダープリントは、どんなものでもプリントできるのでしょうか?

はい。(黒など濃色生地にはプリント出来ませんが)たいていの布地にはプリントできました。150度の熱に耐えられて、表面に微細な穴がある素材なら、プリント可能です。


――パウダープリントの洗濯の耐久性についてお伺いしたいのですが、プリントしてからすぐに洗濯しても大丈夫なのか、何回洗っても色落ちしないのか……などちょっと気になります。

パウダープリントの洗濯耐久性に関しては、カケンの洗濯堅牢度テストで4-5級というなかなか出ない最高クラスの評価をいただいております。日本工業規格JISに定められた方法での試験です。プリントしてからすぐに洗濯しても問題ございません。

何回までという具体的な数字をお答えするのが難しいので、先述の堅牢度試験を持って耐久性は抜群であると証明できます。素晴らしいのは、摩擦堅牢度も最高クラスであることです。さらに、メタリック加工まですると堅牢度は5の最上級になりますので、洗濯しても変化なしという事になります。

――専用のパウダープリントシートを利用せずに、普通紙とこちらのパウダーでプリントはできますか?

PDシートとパウダーはセットで使わないとうまくプリントできません。両方が特殊ですので、普通紙や他のアイロンプリント用紙ではプリントはできないです。パウダーは糊の役割をします。顔料インクの部分にだけパウダーが付着し、インクの付いたパウダーが溶けて繊維の間に入り込み、冷えて固まり紙をはがせば完成という仕組みです。

――お客様のどのような声から生まれたのでしょうか?

従来の家庭用インクジェットプリンターで作るアイロンプリントでは、印刷されていない部分までも四角くべったりとフィルムが貼り付いてしまいました。このフィルムが付着しない製品を求める消費者が多かったのです。ただ、従来、絵や文字だけをプリントするには、大掛かりで100万以上の高価な業界用の設備が必要で、家庭用のインクジェットプリンターでは不可能と考えられていました。しかし、「パウダープリント」ではインクの部分だけの転写が可能になりました。絵や文字だけが一般の方でもプリントされる画期的な製品です。

――どのような方々がご購入されますか?

一般の方からプロの方にまで、ご購入いただいております。子供から大人まで年代も幅広く好評をいただいております。家庭用設備だけで、自信をもって販売できるレベルの作品・商品ができます。

――「パウダープリント」シリーズの中で新作はありますか?

「メタリックパウダープリントシート」という新発売の商品があります。
まず、パウダープリントシートを使って、文字や絵をプリントします。そのあと、メタリックホイル(箔シート)を上にのせ、アイロンで押さえれば金箔や銀箔が文字や絵の部分だけにのり、キラキラプリントの出来上がりです。パウダーがナノレベルで細かい粉ですので、世界一細いメタリック加工もこの手法のみで可能になりました。

――今後どのような商品を作っていきたいですか?

一般の方からプロの業者の方が、高くない設備投資で、本格的なTシャツプリント作りを応援するのが弊社の使命です。企業スローガンは「自分で作るを応援します!」です。今後も、多くのユーザー様の「笑顔」が見たいので、本格的な作品作りを一般の方でも楽しんでいただける商品開発に取り組んでいきます。

 実際にパウダープリントを使われた方の中には、印刷業者やカッティング業者などその道のプロの方もいたそうで、「これがあれば、鬼のようなカス取り作業要らない!」「長年印刷業界にいたが鳥肌物の技術で画期的です。革命だ!」と感動の声と同時に、一般の方の多くが、今まであるようでなかった新しい技術に期待を寄せていました。

<取材協力>
クイックアート(Twitter:@quickart99/HP:quick-art.com

(黒田芽以)