いまだ謎が多い「スネ夫の髪型」。左右正面どこから見てもツノが3本あるように見える形状の解明に、フィギュア造形師の「榎木(えのき)ともひで」さんが挑戦しました。
ツイッターへの投稿にて、榎木さんがたどり着いたひとつの”答え”が動画で紹介されていますが……これはすごい。スネ夫の頭のフィギュアを180度どの方向に向けても、しっかりトレードマークのツノが3本確認できます。一体どうなっているのでしょう?
その秘密のひとつは、スネ夫の髪を塗る際に使用した「黒色無双」にあり。黒色無双は光陽オリエントジャパン株式会社から発売されている水性塗料で、光を反射しないことで、文字通り”真っ黒”を表現するためのアイテムとして知られています。
今回のスネ夫の頭のフィギュアには、実はツノが5本生えていますが、黒色無双を使用することで、その境目が分からなくなっています。まさに塗料の特性を活かした、アイデアの勝利と言えるでしょう。
しかしながら、今作のすごいところはこれだけに留まりません。榎木さんが真にこだわったのは、実はスネ夫の顔の輪郭のほう。こちらも左右どちらから見ても口を尖らせた形状にする必要があり、整合性を取るのに苦労したとのこと。
動画を再度見てみると、たしかに口元にもまったく違和感がありません。まさか五角形の先端を平たく伸ばしたような形で再現可能とは、思いも寄りませんでした。こうした数々の工夫によって完成したスネ夫の頭部は、左右正面はもちろんのこと、背後から見ても、破綻のないデザインに仕上がっています。
榎木さんが導き出した「スネ夫の髪型」の答えには7万件を超える「いいね」が付き、「もはや現代アート」「今まで見たスネ夫ヘアーの中で一番納得した」と、不可能と言われた髪型の再現に、多くの方が称賛の声を寄せています。
その完成度には、榎木さん自身もおおむね納得しているとのことですが、「黒色無双をエアブラシ塗装ではなく筆塗りにしてしまい、若干光の反射率が高まってしまったことが悔やまれます」といった反省点も。ファンアートでありながらも、クオリティアップに懸ける情熱は、さすが並大抵ではありません。
お子さんとドラえもんの映画最新作を鑑賞した際に、ふと「作れそうかも」と思ったことがきっかけだという今作。スネ夫の顔や髪型の形状の謎が完全に解き明かされる日は、そう遠くないのかもしれません。
「ペンローズの三角形」に続く不可能図形「スネ夫ヘヤー」を粘土で作ってみました。
光の反射をカットする塗料「黒色無双」との合わせ技です。#スネ夫#造形師デビュー25周年#ペンローズの三角形 pic.twitter.com/mhkj2wJOSz— 榎木(えのき)ともひでWF 5-18-04 ワンフェス2024冬に参加します。 (@eyewater_e) March 27, 2023
<記事化協力>
榎木(えのき)ともひでさん(@eyewater_e)
(山口弘剛)