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親としてできること…千葉・松戸小3女児殺害事件、被害者家族の思い

 もしも、愛する我が子がひどい暴力をうけて、殺害されてしまったら。……親として一体何ができるのでしょうか。日本に住む、レェ・アイン・ハオさんは今まさにその問題に直面し、私たち日本人に協力を求めています。

  •  2017年3月。千葉県松戸市六実で、登校途中だったベトナム国籍の小学3年生の女の子、レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)が行方不明になりました。そして2日後には、我孫子市北新田の排水路脇で、着衣を身につけていない状態の遺体が発見されたのです。

     この事件は当時多くのメディアで取り上げられ、しかも翌月逮捕された犯人はリンさんが通う小学校の保護者会会長であり、常日頃熱心に登校の見守りパトロールを行っていた澁谷恭正被告であったことから、社会に大きな衝撃を与えました。

    ■「リンちゃんに何をしたのか話して欲しい」

     澁谷被告は逮捕後から黙秘を続けており、事件に関して語ることはないといいます。この件について父親のハオさんは「リンちゃんに何をしたのか話して欲しい」と編集部の取材に声を震わせ答えています。

     事件から約3か月後の6月から父親のハオさんは、澁谷被告に死刑を求める署名活動を行っています。過去の例からすると判決は極刑にはならない可能性が高いと知りつつ「それでも変えたい」と、わずかな希望を署名に託して活動を続けているそうです。

    ■署名してくれた人は3万人、うち日本人は約1000人

     署名活動はこれまで友人らが協力して、主にSNSを通じて個人で告知していました。開始から約7か月後の現在までに集まった数は3万。その多くがベトナムの方や他の国の人々で、ハオさんによると内日本人は「1000人ぐらいです」とのこと。

     署名は署名活動のため立ち上げたホームページ『リンちゃんのため』を通じて署名用紙をデータで配布。それに記載してもらい、郵送で受け付ける形で行っていましたが「日本の皆さんからももっと集めたい」と、受付期間を2月26日まで延長しました。今後は、「もっと署名の事を知って欲しいので街頭に立っての署名活動も行います」とのこと。さらに、ネット署名も考えていきたいとしていますが、当面はこれまで通り郵送、もしくは街頭署名のみにて受付が行われます。街頭署名の時間や場所は、ハオさんが管理人をつとめる『リンちゃんのため』およびFacebook(leanhhaojp)、ツイッター(@leanhhaojp)等で随時紹介される予定です。(追記:1月25日から1月30日までJR柏駅の入り口にて行うそうです。)

    ■失われた当たり前の幸せ

     本件を紹介するにあたり、編集部では事前にハオさんに取材のお願いをし、直接会ってお話をうかがってきました。その中で感じたのが、極刑については日本では様々な考えを持つ人がいること等も全て理解した上で、それでも「娘のためになんとかしたい」という思いから行動しているということ。また、来日して10年になるとはいえ、まだ細かいニュアンスなど日本語の壁にもどかしい思いをしていることも分かりました。

     最後、ハオさんに記事に掲載する写真について「一番気に入ってる写真を」と提供をお願いすると、親子二人で写っている何気ない日常の1枚を紹介してくれました。毛布にくるまり座るハオさん。その肩に乗っているリンさん。ほんとうに何気ない、ある日の親子の一コマです。それは、以前までは当たり前にあった親子の幸せな時間。

     写真を見るうち、ハオさんがこうぽつりと語りました。「また一緒に遊びたい……リンちゃんに会いたいです……」。

     事件は現在、裁判に向けた手続きが進められています。千葉地裁で2017年12月26日に第2回公判前整理手続が行われ、2018年1月26日には第3回が行われる予定です。

    (宮崎美和子)

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