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「仮面ライダー」生みの親・平山亨さん死去―最後の最後まで病床から新しいヒーローを誕生させようとしていた

Facebook元東映のプロデューサー、平山亨さんが7月31日、埼玉県の病院で心不全で亡くなった。享年84歳。

代表作には「仮面ライダー」はじめ「仮面の忍者 赤影」や、「ロボット8ちゃん」から始まる東映不思議コメディーシリーズ、「がんばれ!!ロボコン」など、本当に数多くの作品が存在する。

【関連:特撮映像館―Act.91 仮面ライダーJ】

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  • 平山亨さんといえば、「仮面ライダー」の生みの親の一人とも言われる人。
    有名なエピソードに、初代ライダー・本郷猛演じる藤岡弘、さんが撮影中に大怪我をした際、藤岡さんの出演続行が難しいとされ、スタッフの間では「初代ライダーを死亡に」と企画が傾きかけていた。
    ところが、それを平山さんは頑なに拒否。「子供たちのオールマイティーの夢を壊すわけにはいかない」という理由で、それを絶対にさせなかった。
    後、佐々木剛演じる2号ライダー・一文字隼人を誕生させ番組を継続、そして藤岡さんの復帰につなげた。結果、初代ライダーと2号ライダーと2人のライダーが登場する「第1シリーズ」と呼ばれる作品は4年間放送され、現在に続く「仮面ライダー」の礎を築いている。

    偶然にも記者はそんな当時の話を聞く機会があった。2007年に開催された「第65回世界SF大会 Nippon2007」で催された『平山亨氏と語る「石ノ森章太郎が生んだスーパーヒーローたち」』という分科会でのこと。

    当時、ショッカーO野さん司会で、平山さん、そして2号ライダーの佐々木剛さんがスペシャルゲストとして登場し、第1シリーズの裏話を色々と語ってくれた。
    仮面ライダーファンにとっては、「急遽2号ライダーを誕生させた」あたりの話などは既出だったが、それを平山さんの口から直接聞けるということがとても感動的だったのを覚えている。
    ただ、お話が好きな方だった様で、一度話出すととめどなく続くため、時として司会のO野さんがうまく話を切って質問を投げかける場面もあり、時折参加者の笑いを誘った。

    当時はまだまだお元気そうで、新しいライダーや特撮シリーズの1本でも作れそうなほどに見えた。あれから6年。その間、平山さんは入退院を繰り返していたようだ。
    入院中の昨年11月に平山さんはFacebookで次のようなコメントを投稿している「車椅子での姿は、できればお見せしたくない。これ、本当の気持ち。」。仮面ライダーのような絶対ヒーローを誕生させてきた平山さんにとっては、弱っている姿を見られるというのはとても辛かったに違いない。だが、こんなことでは平山さん決してめげてはいなかったようで、なんと入院中にも関わらず昨年11月に1冊の本を出版している。

    出版された本は「泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~」。平山さんの自叙伝になっており、「仮面ライダー」はじめ東映時代の奮闘を中心に書かれている。
    これについて平山さんは生前「多くの人に読んでもらいたい」、「僕は入院してる身だけど、鉛筆と紙があれば物語を発信出来るとしんじている。それまで待っていて下さいね。」とコメント。

    そして平山さんのFacbookには最後にこういうコメントが残されている。投稿は2013年1月5日。

    「久しぶりに息子が顔をみせた。元気そうだが、年末にダウンしたらしい。この病棟が感染症対策で面会が厳しくなったそうだ。長時間の面会や咳をする面会者は困るそうだ。僕も痰がからむ。息子にも云ったが、仕事をしたくてたまらない。どんどん新しいヒーローや子ども番組をつくりたいのだよ。僕が古いなんて云う輩がいるそうだが、そんな事は云わせないよ。子どもが面白いという本質は変わらないのだから。

    投稿は今から半年程前になるが、既に病状はあまりよくなかった様子。にも関わらず、病気にめげることなく仕事に対する情熱を傾け続けたその姿には心から拍手を送りたい。

    平山亨さんFacebook
    https://www.facebook.com/riderproducer

    【訂正】
    本来「藤岡弘、」(末尾に点を付ける)とすべきところ、誤って「藤岡弘」と記載しておりました。訂正してお詫びいたします。

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