タクシー業を営むMK西日本グループは5月9日、MKグループ公式ホームページに「エムケイ西日本グループ(本社・神戸市)で発生した人権侵害事案について」と題するお知らせを掲載。
障がい者向け福祉タクシーの利用をめぐって発生したトラブルについて謝罪しました。
問題が発生したのは2月1日。大阪、神戸、福岡、沖縄の予約や配車を受けもつ、兵庫県芦屋市のコールセンターで、福岡県の利用者から福祉タクシー利用券に関する問い合わせがあり、担当者が対応しました。
ところが対応直後、担当者は私物のスマートフォンを使い、利用者の携帯電話に「障がい者のくせに、調子に乗るな、来るんなら殺してやる」という内容のショートメッセージを送信していたとのこと。
利用者からの申告を受けて社内調査を実施した結果、事実であることが判明。担当者は警察に出頭し、書類送検ならびに退職済み。コールセンターの責任者は被害者のもとを直接訪れて、謝罪を行ったそうです。
事案発覚後、MK西日本グループの代表で福岡エムケイ株式会社の代表取締役・青木義明氏は、全社員に向けて「絶対にあってはならないことが起きた」とする動画メッセージを配信したといいます。社内には緊急の書面通知を掲示し、人権意識の徹底を呼びかけたとのこと。
また、新人研修や管理職研修、コンプライアンス研修など、社内のあらゆる研修の場で今回の事案を共有し、社員の人権意識の再教育を徹底するとしています。
MKグループではこれまで、身体障がい者支援や社員教育に力を入れてきたとしながらも、今回の事案について「痛恨の極み」と表現。
「創業以来の初心に立ち返り、快適かつ安心・安全な交通手段としてご利用いただけるよう不断の努力をしてまいりたいと思います。このたびは誠に申し訳ございませんでした」と重ねて謝罪の言葉を述べています。
今回の事案では、侮辱的な発言という明白な人権侵害に加え、業務上知り得た個人情報を私的に使用したという、情報管理上の問題も問われています。MK西日本は再発防止と意識改革に向けた取り組みを進めていますが、今後はそれらを継続的かつ実効的に運用していけるかが、信頼回復の鍵となりそうです。
<参考・引用>
MKグループ公式ホームページ「エムケイ西日本グループ(本社:神戸市)で起きた人権侵害事案について」
(山口弘剛)