おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

まとめサイト「JAPAN NEWS NAVI」関連アカウント、Xで一斉凍結

 ニュースまとめサイト「JAPAN NEWS NAVI(jnnavi)」に関連するとみられる複数のX(旧Twitter)アカウントが、7月15日から16日にかけて一斉に凍結されました。

 凍結対象には、jnnaviサイト上で「サポートアカウント」として紹介されていた「まったりくん」や、「JAPAN NEWS NAVI」のバッジが表示されていたフォロワー数10万人超のアカウントなどが複数含まれています。

  • ■ 不透明な運営実態と非取材型の情報発信

     jnnaviは、独自取材を行う報道機関ではなく、他メディアの記事やSNS投稿を引用・要約する「まとめ型」の情報サイトです。

     サイト上に企業情報や運営者名の記載はなく、問い合わせ先は問い合わせフォームと、フリーメールのGmailアドレスのみ。典型的なまとめサイトの運営方法であり、責任所在が不透明な点や、情報源の扱いおよび編集方針などが以前から問題視されていました。

    ■ 投稿内容に政治色 「偏向的」との指摘も

     今回凍結されたのは、「金バッジ」が付与された本体アカウントや、「JAPAN NEWS NAVI」と記載されたバッジを持つ複数の関連アカウントです。

    サポートアカウント「まったりくん」

     この関係性を示すバッジは、企業や団体向けのプレミアムサービス「認証済み組織」に関連する機能で、登録した組織が他のアカウントを「関連アカウント」として指定することで表示されます。

    関係性を示すバッジ

     該当アカウント群の投稿履歴を確認すると、jnnaviサイトへのリンク付き記事の拡散が中心でした。これは、まとめサイトがトラフィックを集めるために行う典型的な手法ですが、中には特定政党に有利な投稿や、政府を批判する内容も見受けられます。

     通常、まとめサイトは、幅広いユーザー層に向けてバランスの取れた情報提供を心がけます。その方がより多くのトラフィックが集まるからです。しかし、jnnavi関連のアカウントには政治的な偏りが見られる点が特徴的。

     このため、SNS上では以前より「特定の政治思想に寄った情報発信をしている」「情報操作に加担している可能性がある」といった声が上がっていました。

     さらに一部では、jnnaviがロシアの情報工作と関係している可能性を指摘する声もあります。発端となったのは、ブロガーであり情報法制研究所の山本一郎氏が7月15日にnoteに公開した記事でした。

     記事では、jnnaviの投稿が拡散される過程で、ロシア製とみられるBOTが関与していた可能性を主張。この投稿がX上で瞬く間に広まり、炎上状態へと発展しました。

     もっとも、同記事で示されているのは拡散傾向の分析や過去事例との類似点であり、ロシア政府や関係機関との直接的な関係を裏付ける証拠(公的資料やリーク文書など)は提示されていません。この種の問題では、確証を得るのが極めて難しいため、慎重に解釈する必要があります。

    ■ 凍結は利用規約違反によるものか

     今回の凍結について、X社からの公式発表は確認されていませんが、利用規約に違反した可能性が高いと見られています。

     jnnaviの公式アカウントには、「金バッジ」と呼ばれる認証マークが付与されていました。これはXのプレミアム審査を通過した企業・団体に与えられるもので、従来の「青バッジ」よりも厳格な審査基準が設けられています。

     X社のガイドラインによれば、認証マークの維持には「誤情報や虚偽の情報を流布していないこと」「プラットフォーム操作やスパム行為に加担していないこと」などが条件とされています。

     しかし、jnnaviの投稿内容には偏向的または誇張的な表現が多く、誤解を招く情報と受け取られてもおかしくないものでした。また、その拡散を担っていた関連アカウント群も、スパム的な振る舞いや操作的行為とみなされる可能性があります。

     X社の規約では、こうした違反が確認された場合、「認証マークの剥奪」や「アカウント凍結」などの措置を取ると定めており、今回の一斉凍結はその規約に則った判断だったと推察されます。

    ■ 支持者は“代替的存在”に移行?

