過去にもアニメやゲームのワンシーンをジオラマで再現してきた、ツイッターユーザー・TOmaTOさんが、新たな作品を公開しました。

 今作はジブリ映画「もののけ姫」冒頭において、アシタカが村から旅立つ様子を再現したもの。実質的に村を「追放」されたアシタカの心中とは真逆の美しい情景、そして壮大な音楽が流れるこのシーンは、作中においても屈指の名場面のひとつ。これがTOmaTOさんの手によって完全再現されています。

 実生活にて、夏を迎えて生い茂った草を見た時に、ふとアシタカの旅立ちシーンを思い出したというTOmaTOさん。元々作品に対する思い入れも深かったことから、ジオラマの制作を決めたのだそう。

 はじめに着手したのがアシタカとヤックルのフィギュア制作。エポパテを用いて造形していますが、実はTOmaTOさんにとって初のフィギュア制作。

 どうやって作るかもわからないという手探り状態からのスタートでしたが、最終的にはそれを感じさせないほどの高いクオリティに仕上がっています。

アシタカとヤックルのフィギュア

 次に土台と、風がなびく草原づくり。これには緑色に着色したハケをカットし、束ねたものを埋め込む形で再現。

 使ったハケは3、4本、およそ3500束という量からもその大変さがうかがえますし、そもそもハケを使うという手段に至るまでも、書道筆やフェイクファー、麻ひも等を用いて試作を繰り返すなど、さまざまなトライ&エラーがあったようです。

草原の表現には試行錯誤が伺えます

 ちなみに、全体の制作期間が1か月であることに対し、草原だけで約2週間もの期間を要したのだとか。「最初は面白かったのですが、途中が一番つらくて広い草原にしたことを少し後悔しながら植え続けました」と語るほど、根気のいる作業であったようです。

草の植え込みは……想像するだけでも大変な作業

 最後に、AIに描いてもらったという背景と、雲間から差す光を表現するためにダンボールに穴を開けて、ジオラマは遂に完成。

 まさに、悲壮な覚悟で村を後にした、アシタカの心情との対比が心を打つ壮麗な場面が、完全再現されています。ジオラマを見ていると、なんだか「アシタカせっ記」のBGMが脳内再生されるかのよう。

風吹く草原を進むアシタカとヤックル

雲間から差す光はこうして表現

 大作を完成させた現在の心境をたずねると「初めてにしてはアシタカもヤックルの造形もイメージ以上に上手く出来ましたし、草原も想像以上に良いものが出来たと思います!」と、TOmaTOさん。

 作品には多くの「いいね」に加え、「風が吹いてる……!」「BGMが聴こえる」といった、ジブリファンらからのコメントが多数。名シーンの再現に、多くの方が胸を熱くしたようです。

<記事化協力>
TOmaTOさん(@TOmaTO89048206

(山口弘剛)