     今回の措置により、jnnaviおよび関連アカウントからの情報発信は停止しました。ただし、Xの運営方針や審査基準が今後変更される可能性もあり、アカウントが復活する余地がまったくないとは言い切れません。

     また、jnnaviの支持層と思われる一部のユーザーは、既に類似のまとめサイトや政治的主張を発信する他アカウントに移行しつつある様子も見られます。今回の凍結による影響は、今後もしばらく余波を残すものと考えられます。

    (宮崎美和子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 整理券に「ハズレ」混ぜて配布 テニプリイベントの混雑対応が物議「聞いたことない」
    インターネット, 社会・物議

    整理券に「ハズレ」混ぜて配布 テニプリイベントの混雑対応が物議

  • アカウント1の投稿
    インターネット, 社会・物議

    【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記…

  • アカウント1の投稿
    インターネット, 社会・物議

    【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記…

  • プロ野球選手会、AIによる誹謗中傷対策を強化 「Threat Matrix」導入を発表
    インターネット, 社会・物議

    プロ野球選手会、AIによる誹謗中傷対策を強化 「Threat Matrix」導入…

  • pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策
    インターネット, 社会・物議

    pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

  • 炎上をモチーフにした日本初の体験型展示イベント「炎上展」
    イベント・キャンペーン, 経済

    「バズりたいけど燃えたくない」 SNS世代必見「炎上展」、池袋で開催

  • 米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」

  • 邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった
    インターネット, おもしろ

    邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くな…

  • 起業家・岡崎雄一郎さん
    インターネット, 社会・物議

    短命に終わった「レンタル怖い人」 運営者・岡崎雄一郎さんに舞台裏を聞いた

  • 「ジョジョ」最新アニメ、Netflixにて世界配信決定もファンからは配信形式に懸念の声
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ジョジョ」最新アニメ、Netflixにて世界配信決定もファンからは配信形式に懸…

  • 宮崎美和子編集長

    記事一覧

    鹿児島県産。放送関連、印刷、ソフト開発会社を渡り歩きさまざまな職種を経験。ライターデビューもこの頃。その後ゲーム会社に転職しMD(主にサブライセンス管理)、マーケを経験。運営・システム関連では管理職も務める。2008年にWEBライターとして独立。得意分野はオカルト、ネットの話題、過去職の経験から著作権と雑多。趣味は読書。40才すぎてバレエを習い始めました。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • アカウント1の投稿
    インターネット, 社会・物議

    【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記…

  • アカウント1の投稿
    インターネット, 社会・物議

    【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記…

  • 偽ファッション広告
    インターネット, 社会・物議

    偽ファッション広告がGoogle広告に大量出現 サポート詐欺被害に注意

  • 起業家・岡崎雄一郎さん
    インターネット, 社会・物議

    短命に終わった「レンタル怖い人」 運営者・岡崎雄一郎さんに舞台裏を聞いた

  • お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんの公式X
    インターネット, 社会・物議

    アインシュタイン稲田の“潔白”が証明された日 暴露文化とSNS拡散が残したもの

  • 109シネマズ運営が最終報告、投稿者にも責任問う動き 「販売予定のポップコーン」動画は「廃棄品」と断定
    社会, 経済

    109シネマズ運営が最終報告、投稿者にも責任問う動き 「販売予定のポップコーン」…

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    2. 工場労働者2138人、1万時間の作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場労働者2138人、1万時間の手作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場向け自動化ロボットの研究開発を行うテクノロジー企業、Build AIが、工場労働者2138人による合計1万時間の作業映像をオープンソース…
    3. お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      「解体しながら飲む」が合言葉。童話でお馴染みの「お菓子の家」を、そのまま大人向けに置き換えたような、その名も「つまみの家」がXに登場しました…
    4. 作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業中に「猫」と「たき火」の癒やしを感じながら集中できる……そんな新感覚のゲーム「たき火と猫」のSteamストアページが公開されました。本作…
    5. アカウント1の投稿

      【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ※この記事は前編からの続きです。前編では、Temuを名乗る複数のアカウントを調査する中で見えてきた構図をお伝えしました。ここからは、Temu…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト